[O-HT-03-2] 高齢開心術施行患者における転帰に対する術前身体機能測定の意義
Keywords:Short Physical Performance Battery, 転帰, 開心術後
【はじめに,目的】近年,我が国においては,医療制度改革に伴い平均在院日数は短縮されている。一方,待機的開心術を施行される高齢者は,増加傾向にある。高齢者の開心術では,術後早期より積極的に離床を進めても,それに難渋し,自宅退院が困難となる例もある。先行研究(Edgerton, et al., 2013)では,手術のリスクスコアが高値であった開心術患者は,低値のそれに比し,自宅退院率は低いことが示されている。しかし,待機的開心術を施行された高齢患者における術前身体機能と自宅退院に関する報告は極めて少ない。本研究の目的は,高齢開心術患者における転帰に対する予測因子について明らかにすることである。
【方法】対象は,2013年7月から2015年9月までに,当院心臓血管外科にて待機的開心術かつ術前身体機能の評価が施行された,65歳以上の高齢者,連続84例である。我々は,全84例を自宅退院群と施設転院群に選別し,術前の年齢,性別,体格指数,併存疾患,血液生化学検査として脳性ナトリウム利尿ペプチド,ヘモグロビン値,アルブミン値,推定糸球体濾過量,心エコーによる心機能,Euro SCORE II,手術時間,術中水分バランス,大動脈遮断時間,独居の有無および身体機能について群間で比較した。術前身体機能の指標は,握力,膝伸展筋力,Short Physical Performance Battery(SPPB)である。統計学的手法として我々は,群間比較に,Mann-WhitneyのU検定とカイ2乗検定を用いた。また,群間で有意な差を認めた項目を説明変数,自宅退院を目的変数とする多変量ロジスティック回帰分析を実施した。さらに,有意であった項目に関しては,Receiver operating characteristic曲線より抽出された独立因子のカットオフ値および感度,特異度を算出した。統計学的有意差判定の基準は5%未満である。
【結果】自宅退院群は71例(年齢76.1±6.7歳,男性52%),施設転院群は13例(年齢79.9±6.2歳,男性54%)であった。自宅退院群は施設転院群に比し,術前の脳性ナトリウム利尿ペプチドは低値(P=0.04),血清アルブミン値は高値(P=0.002),SPPBは高値(P=0.003)を示した。回帰分析の結果,SPPB(オッズ比1.41,95%信頼区間1.01-2.03,P=0.04)が独立因子として抽出された。また,自宅退院のためのカットオフ値は,10点(感度0.88,特異度0.54,Area under the curve=0.73)であった。
【結論】本研究結果より,術前SPPBは,高齢開心術施行患者の転帰を予測する独立因子であることが示された。
【方法】対象は,2013年7月から2015年9月までに,当院心臓血管外科にて待機的開心術かつ術前身体機能の評価が施行された,65歳以上の高齢者,連続84例である。我々は,全84例を自宅退院群と施設転院群に選別し,術前の年齢,性別,体格指数,併存疾患,血液生化学検査として脳性ナトリウム利尿ペプチド,ヘモグロビン値,アルブミン値,推定糸球体濾過量,心エコーによる心機能,Euro SCORE II,手術時間,術中水分バランス,大動脈遮断時間,独居の有無および身体機能について群間で比較した。術前身体機能の指標は,握力,膝伸展筋力,Short Physical Performance Battery(SPPB)である。統計学的手法として我々は,群間比較に,Mann-WhitneyのU検定とカイ2乗検定を用いた。また,群間で有意な差を認めた項目を説明変数,自宅退院を目的変数とする多変量ロジスティック回帰分析を実施した。さらに,有意であった項目に関しては,Receiver operating characteristic曲線より抽出された独立因子のカットオフ値および感度,特異度を算出した。統計学的有意差判定の基準は5%未満である。
【結果】自宅退院群は71例(年齢76.1±6.7歳,男性52%),施設転院群は13例(年齢79.9±6.2歳,男性54%)であった。自宅退院群は施設転院群に比し,術前の脳性ナトリウム利尿ペプチドは低値(P=0.04),血清アルブミン値は高値(P=0.002),SPPBは高値(P=0.003)を示した。回帰分析の結果,SPPB(オッズ比1.41,95%信頼区間1.01-2.03,P=0.04)が独立因子として抽出された。また,自宅退院のためのカットオフ値は,10点(感度0.88,特異度0.54,Area under the curve=0.73)であった。
【結論】本研究結果より,術前SPPBは,高齢開心術施行患者の転帰を予測する独立因子であることが示された。