[O-HT-04-5] 当院心臓リハビリテーション患者の換気効率に影響を与える因子の検討
キーワード:心疾患, 換気効率, 身体機能
【はじめに,目的】
心肺運動負荷試験(CPX)は,運動処方の目的や運動耐容能の評価などに頻用され,二酸化炭素換気当量(VE/VCO2slope)は,運動負荷や最大負荷量や無酸素性代謝閾値(AT)に達しなくても得られるため,運動耐容能を簡便かつ安全に推測し得る指標である。また,VE/VCO2slope≧34は生命予後規定因子としても注目されている。最高酸素摂取量(peakVO2)と生命予後や身体機能の報告は散見されているが,VE/VCO2slopeの報告は少なく,特に身体所見との関連については明らかでない。
そこで,本研究の目的は,心疾患患者の換気効率に影響を与える要因を明らかにし身体機能との関連性を検討することである。
【方法】
対象は当院心臓リハビリテーション(心リハ)を実施し,CPXを行った患者49例(年齢72.7±10.4歳 男性31名,女性18名)とし,疾患の内訳は,心不全・心筋梗塞・狭心症・大血管疾患である。CPXよりpeakVO2,AT,VE/VCO2slopeを測定し,身体機能は30秒椅子立ち上がりテスト(CS30),片脚立位時間,6分間歩行距離(6MD),膝伸展筋力,握力,Time Up andGo Test(TUG),最大10m歩行時間を計測した。また,診療記録より,心機能指標,血液生化学検査を後方視的に調査した。
統計学的解析方法は,VE/VCO2slopeと各評価項目の関連性をピアソンの相関係数を用いて検討した。対象者を換気効率の予後指標のカットオフ値であるVE/VCO2slope34で2群にわけ,34未満26名をA群と,34以上23名をB群とし,対応のないt検定を用いて比較検討した。また,Receiver Operating Characteristic(ROC)曲線よりカットオフ値と感度と特異度を求めるとともに曲線下面積(AUC)を算出した。いずれの検定において危険率5%未満を有意差判定の基準とした。
【結果】
VE/VCO2slopeとpeakVO2(r=-0.331)AT(r=-0.284)CS30(r=-0.374),6MD(r=-0.314)片脚立位時間(r=-0.288)に有意な負の相関がみられた。
また,両群間の比較では,peakVO2,CS30,6MDに有意差が認められた。peakVO2はA群15.4±3.3ml/min/kgB群13.1±3.1 ml/min/kg,CS30はA群18.2±4.1回B群15.3±4.5回,6MDはA群461.04±58.57mB群416.56±60.83m,とA群が有意に高値を示した。
また,ROC曲線より,カットオフ値CS30 16.5回(感度78.3%,特異度65.4%)AUC0.70,6MD427.5m(感度60.9%,特異度76%)AUC0.70が算出された。
【結論】
心疾患患者の換気効率と身体機能の関係を明らかにすることを目的にCPXの結果と,身体機能評価を用い比較した。VE/VCO2slopeと下肢機能,歩行持久力,バランスと有意な相関関係を認めた。また,予後指標VE/VCO2slope 34で2群に分け比較検討を行った結果,カットオフ値CS30 16.5回,6MD427.5mが算出された。つまり,換気効率へ影響を及ぼす因子は下肢機能,歩行持久力であることが明らかとなり,身体機能から換気効率が推察できる可能性が示唆された。
心肺運動負荷試験(CPX)は,運動処方の目的や運動耐容能の評価などに頻用され,二酸化炭素換気当量(VE/VCO2slope)は,運動負荷や最大負荷量や無酸素性代謝閾値(AT)に達しなくても得られるため,運動耐容能を簡便かつ安全に推測し得る指標である。また,VE/VCO2slope≧34は生命予後規定因子としても注目されている。最高酸素摂取量(peakVO2)と生命予後や身体機能の報告は散見されているが,VE/VCO2slopeの報告は少なく,特に身体所見との関連については明らかでない。
そこで,本研究の目的は,心疾患患者の換気効率に影響を与える要因を明らかにし身体機能との関連性を検討することである。
【方法】
対象は当院心臓リハビリテーション(心リハ)を実施し,CPXを行った患者49例(年齢72.7±10.4歳 男性31名,女性18名)とし,疾患の内訳は,心不全・心筋梗塞・狭心症・大血管疾患である。CPXよりpeakVO2,AT,VE/VCO2slopeを測定し,身体機能は30秒椅子立ち上がりテスト(CS30),片脚立位時間,6分間歩行距離(6MD),膝伸展筋力,握力,Time Up andGo Test(TUG),最大10m歩行時間を計測した。また,診療記録より,心機能指標,血液生化学検査を後方視的に調査した。
統計学的解析方法は,VE/VCO2slopeと各評価項目の関連性をピアソンの相関係数を用いて検討した。対象者を換気効率の予後指標のカットオフ値であるVE/VCO2slope34で2群にわけ,34未満26名をA群と,34以上23名をB群とし,対応のないt検定を用いて比較検討した。また,Receiver Operating Characteristic(ROC)曲線よりカットオフ値と感度と特異度を求めるとともに曲線下面積(AUC)を算出した。いずれの検定において危険率5%未満を有意差判定の基準とした。
【結果】
VE/VCO2slopeとpeakVO2(r=-0.331)AT(r=-0.284)CS30(r=-0.374),6MD(r=-0.314)片脚立位時間(r=-0.288)に有意な負の相関がみられた。
また,両群間の比較では,peakVO2,CS30,6MDに有意差が認められた。peakVO2はA群15.4±3.3ml/min/kgB群13.1±3.1 ml/min/kg,CS30はA群18.2±4.1回B群15.3±4.5回,6MDはA群461.04±58.57mB群416.56±60.83m,とA群が有意に高値を示した。
また,ROC曲線より,カットオフ値CS30 16.5回(感度78.3%,特異度65.4%)AUC0.70,6MD427.5m(感度60.9%,特異度76%)AUC0.70が算出された。
【結論】
心疾患患者の換気効率と身体機能の関係を明らかにすることを目的にCPXの結果と,身体機能評価を用い比較した。VE/VCO2slopeと下肢機能,歩行持久力,バランスと有意な相関関係を認めた。また,予後指標VE/VCO2slope 34で2群に分け比較検討を行った結果,カットオフ値CS30 16.5回,6MD427.5mが算出された。つまり,換気効率へ影響を及ぼす因子は下肢機能,歩行持久力であることが明らかとなり,身体機能から換気効率が推察できる可能性が示唆された。