第51回日本理学療法学術大会

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一般演題口述

日本糖尿病理学療法学会 一般演題口述
(糖尿病)02

Fri. May 27, 2016 5:10 PM - 6:10 PM 第6会場 (札幌コンベンションセンター 2階 小ホール)

座長:大平雅美(信州大学 医学部保健学科), 平木幸治(聖マリアンナ医科大学病院 リハビリテーション部)

[O-DM-02-6] 2型糖尿病患者の膝伸展筋力と超音波画像による筋輝度との関連

平沢良和, 松木良介, 草場正彦, 堀田旭, 山本洋司 (関西電力病院)

Keywords:2型糖尿病, 膝伸展筋力, 筋輝度

【はじめに,目的】

高齢者における骨格筋の超音波画像は健常な筋と比べ高輝度を呈し筋力と関連することが報告されている。これは骨格筋内の非収縮組織の比率の増加による筋の質を表している。2型糖尿病患者は筋量の減少や異所性脂肪の増加により骨格筋のインスリン抵抗性が生じ,また筋力や歩行能力などの身体機能も低下する。超音波画像による筋輝度の評価は2型糖尿病の病態を評価する上で有用と思われる。しかし2型糖尿病患者において筋輝度と筋力の関連について検討した報告はほとんどない。本研究の目的は2型糖尿病患者の膝伸展筋力と大腿四頭筋の筋輝度が関連するか検討することである。

【方法】

対象は当院に教育入院をし,運動療法の依頼のあった2型糖尿病患者107名である。内訳は平均年齢65.5±10.4歳,男性59名,女性48名,BMI26.0±4.0,HbA1c9.0±1.7%,糖尿病推定罹病期間13.1±10.0年である。測定項目は膝伸展筋力,外側広筋の筋厚および筋輝度とした。膝伸展筋力はHand-held Dynamometer(アニマ社製μ-TasF-1)を用いて,右側の最大等尺性筋力(N)を測定し,膝伸展トルク(Nm)を体重で除し膝伸展筋力体重比(%)を算出した。筋厚と筋輝度は超音波診断装置(日立メディコ社製Noblus)を使用し,安静背臥位での右外側広筋の短軸像を記録した。測定部位は大転子と外側上顆を結んだ直線上の中点とした。画像解析ソフト(image J)を使用して筋厚と筋輝度を測定した。診療録より糖尿病合併症,投薬内容,入院前の運動行動変容ステージ,国際標準化身体活動質問票を調査した。インスリン分泌能の指標として空腹時血糖値と空腹時血中CペプチドからCペプチドインデックス(CPI)を算出した。統計学的解析はピアソンの積率相関係数とスペアマンの順位相関係数を用いて検討した。また膝伸展筋力体重比を従属変数,その他の因子を独立変数として重回帰分析(ステップワイズ法)を行った。有意水準は5%未満とした。

【結果】

筋厚17.3±3.6mm,筋輝度87.1±16.6pixel,膝伸展筋力体重比142.5±47.6%であった。膝伸展筋力体重比と有意な相関関係を認めたのは年齢(r=-0.34),糖尿病推定罹病期間(r=-0.24),筋厚(r=0.44),筋輝度(r=-0.53),安静時間(r=-0.23),運動行動変容ステージ(r=0.27)であった。重回帰分析の結果,膝伸展筋力に影響与える有意な因子として,性別(β=-0.29),糖尿病推定罹病期間(β=-0.25),運動行動変容ステージ(β=0.18),筋輝度(β=-0.23),CPI(β=0.22)が選択された。決定係数は0.59であった。

【結論】

2型糖尿病患者の膝伸展筋力に超音波画像による筋輝度で表わされる筋の質が影響することが示唆された。