[O-KS-16-1] 外乱刺激応答時の足底内在筋活動に関する研究
Keywords:足趾, 外乱, 反応時間
【はじめに,目的】
外乱応答時の下肢筋反応は,遠位筋から活動を開始するとされている。外乱刺激を床面後方移動とすると,外乱刺激後に腓腹筋,ハムストリングス,脊柱起立筋と順に活動開始することで,姿勢の変化に応答している。先行研究では,足関節から遠位は一つの剛体とされており,足趾の動きや足底内在筋活動に焦点を当てた研究は少ない。
理学療法分野においては,足趾把持力とバランス機能に関する研究が行われており,足趾筋力の重要性が示唆されている。しかしながら,外乱応答時の制御への関与や,他の筋活動との関係など不明な部分が多い。
本研究の目的は,外乱刺激後の足底内在筋活動を経時的に分析し,外乱応答時のバランス制御に関する新たな知見を得ることである。
【方法】
1)対象
健常成人男女12名
除外基準:下肢の運動器疾患などの既往により,計測に問題が生じる者。
2)実験装置
・表面筋電図計(日本光電)
・平衡機能測定装置(NeuroCom)
・加速度センサー
3)実験の手順
平衡機能測定装置の床面水平移動開始(外乱刺激開始)を導出するために可動するプラットフォーム上に加速度センサーを設置した。被験者は下肢7筋に表面筋電図の電極を貼付し,転倒防止のハーネスを着用した状態で平衡機能測定装置上に立位をとった。両上肢は体側に下垂し,足部の位置は床面の規定に従い,前方の壁を注視させた。なお,足底筋の電極の床面接触を回避するために電極部をくりぬいた自作のアクリル板をプラットフォーム上に設置した。被験者には24回(前方,後方各12回)の外乱刺激に対して可能な限り姿勢を保つように指示した。
4)測定項目
・表面筋電図(短趾屈筋,母趾外転筋,ヒラメ筋,腓腹筋,前脛骨筋,大腿二頭筋,大腿直筋)
5)分析方法
加速度計からの導出信号と筋電図を同期させ,各筋電図データの時間正規化を行った上で整流化を行った。外乱刺激開始後500msのデータを外乱応答時の筋活動とした。外乱刺激前100msの筋活動の平均と標準偏差(以下SD)を算出した。筋電図波形を確認した上で平均+2SDを超えて持続した収縮が開始された時点を筋活動の開始とし,外乱刺激からの筋電図反応時間を算出した。12施行分の筋電図波形と筋電図反応時間を平均し,各被験者のデータとした。
反応時間の差の検定には1元配置分散分析,Tukey法を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
床面後方移動の外乱に対して,腓腹筋,ヒラメ筋,短趾屈筋,母趾外転筋は大腿二頭筋よりも有意に速く活動を開始した(p<0.01)。足底内在筋と下腿後面筋の反応時間に有意差は認められなかった(p>0.05)。床面前方移動の外乱に対して,前脛骨筋が短趾屈筋,母趾外転筋,大腿直筋よりも有意に速く活動を開始した(p<0.01)。
【結論】
床面後方移動の外乱において,足底内在筋は腓腹筋・ハムストリングスとともに協同収縮系としてプログラムされており,安定性維持に関与している可能性が示唆された。
外乱応答時の下肢筋反応は,遠位筋から活動を開始するとされている。外乱刺激を床面後方移動とすると,外乱刺激後に腓腹筋,ハムストリングス,脊柱起立筋と順に活動開始することで,姿勢の変化に応答している。先行研究では,足関節から遠位は一つの剛体とされており,足趾の動きや足底内在筋活動に焦点を当てた研究は少ない。
理学療法分野においては,足趾把持力とバランス機能に関する研究が行われており,足趾筋力の重要性が示唆されている。しかしながら,外乱応答時の制御への関与や,他の筋活動との関係など不明な部分が多い。
本研究の目的は,外乱刺激後の足底内在筋活動を経時的に分析し,外乱応答時のバランス制御に関する新たな知見を得ることである。
【方法】
1)対象
健常成人男女12名
除外基準:下肢の運動器疾患などの既往により,計測に問題が生じる者。
2)実験装置
・表面筋電図計(日本光電)
・平衡機能測定装置(NeuroCom)
・加速度センサー
3)実験の手順
平衡機能測定装置の床面水平移動開始(外乱刺激開始)を導出するために可動するプラットフォーム上に加速度センサーを設置した。被験者は下肢7筋に表面筋電図の電極を貼付し,転倒防止のハーネスを着用した状態で平衡機能測定装置上に立位をとった。両上肢は体側に下垂し,足部の位置は床面の規定に従い,前方の壁を注視させた。なお,足底筋の電極の床面接触を回避するために電極部をくりぬいた自作のアクリル板をプラットフォーム上に設置した。被験者には24回(前方,後方各12回)の外乱刺激に対して可能な限り姿勢を保つように指示した。
4)測定項目
・表面筋電図(短趾屈筋,母趾外転筋,ヒラメ筋,腓腹筋,前脛骨筋,大腿二頭筋,大腿直筋)
5)分析方法
加速度計からの導出信号と筋電図を同期させ,各筋電図データの時間正規化を行った上で整流化を行った。外乱刺激開始後500msのデータを外乱応答時の筋活動とした。外乱刺激前100msの筋活動の平均と標準偏差(以下SD)を算出した。筋電図波形を確認した上で平均+2SDを超えて持続した収縮が開始された時点を筋活動の開始とし,外乱刺激からの筋電図反応時間を算出した。12施行分の筋電図波形と筋電図反応時間を平均し,各被験者のデータとした。
反応時間の差の検定には1元配置分散分析,Tukey法を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
床面後方移動の外乱に対して,腓腹筋,ヒラメ筋,短趾屈筋,母趾外転筋は大腿二頭筋よりも有意に速く活動を開始した(p<0.01)。足底内在筋と下腿後面筋の反応時間に有意差は認められなかった(p>0.05)。床面前方移動の外乱に対して,前脛骨筋が短趾屈筋,母趾外転筋,大腿直筋よりも有意に速く活動を開始した(p<0.01)。
【結論】
床面後方移動の外乱において,足底内在筋は腓腹筋・ハムストリングスとともに協同収縮系としてプログラムされており,安定性維持に関与している可能性が示唆された。