[O-MT-12-4] 回復期における大腿骨近位部骨折患者の入院時および入院2週目のAlb値とFIM改善予後の検討
キーワード:栄養状態, ADL, 予後
【はじめに,目的】
大腿骨近位部骨折における予後予測に関する研究は多く存在する。その中でも高齢者において,血清アルブミン(以下,Alb)と日常生活動作(以下,ADL)能力の関係性についての先行研究も多く散見される。また,高齢者は高頻度で低栄養を発生していることが言われており,当院でも入院時に約60%の患者がAlb値において低値を示し,2~3週においては約80%がAlb低値を示している。予後を考えるにあたりこの変動も考慮しての予測も必要ではないかと考え,今回,当院の大腿骨近位部骨折の術後患者の入院時Alb値と2~3週目のAlb値とFunctional Independence Measure(以下,FIM)点数予後との関連について調査・検討した。
【方法】
対象は平成25年1月から平成26年12月までの当院回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者32例(年齢85.6:69-94歳,男性4例/女性28例,大腿骨頸部骨折16例/大腿骨転子部骨折16例)とした。Alb値に関しては,先行研究に基づき3.5mg/dlを境として,3.5mg/dl以上群(以下,高値群),3.5mg/dl未満(以下,低値群)とした。入院当日のAlb値(高値群13名,低値群19名)と2~3週目(15.2±3.2日)でのAlb値(高値群7名,低値群25名)を年齢,性別,発症から入院までの期間,手術日から入院日までの期間,退院時の運動FIM,認知FIM,総合FIMの値において各項目の相関を求め,2群間比較をt検定,マンホイットニーのU検定を用いて行った。統計ソフトはRコマンダーを用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
入院時Alb値での高値群/低値群はそれぞれ退院時運動FIM(64.0±23.0/67.9±20.1),退院時認知FIM(27.9±7.6/28.0±7.7)で有意差を認めず,相関係数は退院時運動FIMで0.22,退院時認知FIMで0.29と低い値であった。しかし,2~3週目Alb値での高値群/低値群は運動FIM(79.1±12.9/62.0±21.7),認知FIM(32.2±4.7/26.4±7.7)で有意差(p<0.05)を認め,相関係数も退院時運動FIMで0.53,退院時認知FIMで0.54と高い値を示した。その他の項目(年齢,性別,発症から入院・手術から入院までの期間)に関してはどちらに対しても有意差を認めなかった。
【結論】
今回の研究結果として,先行研究と同様,Alb値は退院時のFIMと関係があることが示唆された。特に2~3週目のAlb値が退院時のFIMとの結びつきが強い傾向にあり,予後予測をするにあたり,1要因としての可能性が示唆された。また,年齢や性別,入院までの期間で差が無かったことから入院後からの関わり方の重要性が考えられる。したがって,早い時期より低栄養状態を回避する為に積極的な栄養管理を行っていくことが必要であると考える。
今後の展望としては,研究対象を増やし栄養状態を示すその他の評価方法も含めた予後予測の検討を行うと共に当院で行なっている栄養管理への介入による結果の調査・検討を行っていければと考える。
大腿骨近位部骨折における予後予測に関する研究は多く存在する。その中でも高齢者において,血清アルブミン(以下,Alb)と日常生活動作(以下,ADL)能力の関係性についての先行研究も多く散見される。また,高齢者は高頻度で低栄養を発生していることが言われており,当院でも入院時に約60%の患者がAlb値において低値を示し,2~3週においては約80%がAlb低値を示している。予後を考えるにあたりこの変動も考慮しての予測も必要ではないかと考え,今回,当院の大腿骨近位部骨折の術後患者の入院時Alb値と2~3週目のAlb値とFunctional Independence Measure(以下,FIM)点数予後との関連について調査・検討した。
【方法】
対象は平成25年1月から平成26年12月までの当院回復期リハビリテーション(以下,リハ)病棟に入院した大腿骨近位部骨折患者32例(年齢85.6:69-94歳,男性4例/女性28例,大腿骨頸部骨折16例/大腿骨転子部骨折16例)とした。Alb値に関しては,先行研究に基づき3.5mg/dlを境として,3.5mg/dl以上群(以下,高値群),3.5mg/dl未満(以下,低値群)とした。入院当日のAlb値(高値群13名,低値群19名)と2~3週目(15.2±3.2日)でのAlb値(高値群7名,低値群25名)を年齢,性別,発症から入院までの期間,手術日から入院日までの期間,退院時の運動FIM,認知FIM,総合FIMの値において各項目の相関を求め,2群間比較をt検定,マンホイットニーのU検定を用いて行った。統計ソフトはRコマンダーを用い,有意水準は5%未満とした。
【結果】
入院時Alb値での高値群/低値群はそれぞれ退院時運動FIM(64.0±23.0/67.9±20.1),退院時認知FIM(27.9±7.6/28.0±7.7)で有意差を認めず,相関係数は退院時運動FIMで0.22,退院時認知FIMで0.29と低い値であった。しかし,2~3週目Alb値での高値群/低値群は運動FIM(79.1±12.9/62.0±21.7),認知FIM(32.2±4.7/26.4±7.7)で有意差(p<0.05)を認め,相関係数も退院時運動FIMで0.53,退院時認知FIMで0.54と高い値を示した。その他の項目(年齢,性別,発症から入院・手術から入院までの期間)に関してはどちらに対しても有意差を認めなかった。
【結論】
今回の研究結果として,先行研究と同様,Alb値は退院時のFIMと関係があることが示唆された。特に2~3週目のAlb値が退院時のFIMとの結びつきが強い傾向にあり,予後予測をするにあたり,1要因としての可能性が示唆された。また,年齢や性別,入院までの期間で差が無かったことから入院後からの関わり方の重要性が考えられる。したがって,早い時期より低栄養状態を回避する為に積極的な栄養管理を行っていくことが必要であると考える。
今後の展望としては,研究対象を増やし栄養状態を示すその他の評価方法も含めた予後予測の検討を行うと共に当院で行なっている栄養管理への介入による結果の調査・検討を行っていければと考える。