[O-KS-13-2] 荷重除去とその後の再荷重によるマウスヒラメ筋の筋線維タイプ移行とNFATファミリーの発現
Keywords:筋線維タイプ, 荷重除去, NFAT
【はじめに,目的】骨格筋の特性は,それを構成する筋線維タイプによって決定される。荷重除去により抗重力筋における遅筋(タイプI)線維の構成比率が低下,すなわち速筋化が生じることはよく知られている。タイプI線維は主に姿勢維持や持久力に関与するとされているため,タイプI線維構成比率の低下は姿勢制御不良による転倒や歩行能力の低下をもたらす。理学療法士はこのような患者に対することが多く,運動処方を行う際は筋線維タイプを考慮したアプローチが必要となるため,荷重除去やその後の再荷重による筋線維タイプ移行メカニズムを明らかにすることはリハビリテーションを遂行する上で有用な基礎資料となる。
筋線維タイプの制御に係る因子としてNFATシグナルが知られている。NFATはc1-4のファミリーから構成され,それらの発現パターンによってミオシン重鎖(MyHC)発現を制御していると考えられている。荷重除去やその後の再荷重によるタイプI線維構成比率の変化にもNFATファミリーが関与していることが示唆されるものの,詳細は不明である。そこで本研究では,荷重除去とその後の再荷重による筋線維タイプ移行に伴うNFATファミリー発現の挙動から明らかにすることを目的とした。
【方法】10週齢ICR系雄性マウスに対して,2週間の後肢懸垂を負荷した。さらに,懸垂後に通常飼育に戻して2週間の再荷重期間を設定した。後肢懸垂前,直後および2週間の再荷重後にヒラメ筋を摘出し,蛍光免疫組織染色を施して筋線維タイプをI,IIaおよびIIbに分類し,筋線維タイプ構成比率を算出した。また,Western blot法によりNFATc1-4の発現量を評価した。
【結果】筋重量は2週間の後肢懸垂により有意に低下し(p<0.01),懸垂後の2週間の再荷重により懸垂前の水準まで回復した。一方,タイプI線維構成比率は後肢懸垂により有意に低下し(p<0.01),再荷重により回復する傾向が認められたが,完全には回復しなかった。ヒラメ筋におけるNFATc1発現量は後肢懸垂により約3倍に増加し(p<0.01),再荷重によって減少して後肢懸垂前の水準まで回復した。しかし,NFATc2発現量は後肢懸垂により約70%減少し(p<0.01),再荷重により増加する傾向を認めた。NFATc3およびc4発現量に,後肢懸垂とその後の再荷重による影響は認められなかった。
【結論】タイプI MyHC発現には,NFATc1-4の全ての関与が示唆されている。本研究の結果から,荷重除去に伴うタイプI線維構成比率の低下は,NFATc2の発現低下に起因していると考えられた。しかし,再荷重によるタイプI線維構成比率の増加はNFATファミリーの発現からは説明が難しく,他の要因の関与が示唆された。
筋線維タイプの制御に係る因子としてNFATシグナルが知られている。NFATはc1-4のファミリーから構成され,それらの発現パターンによってミオシン重鎖(MyHC)発現を制御していると考えられている。荷重除去やその後の再荷重によるタイプI線維構成比率の変化にもNFATファミリーが関与していることが示唆されるものの,詳細は不明である。そこで本研究では,荷重除去とその後の再荷重による筋線維タイプ移行に伴うNFATファミリー発現の挙動から明らかにすることを目的とした。
【方法】10週齢ICR系雄性マウスに対して,2週間の後肢懸垂を負荷した。さらに,懸垂後に通常飼育に戻して2週間の再荷重期間を設定した。後肢懸垂前,直後および2週間の再荷重後にヒラメ筋を摘出し,蛍光免疫組織染色を施して筋線維タイプをI,IIaおよびIIbに分類し,筋線維タイプ構成比率を算出した。また,Western blot法によりNFATc1-4の発現量を評価した。
【結果】筋重量は2週間の後肢懸垂により有意に低下し(p<0.01),懸垂後の2週間の再荷重により懸垂前の水準まで回復した。一方,タイプI線維構成比率は後肢懸垂により有意に低下し(p<0.01),再荷重により回復する傾向が認められたが,完全には回復しなかった。ヒラメ筋におけるNFATc1発現量は後肢懸垂により約3倍に増加し(p<0.01),再荷重によって減少して後肢懸垂前の水準まで回復した。しかし,NFATc2発現量は後肢懸垂により約70%減少し(p<0.01),再荷重により増加する傾向を認めた。NFATc3およびc4発現量に,後肢懸垂とその後の再荷重による影響は認められなかった。
【結論】タイプI MyHC発現には,NFATc1-4の全ての関与が示唆されている。本研究の結果から,荷重除去に伴うタイプI線維構成比率の低下は,NFATc2の発現低下に起因していると考えられた。しかし,再荷重によるタイプI線維構成比率の増加はNFATファミリーの発現からは説明が難しく,他の要因の関与が示唆された。