[O-MT-01-5] 当院の脊椎多椎間開窓術クリニカルパス動作項目のバリアンスに関連する要因
キーワード:脊柱管狭窄症, クリニカルパス, バリアンス
【はじめに,目的】
当院整形外科では,腰部脊柱管狭窄症に対して,単椎間および多椎間開窓術が施行されており,それぞれクリニカルパス(以下CP)を用いて,理学療法を行っている。多椎間CPでは,術後1日目より歩行開始し,7日目に階段昇り,14日目に階段降り,和式動作を行い,17日目に退院となっている。CP通りに動作が行えず,バリアンスになることもあり,退院が延期する症例は少なくない。そのため,術前より動作の可否について予測する必要があり,バリアンスの要因を検討することが重要になってくる。今回,当院の多椎間開窓術CPについて,術前の状態から,7日目の階段昇り,14日目の階段降り,和式動作の可否に関連する要因を検討した。
【方法】
対象は当院整形外科において平成25年7月から27年3月までに多椎間開窓術CPを使用した93例(7日目動作困難36例,14日目動作困難10例)とした。評価項目は,年齢,性別,筋力(腸腰筋,大腿四頭筋,前脛骨筋,長母趾伸筋,長趾屈筋,大殿筋,中殿筋,腓骨筋),感覚(深部,足底),しびれ・痛みの有無,歩行(独歩,補助具有),TUG,CS30および間歇性跛行とし,術前評価を行った。7日目の階段昇り動作,14日目の階段下り動作および和式動作について,各動作の可否に関連する要因を術前の評価項目より検討するために,多重ロジスティック回帰分析を用いた。目的変数を7日目の階段昇りの可否,14日目の階段降り,和式動作の可否とし,説明変数を術前の評価項目とした。
【結果】
7日目の階段の昇り動作の可否に関連する初期評価項目は,有意な要因は認められなかったが,関連の可能性のある要因として,腸腰筋,腓骨筋,間歇性跛行が挙がった。
14日目の階段降り動作の可否については,関連する要因は大殿筋であった。
14日目の和式動作の可否については,関連する要因は歩行であった。
【結論】
7日目の困難例については,術前からの間歇性跛行や筋力低下による廃用の要素が関係していると考えられる。そのため,14日目では術後よりリハビリを行うことで,動作能力,廃用が改善され,関連した因子ではなくなったと考えられる。
14日目の階段降りの困難例については,大殿筋の要素が関係していた。階段降りを行うにあたり,14日目の歩行動作の安定が重視され,術前より大殿筋の筋力低下があることで,歩行動作自体の安定性が低く,動作が行えなかったと考えた。
14日目の和式動作に関しては,元々の動作能力による影響が大きいと考えられる。それは,術前に歩行器などを使用していることにより,動作を行っていない症例が多く,バリアンスになったと考えられる。今後,症例数を増やし,歩行の分類を独歩,杖,歩行器などに分けること,術前ADLの評価を検討していく必要がある。
当院整形外科では,腰部脊柱管狭窄症に対して,単椎間および多椎間開窓術が施行されており,それぞれクリニカルパス(以下CP)を用いて,理学療法を行っている。多椎間CPでは,術後1日目より歩行開始し,7日目に階段昇り,14日目に階段降り,和式動作を行い,17日目に退院となっている。CP通りに動作が行えず,バリアンスになることもあり,退院が延期する症例は少なくない。そのため,術前より動作の可否について予測する必要があり,バリアンスの要因を検討することが重要になってくる。今回,当院の多椎間開窓術CPについて,術前の状態から,7日目の階段昇り,14日目の階段降り,和式動作の可否に関連する要因を検討した。
【方法】
対象は当院整形外科において平成25年7月から27年3月までに多椎間開窓術CPを使用した93例(7日目動作困難36例,14日目動作困難10例)とした。評価項目は,年齢,性別,筋力(腸腰筋,大腿四頭筋,前脛骨筋,長母趾伸筋,長趾屈筋,大殿筋,中殿筋,腓骨筋),感覚(深部,足底),しびれ・痛みの有無,歩行(独歩,補助具有),TUG,CS30および間歇性跛行とし,術前評価を行った。7日目の階段昇り動作,14日目の階段下り動作および和式動作について,各動作の可否に関連する要因を術前の評価項目より検討するために,多重ロジスティック回帰分析を用いた。目的変数を7日目の階段昇りの可否,14日目の階段降り,和式動作の可否とし,説明変数を術前の評価項目とした。
【結果】
7日目の階段の昇り動作の可否に関連する初期評価項目は,有意な要因は認められなかったが,関連の可能性のある要因として,腸腰筋,腓骨筋,間歇性跛行が挙がった。
14日目の階段降り動作の可否については,関連する要因は大殿筋であった。
14日目の和式動作の可否については,関連する要因は歩行であった。
【結論】
7日目の困難例については,術前からの間歇性跛行や筋力低下による廃用の要素が関係していると考えられる。そのため,14日目では術後よりリハビリを行うことで,動作能力,廃用が改善され,関連した因子ではなくなったと考えられる。
14日目の階段降りの困難例については,大殿筋の要素が関係していた。階段降りを行うにあたり,14日目の歩行動作の安定が重視され,術前より大殿筋の筋力低下があることで,歩行動作自体の安定性が低く,動作が行えなかったと考えた。
14日目の和式動作に関しては,元々の動作能力による影響が大きいと考えられる。それは,術前に歩行器などを使用していることにより,動作を行っていない症例が多く,バリアンスになったと考えられる。今後,症例数を増やし,歩行の分類を独歩,杖,歩行器などに分けること,術前ADLの評価を検討していく必要がある。