[O-KS-14-1] 臥位エルゴメータ運動における負荷方法の違いによる呼吸循環反応および下肢筋活動への影響
キーワード:臥位エルゴメータ, 呼気ガス分析, 筋活動量
【はじめに,目的】
本研究では一般的に透析中運動時にベッド上で使用される臥位エルゴメータを用いて,運動負荷方法の違いが呼吸循環系および下肢筋活動にどのように影響を及ぼすか明らかにする事を目的に,健常者に対する基礎研究を行った。
【方法】
対象者は,健常成人男性8人(年齢21±1歳,身長171.7±6.2cm,体重69.7±5.2kg,BMI23.8±2.9)であった。運動介入は,スピードは変えずペダルの重さを漸増するWatt漸増負荷と重さは変えずにペダルスピードを漸増するSpeed漸増負荷の2つの方法とした。Watt漸増負荷は30W,50W,70Wの3段階,Speed漸増負荷は,60rpm,80rpm,100rpmの3段階に漸増し,運動時間は各運動を5分ずつの計15分とした。実験では,負荷量可変式エルゴメータてらすエルゴ高負荷タイプ(TE2-70,昭和電機社製)を使用し,携帯型呼気ガス分析装置(AT-1100,アニマ社製),心電計(ECG-1550,日本光電社製),運動負荷血圧監視装置Tango(サンテックメディカル社製)を用いて,酸素摂取量(VO2),二酸化炭素排出量(VCO2),換気量(VE),心拍数,血圧,Borg Scaleを測定した。下肢筋活動は,表面筋電計(テレマイオ2400:EM-401,Noraxon社製)で,外側広筋,大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋の筋活動を測定した。筋電図処理は,各負荷3~5分の計3分間における平均筋活動量を算出した。
統計解析は,各運動介入での各負荷間の多重比較は,呼気ガス分析,心拍数,血圧は反復測定分散分析および多重比較法,Borg Scale,筋電図ではShafferの方法で有意水準を補正したWilcoxonの符号付順位和検定による多重比較を用いて検定した。また,各運動介入間の各負荷間の2群比較を対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位和検定で検定した。有意水準は5%とした。
【結果】
両運動介入の安静時および各負荷間の4群比較では,VO2,VCO2,VEの全てにおいて有意差が認められた(p<0.01)。筋電図はSpeed漸増負荷では全ての筋の3群間で有意差が認められ(p<0.05),Watt漸増負荷では腓腹筋以外の4筋で有意差が認められた(p<0.05)。運動介入別の2群間比較では,70Wと100rpm間の心拍数でSpeed漸増の方が高値を示し,有意差が認められた(p<0.05)。
【結論】
Watt漸増負荷,Speed漸増負荷の双方で,運動負荷を漸増することで呼気ガス分析,および心拍数,血圧は有意に増加しており,ペダルの重さとスピードの漸増が双方とも運動強度の調節に有用であることが示唆された。また,筋電図解析では,運動負荷を漸増するとBorg Scaleに差はないもののSpeed漸増負荷の方が下肢の5筋全てで平均筋活動量が増加しており,同等の運動強度でもペダルスピードを増加させた方がより筋を動かす効果的な運動となっている可能性がある。70W負荷に比べ100rpmの心拍数が有意に高値を示しており,強度の高い運動ではSpeed漸増負荷の方が心拍数が上昇する可能性が示唆された。
本研究では一般的に透析中運動時にベッド上で使用される臥位エルゴメータを用いて,運動負荷方法の違いが呼吸循環系および下肢筋活動にどのように影響を及ぼすか明らかにする事を目的に,健常者に対する基礎研究を行った。
【方法】
対象者は,健常成人男性8人(年齢21±1歳,身長171.7±6.2cm,体重69.7±5.2kg,BMI23.8±2.9)であった。運動介入は,スピードは変えずペダルの重さを漸増するWatt漸増負荷と重さは変えずにペダルスピードを漸増するSpeed漸増負荷の2つの方法とした。Watt漸増負荷は30W,50W,70Wの3段階,Speed漸増負荷は,60rpm,80rpm,100rpmの3段階に漸増し,運動時間は各運動を5分ずつの計15分とした。実験では,負荷量可変式エルゴメータてらすエルゴ高負荷タイプ(TE2-70,昭和電機社製)を使用し,携帯型呼気ガス分析装置(AT-1100,アニマ社製),心電計(ECG-1550,日本光電社製),運動負荷血圧監視装置Tango(サンテックメディカル社製)を用いて,酸素摂取量(VO2),二酸化炭素排出量(VCO2),換気量(VE),心拍数,血圧,Borg Scaleを測定した。下肢筋活動は,表面筋電計(テレマイオ2400:EM-401,Noraxon社製)で,外側広筋,大腿直筋,大腿二頭筋,前脛骨筋,腓腹筋の筋活動を測定した。筋電図処理は,各負荷3~5分の計3分間における平均筋活動量を算出した。
統計解析は,各運動介入での各負荷間の多重比較は,呼気ガス分析,心拍数,血圧は反復測定分散分析および多重比較法,Borg Scale,筋電図ではShafferの方法で有意水準を補正したWilcoxonの符号付順位和検定による多重比較を用いて検定した。また,各運動介入間の各負荷間の2群比較を対応のあるt検定およびWilcoxonの符号付順位和検定で検定した。有意水準は5%とした。
【結果】
両運動介入の安静時および各負荷間の4群比較では,VO2,VCO2,VEの全てにおいて有意差が認められた(p<0.01)。筋電図はSpeed漸増負荷では全ての筋の3群間で有意差が認められ(p<0.05),Watt漸増負荷では腓腹筋以外の4筋で有意差が認められた(p<0.05)。運動介入別の2群間比較では,70Wと100rpm間の心拍数でSpeed漸増の方が高値を示し,有意差が認められた(p<0.05)。
【結論】
Watt漸増負荷,Speed漸増負荷の双方で,運動負荷を漸増することで呼気ガス分析,および心拍数,血圧は有意に増加しており,ペダルの重さとスピードの漸増が双方とも運動強度の調節に有用であることが示唆された。また,筋電図解析では,運動負荷を漸増するとBorg Scaleに差はないもののSpeed漸増負荷の方が下肢の5筋全てで平均筋活動量が増加しており,同等の運動強度でもペダルスピードを増加させた方がより筋を動かす効果的な運動となっている可能性がある。70W負荷に比べ100rpmの心拍数が有意に高値を示しており,強度の高い運動ではSpeed漸増負荷の方が心拍数が上昇する可能性が示唆された。