[O-ED-04-1] 学外実習開始前の不安度と不安項目からの知見
~学年およびAT(Athletic Trainer)併修コースとの相違~
キーワード:学外実習, STAI, 不安項目
【はじめに,目的】
学外実習は,学生にとって学内講義と違い,経験したことのない環境となるため大きなストレスとなる。よって,学生は精神的に緊張や不安を多く抱いていると思われる。今回は,学外実習の内容,対象学年の違いにおいて学生が感じる不安度と不安項目に特徴があるのか検討した。
【方法】
対象は,学外実習として,臨床実習を行う理学療法学専攻3年生62名(平均年齢21.9±4.0歳)と臨床見学を行う理学療法学専攻1年生60名(平均年齢19.4±4.0歳)とした。学外実習開始2週間前にSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)と不安項目の調査を行った。不安項目としては,対人関係4項目,知識・技術・実務に関して4項目,実習中の生活面3項目,合否に関して1項目とした。統計学的分析はSTAIの状態不安と特性不安を3年生と1年生との間でstudent's t検定(p<0.01)を用いて行った。次に,3年生および1年生各々のSTAIの状態不安,特性不安と不安項目数との間の相関関係をSpearmanの順位相関係数(p<0.01)を用いて分析した。また,本校の理学療法学専攻にはアスレティックトレーナー(AT:Athletic Trainer)併修コースが含まれている。今回,対象となる3年生の中にAT併修コース(3年PT/AT)を履修している学生が10名在籍している。そこで,理学療法学専攻のみ(3年PT)学生52名と3年PT/AT学生10名のSTAIの状態不安と特性不安をstudent's t検定(p<0.05)を用いて比較検討した。
【結果】
状態不安は3年生が49.4±9.4,1年生が41.8±8.1であった。特性不安は3年生が47.9±6.9,1年生が42.4±8.5であった。状態不安,特性不安ともに3年生と1年生との間に有意差を認めた。また,状態不安,特性不安と不安項目数との間の相関関係は,3年生では相関関係を認めなかったが,1年生においては正の相関が認められた。一方,3年PTと,3年PT/ATとの状態不安は3年PTが50.4±9.5,3年PT/ATが47.2±11.1であり有意差を認めた。特性不安は3年PTが47.4±6.9,3年PT/ATが46.2±9.0であり有意差がなかった。
【結論】
学外実習の内容や学年の違いから不安度や不安項目に特徴的な違いが確認された。また,3年生は,2年次に評価実習(3週間)を体験しており,学外実習での達成感や充実感,不安感や困難さなどの経験から,様々な思いを抱いていると思われる。よって,状態不安,特性不安ともに高値を示し,知識・技術・実務に関する不安と睡眠時間への不安が極端に高かったと思われる。一方,3年PT/AT学生においては,臨床実習前でも状態不安が低値を示しており,対人関係においても不安を訴える傾向が少なかった。これは,3年PT/AT学生は1年後期より学外でAT実習として大学や高校の部活動内でのトレーナー活動を行っている。このAT実習経験が,対人関係への不安を抱かない要因になったと考える。今後,これらの特徴を踏まえた実習前指導を行っていきたいと思う。
学外実習は,学生にとって学内講義と違い,経験したことのない環境となるため大きなストレスとなる。よって,学生は精神的に緊張や不安を多く抱いていると思われる。今回は,学外実習の内容,対象学年の違いにおいて学生が感じる不安度と不安項目に特徴があるのか検討した。
【方法】
対象は,学外実習として,臨床実習を行う理学療法学専攻3年生62名(平均年齢21.9±4.0歳)と臨床見学を行う理学療法学専攻1年生60名(平均年齢19.4±4.0歳)とした。学外実習開始2週間前にSTAI(State-Trait Anxiety Inventory)と不安項目の調査を行った。不安項目としては,対人関係4項目,知識・技術・実務に関して4項目,実習中の生活面3項目,合否に関して1項目とした。統計学的分析はSTAIの状態不安と特性不安を3年生と1年生との間でstudent's t検定(p<0.01)を用いて行った。次に,3年生および1年生各々のSTAIの状態不安,特性不安と不安項目数との間の相関関係をSpearmanの順位相関係数(p<0.01)を用いて分析した。また,本校の理学療法学専攻にはアスレティックトレーナー(AT:Athletic Trainer)併修コースが含まれている。今回,対象となる3年生の中にAT併修コース(3年PT/AT)を履修している学生が10名在籍している。そこで,理学療法学専攻のみ(3年PT)学生52名と3年PT/AT学生10名のSTAIの状態不安と特性不安をstudent's t検定(p<0.05)を用いて比較検討した。
【結果】
状態不安は3年生が49.4±9.4,1年生が41.8±8.1であった。特性不安は3年生が47.9±6.9,1年生が42.4±8.5であった。状態不安,特性不安ともに3年生と1年生との間に有意差を認めた。また,状態不安,特性不安と不安項目数との間の相関関係は,3年生では相関関係を認めなかったが,1年生においては正の相関が認められた。一方,3年PTと,3年PT/ATとの状態不安は3年PTが50.4±9.5,3年PT/ATが47.2±11.1であり有意差を認めた。特性不安は3年PTが47.4±6.9,3年PT/ATが46.2±9.0であり有意差がなかった。
【結論】
学外実習の内容や学年の違いから不安度や不安項目に特徴的な違いが確認された。また,3年生は,2年次に評価実習(3週間)を体験しており,学外実習での達成感や充実感,不安感や困難さなどの経験から,様々な思いを抱いていると思われる。よって,状態不安,特性不安ともに高値を示し,知識・技術・実務に関する不安と睡眠時間への不安が極端に高かったと思われる。一方,3年PT/AT学生においては,臨床実習前でも状態不安が低値を示しており,対人関係においても不安を訴える傾向が少なかった。これは,3年PT/AT学生は1年後期より学外でAT実習として大学や高校の部活動内でのトレーナー活動を行っている。このAT実習経験が,対人関係への不安を抱かない要因になったと考える。今後,これらの特徴を踏まえた実習前指導を行っていきたいと思う。