第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題口述

日本理学療法教育学会 一般演題口述
(教育)06

2016年5月28日(土) 17:10 〜 18:10 第9会場 (札幌コンベンションセンター 2階 207)

座長:仙波浩幸(豊橋創造大学 保健医療学部)

[O-ED-06-1] Google Appsを用いた欠課連絡メールシステムの有用性

米ヶ田宜久, 髙濱照 (九州中央リハビリテーション学院)

キーワード:欠課, 学内成績, メール

【はじめに,目的】

本学院では,Googleのコミュニケーションサービス群「Google Apps for Education」にてメールシステムを構築し,学生はスマートフォン(98.2%),ノートパソコン(98.7%)を所持し常時メール受信が可能である。本学院では成績向上・退学者減少を図るべく,2013年度より新カリキュラムを採用した。経験上,欠課数は成績に強く関係していると感じていた。今回,欠課の減少・成績向上を目的に,2014年より欠課を学生・担任にメール配信し,2015年から保護者へも(以下3者)配信するシステムを構築・運用した結果を報告する。


【方法】

各授業担当者は講義終了後,本システムを用い科目名・欠課数合計を記したメールを送信した。システムはスプレッドシートのGoogle Apps Scriptを用い構築した。2013年から2015年の1学年の前期授業期間(4月から9月)を対象(それぞれ89名,78名,79名,合計246名)に欠課数・成績の平均点を多重比較のScheffe法にて比較し,有意水準5%にて検定を行った。また,2015年10月に理学療法学科昼間部1・2・3年生(計185名)を対象にアンケートを行った。


【結果】

前期期間の欠課平均回数・平均点は,2013年10.02±23.06回/人,58.2±16.16点,2014年3.63±6.0回/人,69.6±14.52点,2015年1.68±2.13回/人,64.53±10.16点であった。メール未送信の2013年と3者にメールを行った2015年に有意な差を認めた(P<0.01)。平均点はすべての組み合わせにおいて有意な差を認めた(P<0.05)。欠課数と成績は負の相関(2013年r=-0.66,2014年r=-0.67,2015年r=-0.65)を認めた。アンケート回収率は92.4%であった。89.5%がメールを受信チェックしている,80.1%が欠課と成績の関連性を知っていると答えた。79.5%の学生がメール受信経験があると答え,54.4%が役立つ,41.1%がどちらでもない,0.04%が役立たないと答えた。メール本文の内容は,66.9%が役立つ,30.1%がどちらでもない,0.03%が役立たないと答えた。


【結論】

欠課数は2013年と2015年では平均で1/10に有意に減少した。また,成績の向上も認められた。1学年の前期期間は新しい環境に置かれた学生にとって非常に重要な時期である。この時期の欠課を担任だけではなく保護者にも知らせるということが,欠課を大幅に減少させる結果になった。アンケートでは約半数以上が欠課を知らせるメールとそのメール内容を有用であると答えている。学生個人が自己の受講状態を把握し,担任・保護者が迅速に把握対応可能な環境を構築したことが,欠課を減少させ成績が向上した要因となったのではないかと考えられる。

今後は学年(1年間)で調査を行い欠課数の減少・成績の向上・退学者の減少に繋がるツールとなるよう調査・研究を継続して行っていきたいと考える。