第51回日本理学療法学術大会

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一般演題口述

日本理学療法教育学会 一般演題口述
(教育)01

Fri. May 27, 2016 2:50 PM - 3:50 PM 第9会場 (札幌コンベンションセンター 2階 207)

座長:伊藤義広(広島大学病院 診療支援部)

[O-ED-01-1] 地域包括ケアシステムにむけた当協会会員の現状調査

~導入研修受講者のアンケート分析より~

上村明子, 有村宣彦, 赤﨑昭朗, 坂本一路, 梅本昭英 (鹿児島県理学療法士協会)

Keywords:地域包括ケアシステム, 人材育成, 導入研修

【はじめに,目的】

地域包括ケアシステムにおいては介護予防分野での理学療法士の活躍が期待され,日本理学療法士協会では,推進するにあたって人材育成が始まっている。その1つである「地域包括ケア推進リーダー」「介護予防推進リーダー」の研修は各都道府県士会が推進していくこととされており,地域包括システム推進委員会が設置されアクションプランが策定されている。平成26年度当協会でも2つの導入研修を実施した。そこで,研修会受講者のアンケートをもとに課題を明らかにし,参加者属性と理解度との関係性を検討し,今後の協会運営の一助とすることを目的とした。

【方法】

前述の導入研修を受講した123名のうち,アンケートに回答した116名のデータを対象とした(回収率98.5%)。アンケートの内容については,参加属性についてと研修会についてとした。参加者属性については,①経験年数②勤務先③介護予防事業・地域ケア会議の参加の有無とした。また,研修会については,①受講動機②運営に関すること③内容についての理解度④今後の事業への参加についてチェック方式4段階にて調査した。経験年数と受講動機の関連性をスピアマン順位相関係数にて検討した。また,事業参加の有無と理解度の関係性をχ2検定を用いて検討した。なお,統計学的処理は5%未満を有意水準とした。また,自由意見はカテゴリー化した。

【結果】

経験年数は,10年未満49名,10年以上20年未満41名,20年以上26名と,参加者の半数以上が経験10年以上の会員であった。現在の会員動向からみても10年以上の会員は全体の約30%であり,経験年数の高い方の参加が多い傾向にあった。勤務先については,病院が72名と半数以上を占め,次いで,クリニックの順に多く,協会登録の施設割合に沿った割合であった。事業への参加経験については,以前関わったことがある・現在関わっているが65名と半数以上を占めた。受講動機については,「見識を深めるため」や「今後のために必要」という能動的な動機での参加60名と「立場的に」や「職場からの指示」など受動的な動機が55名であった。今後の事業参加については,「取り組んでいきたい」という回答が大半であったが,今後の協会の取り組みの課題等意見もみられた。また,経験年数と受講動機の関係は,r=0.300と有意な正の相関がみられた。また,事業参加の有無と理解度の関係は,χ2=5.835(p=0.01)で有意差が認められた。自由意見としては,研修会に対して,協会の制度やシステムについて,現在の協会の対応や方針ついて,今後の取り組みについてに大別された。

【結論】

導入研修会参加者のアンケートをもとに,地域包括ケアシステムにむけた当協会会員の現状を調査した。経験年数と受講動機,事業参加の有無と理解度に有意な関係性がみられた。制度に関しての周知や地域特性のある課題もあげられ今後さらなる取り組みの必要性が示唆された。