[O-ED-03-4] 呼吸リハビリテーション勉強会における肺音分類の正答率について
Keywords:肺音, 聴診, 正答率
【はじめに,目的】
肺音の聴診は疾病診断,病状把握,呼吸リハビリテーション介入の効果判定などにおいて重要な評価手技である。しかし聴診器を通して聴こえる音は多様であり,聴取した音が肺音分類のどの音であるか正しく分類することは日常的に聴診を行う医療スタッフにおいても難しい。そこで今回,無作為に流した肺音を医療スタッフが聴いた場合に,どれくらいの割合で正しく肺音分類が行えるかについての調査を行った。
【方法】
平成27年10月24日に開催した呼吸リハビリテーション勉強会に参加した医療スタッフ78名(理学療法士55名,看護師14名,作業療法士4名,言語聴覚士1名,職種不明4名)を対象とした。対象者には肺音を聴取した部位の写真を示しながら,7種類の肺音(肺胞呼吸音,気管呼吸音,低音性連続性ラ音,高音性連続性ラ音,粗い断続性ラ音,細かい断続性ラ音,肺胞呼吸音の気管支呼吸音化)を無作為の順番で聴いてもらい,聴こえた音が7種類の肺音のうちの何音であるかについて指定の用紙に順番に記載してもらった。そして,用紙を回収して回答結果から正答率を算出した。
【結果】
対象者全体の経験年数は平均7.1年(最長28年),聴診に関する勉強会への参加回数は平均1.1回(最大3回)であった。理学療法士のみの経験年数は平均6.1年(最長18年),聴診に関する勉強会への参加回数は平均1.0回(最大3回)であった。参加者全体での正答率は肺胞呼吸音が68%,気管呼吸音が78%,低音性連続性ラ音が62%,高音性連続性ラ音が68%,粗い断続性ラ音53%,細かい断続性ラ音が54%,肺胞呼吸音の気管支呼吸音化が67%であった。理学療法士のみでの正答率も肺胞呼吸音が67%,気管呼吸音が75%,低音性連続性ラ音が65%,高音性連続性ラ音が69%,粗い断続性ラ音56%,細かい断続性ラ音が56%,肺胞呼吸音の気管支呼吸音化が71%と,参加者全体の結果とほぼ同じ傾向を示した。
【結論】
正常音である肺胞呼吸音と気管呼吸音についての正答率は高かったが,これらの音の鑑別ができない参加者もみられた。正常音の鑑別は肺胞呼吸音が気管支呼吸音に近づく気管支呼吸音化を察知するために必要であり,まずは正常音についての理解の徹底が必要であると思われた。また異常音については全体的に正答率が低く,とくに粗い断続性ラ音と細かい断続性ラ音を混同している者が多かった。これらの音は似ているが,発生する病態は大きく異なるため異常音の発生のメカニズムについて十分理解してもらう必要があると思われた。今後,聴診所見をケアやリハビリテーションに活用する医療者スタッフが増えるよう,勉強会内容の検討を行っていきたいと考える。
肺音の聴診は疾病診断,病状把握,呼吸リハビリテーション介入の効果判定などにおいて重要な評価手技である。しかし聴診器を通して聴こえる音は多様であり,聴取した音が肺音分類のどの音であるか正しく分類することは日常的に聴診を行う医療スタッフにおいても難しい。そこで今回,無作為に流した肺音を医療スタッフが聴いた場合に,どれくらいの割合で正しく肺音分類が行えるかについての調査を行った。
【方法】
平成27年10月24日に開催した呼吸リハビリテーション勉強会に参加した医療スタッフ78名(理学療法士55名,看護師14名,作業療法士4名,言語聴覚士1名,職種不明4名)を対象とした。対象者には肺音を聴取した部位の写真を示しながら,7種類の肺音(肺胞呼吸音,気管呼吸音,低音性連続性ラ音,高音性連続性ラ音,粗い断続性ラ音,細かい断続性ラ音,肺胞呼吸音の気管支呼吸音化)を無作為の順番で聴いてもらい,聴こえた音が7種類の肺音のうちの何音であるかについて指定の用紙に順番に記載してもらった。そして,用紙を回収して回答結果から正答率を算出した。
【結果】
対象者全体の経験年数は平均7.1年(最長28年),聴診に関する勉強会への参加回数は平均1.1回(最大3回)であった。理学療法士のみの経験年数は平均6.1年(最長18年),聴診に関する勉強会への参加回数は平均1.0回(最大3回)であった。参加者全体での正答率は肺胞呼吸音が68%,気管呼吸音が78%,低音性連続性ラ音が62%,高音性連続性ラ音が68%,粗い断続性ラ音53%,細かい断続性ラ音が54%,肺胞呼吸音の気管支呼吸音化が67%であった。理学療法士のみでの正答率も肺胞呼吸音が67%,気管呼吸音が75%,低音性連続性ラ音が65%,高音性連続性ラ音が69%,粗い断続性ラ音56%,細かい断続性ラ音が56%,肺胞呼吸音の気管支呼吸音化が71%と,参加者全体の結果とほぼ同じ傾向を示した。
【結論】
正常音である肺胞呼吸音と気管呼吸音についての正答率は高かったが,これらの音の鑑別ができない参加者もみられた。正常音の鑑別は肺胞呼吸音が気管支呼吸音に近づく気管支呼吸音化を察知するために必要であり,まずは正常音についての理解の徹底が必要であると思われた。また異常音については全体的に正答率が低く,とくに粗い断続性ラ音と細かい断続性ラ音を混同している者が多かった。これらの音は似ているが,発生する病態は大きく異なるため異常音の発生のメカニズムについて十分理解してもらう必要があると思われた。今後,聴診所見をケアやリハビリテーションに活用する医療者スタッフが増えるよう,勉強会内容の検討を行っていきたいと考える。