[O-MT-01-3] 経皮的経椎間孔腰椎固定術術後早期の運動恐怖心が1年後の日常生活動作と疼痛に及ぼす影響
キーワード:腰椎後方固定術, 術後早期, 運動恐怖
【はじめに,目的】
腰部脊柱管狭窄症(LCS)に対して施行される経皮的経椎間孔腰椎固定術(MI-TLIF)後に,日常生活動作(ADL)が改善することが報告されている。しかし,腰椎術後においても十分なADLの改善が認められない症例も存在する。腰椎術後10~37ヶ月経過した患者において,運動恐怖心はADL能力に関与することが報告されている。運動恐怖心はADLの制限や疼痛の慢性化の予測因子になることが明らかになっている。しかし,どの時期の運動恐怖心が長期的なADL能力や疼痛の改善と関連するかは明らかではない。そこで本研究の目的はMI-TLIFにおける術後早期の運動恐怖心が術後1年のADLと疼痛に及ぼす影響を検討することとした。
【方法】
対象は2013年7月~2014年3月に当院でMI-TLIFを施行された45名(男性25名,女性20名,平均年齢68.3±8.6歳)とした。評価は術後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の時期に行った。運動恐怖心の評価として恐怖回避思考の評価尺度であるTampa Scale for Kinesiophobia(TSK)を使用し,ADLの評価として患者立脚型腰痛疾患特異的評価法であるOswestry low back pain Disability Index(ODI)を,疼痛の評価として腰痛および殿部・下肢痛をVisual Analog Scale(VAS)を使用した。術後1ヶ月時点でのTSKの得点を症例内の中央値以上(不良群),中央値未満(良好群)にグループ分けし,2群におけるODIと腰痛および殿部・下肢痛の経過を比較した。統計学的解析は,各群,各時期を要因とした反復測定two-way ANOVAを行った。有意水準はいずれも5%とした。
【結果】
術後1ヶ月でのTSKの中央値は41点であり良好群22名,不良群23名であった。two-way ANOVAの結果,ODI,腰痛,殿部下肢痛いずれの変数においても交互作用は認めなかった(p>0.05)。しかし,ODIには群における主効果がみられ(p<0.05),良好群において有意に改善を認めた。腰痛および殿部・下肢痛については主効果を認めなかった(p>0.05)。
【結論】
本研究によりMI-TLIF術後1ヶ月の運動恐怖心の有無は術後1年までの疼痛に影響を与えないことが明らかとなった。また術後1ヶ月に運動恐怖心を有するものは,運動恐怖心の少ないものと比較してADL制限が残存している。そのため,ADLの改善には術後早期に運動恐怖心を減らしておくことが必要と考える。そのため今後は術後早期の運動恐怖心に対する介入が術後のADLに与える影響を検討する必要があると考える。
腰部脊柱管狭窄症(LCS)に対して施行される経皮的経椎間孔腰椎固定術(MI-TLIF)後に,日常生活動作(ADL)が改善することが報告されている。しかし,腰椎術後においても十分なADLの改善が認められない症例も存在する。腰椎術後10~37ヶ月経過した患者において,運動恐怖心はADL能力に関与することが報告されている。運動恐怖心はADLの制限や疼痛の慢性化の予測因子になることが明らかになっている。しかし,どの時期の運動恐怖心が長期的なADL能力や疼痛の改善と関連するかは明らかではない。そこで本研究の目的はMI-TLIFにおける術後早期の運動恐怖心が術後1年のADLと疼痛に及ぼす影響を検討することとした。
【方法】
対象は2013年7月~2014年3月に当院でMI-TLIFを施行された45名(男性25名,女性20名,平均年齢68.3±8.6歳)とした。評価は術後1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月の時期に行った。運動恐怖心の評価として恐怖回避思考の評価尺度であるTampa Scale for Kinesiophobia(TSK)を使用し,ADLの評価として患者立脚型腰痛疾患特異的評価法であるOswestry low back pain Disability Index(ODI)を,疼痛の評価として腰痛および殿部・下肢痛をVisual Analog Scale(VAS)を使用した。術後1ヶ月時点でのTSKの得点を症例内の中央値以上(不良群),中央値未満(良好群)にグループ分けし,2群におけるODIと腰痛および殿部・下肢痛の経過を比較した。統計学的解析は,各群,各時期を要因とした反復測定two-way ANOVAを行った。有意水準はいずれも5%とした。
【結果】
術後1ヶ月でのTSKの中央値は41点であり良好群22名,不良群23名であった。two-way ANOVAの結果,ODI,腰痛,殿部下肢痛いずれの変数においても交互作用は認めなかった(p>0.05)。しかし,ODIには群における主効果がみられ(p<0.05),良好群において有意に改善を認めた。腰痛および殿部・下肢痛については主効果を認めなかった(p>0.05)。
【結論】
本研究によりMI-TLIF術後1ヶ月の運動恐怖心の有無は術後1年までの疼痛に影響を与えないことが明らかとなった。また術後1ヶ月に運動恐怖心を有するものは,運動恐怖心の少ないものと比較してADL制限が残存している。そのため,ADLの改善には術後早期に運動恐怖心を減らしておくことが必要と考える。そのため今後は術後早期の運動恐怖心に対する介入が術後のADLに与える影響を検討する必要があると考える。