第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題口述

日本理学療法教育学会 一般演題口述
(教育)06

2016年5月28日(土) 17:10 〜 18:10 第9会場 (札幌コンベンションセンター 2階 207)

座長:仙波浩幸(豊橋創造大学 保健医療学部)

[O-ED-06-3] 千葉県理学療法士会会員のストレスについて

調査職業性ストレス簡易調査票を用いたストレス調査

西本浩子1,2, 江澤かおり1,3, 知脇希4 (1.一般社団法人千葉県理学療法士会職能局/ワークライフバランス部, 2.社会福祉法人恩賜財団済生会千葉県済生会習志野病院, 3.千葉県中央障害者相談センター, 4.帝京平成大学健康メディカル学部理学療法学科)

キーワード:理学療法士, ストレス, 調査

【はじめに,目的】

千葉県理学療法士会ワークライフバランス部では,2007年に全会員を対象に意識調査を,2010年には管理者を対象に調査を実施し,判明した課題を解消すべく,研修会実施や学会発表や県士会ニュースで情報提供している。今年4月に会員の実態把握・業務負荷についての検討を目的に「理学療法士の就業に関する調査(以下就業調査)」と共に,ストレスの実態把握・軽減手がかりとするため「職業性ストレス簡易調査票(以下ストレス調査)」を実施した。ストレスに関する調査は労働安全衛生法の改正(平成26年6月26日公布)に伴い,平成27年12月から50人以上従業員がいる事業所では義務化されることとなっている。今回,このストレス調査の結果について報告する。

【方法】

2015年2月に千葉県士会ニュースと同封し,郵送調査法(自記式)を実施した。同月在籍していた3,523名に配布した。返信があった575名中,無回答74名を除いた501名を対象とした。対象者は男性316名,女性205名,平均年齢33.7(21≦y≦67)歳,平均経験年数10.5(1≦y≦43)年。そのうち役職有事者は166名だった。ストレス調査は平成7~11年に労働省(現:厚生労働省)の委託研究「作業関連疾患の予防に関する研究」に関する,東京医科大学の研究成果物であり,日本ストレス調査協会などで利用され,ストレス量とストレス要因,ストレス反応が把握できる「職業性ストレス簡易調査票」を使用した。有効回答について,それらの結果を性別,経験年数等で分析した。

【結果】

量;「あまりかかえていない」46%,「少しある」28%,「少し高いが,仕事のストレス問題はない」10%,「やや高め」12%,「無回答」4%。ストレス要因;「問題がない」58%,「身体的負担」27%,「質的負担」14%,「量的負担」13%,「対人関係」4%,「仕事のコントロール量が低い」3%。ストレス反応;「特に問題なし」58%,「疲労感あり」14%,「イライラ感あり」8%,「活気なし」8%,「抑うつあり」4%,「身体愁訴あり」3%,「不安感あり」0%。

性別比,ストレス要因;1位「ない」,2位「身体的負担」となったが,3位は男性は「量的負担」,女性は「質的負担」。

経験年数比,ストレス量;1~4年目まで「やや高め」19.8%。

経験年数比,ストレス要因;1~19年目までに「仕事量のコントロール」が要因としてあるが,それ以上の経験年数では0%。

役職有事者と非有事者ではストレス反応や要因に大きく差はなかった。


【結論】

約6割の会員はストレスを上手に解消する手段があることがわかった。一方で「やや高め」のストレスを抱えている方が12%いる状況があり,抑鬱・身体的負担を認める会員もいることが割わかった。部として,ストレス処理の方法や,重篤な症状の発見と対処に関する研修や情報提供など検討していきたい。