第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題口述

日本心血管理学療法学会 一般演題口述
(心血管)03

2016年5月27日(金) 12:30 〜 13:30 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

座長:櫻田弘治(心臓血管研究所 リハビリテーション室), 田畑稔(豊橋創造大学 保健医療学部 理学療法学科)

[O-HT-03-6] 当院における心疾患患者の復職状況について

西村真人1, 根来まさのり1, 立花慶太1, 箕岡尚利1, 佐藤のぞみ1, 田中政敏1, 夏梅隆志2, 平林伸治2 (1.大阪労災病院中央リハビリテーション部, 2.大阪労災病院リハビリテーション科)

キーワード:心疾患, 復職状況, リハビリテーション加療希望

【はじめに,目的】本邦では,虚血性心疾患症例における復職調査は行われているが,心不全症例や不整脈症例の復職調査は行われていない。また,入院時に有職であった者を対象にしている調査の為,入院前に体調不良等の理由で離職した者は含まれていない。また,復職後の追跡調査が行われていないため,離職や配置転換などが不明確である。本調査の目的は,入院前および入院後最長18か月間の就労状況の追跡と復職を見据えた心臓リハビリテーション(以下心リハ)における支援の在り方の検討である。

【方法】対象は,当院で2013年に循環器内科および心臓血管外科に入院した20歳から60歳までの心疾患患者249名である。方法は,郵送によるアンケートで患者属性の他,入院前の就労状況および退院後の復職状況を調査した。また,復職状況により心リハ加療に対する希望に違いがあるかを検討した。統計学的処理はMann-WhitneyのU検定,χ2検定を用い,p<0.05をもって有意とした。

【結果】アンケート回収率は65.0%(162名,男性124名,女性38名,平均年齢52.4±7.9歳)であった。入院前に就労していた患者(就労者)は132名,就労していなかった患者(非就労者)は25名であった。就労者のうち復職した患者は106名(復職率80.3%)で,入院前と同じ作業を行っている者は87名であった。しかし,そのうち48名が健康上の不安を有していた。復職後に転職・異動した患者19名うち3名は,健康上の理由で転職・異動をしていた。さらに7名は,現在も健康上の不安を有していた。復職しなかった患者25名中21名は,健康上の不安を理由に退職していた。また,退職者のうち16名は,現在も健康上の不安を有していた。非就労者30名中16名は,身体的理由(内,心疾患5名)で就労していなかった。また,19名は健康上の不安を現在も有していた。心リハ加療に関しては全体で77名が希望した。内訳は,現職復帰患者41名,転職・異動患者7名,復帰しなかった患者16名,非就労者13名であり,統計学的有意差は認めなかった。また,心リハの希望内容としては,運動療法が全体で55名と最も多かった。

【結論】回答のあった患者のうち87名は,スムーズ復職をしていた。しかし,29名は心疾患のため退職・異動を余儀なくされている。さらに,90名は現在も健康上の不安を有し,77名の患者は心リハ,特に55名が運動療法の施行を望んでいる。これは心疾患患者では復職状況によらず,これらの患者に対する心リハ加療体制の整備や復職および治療就労継続支援システムを構築する必要があることが示唆された。