[O-MT-18-4] 立脚相膝関節屈曲角度と内側縦アーチ高率の関係
Keywords:歩行, 膝関節屈曲角度, 内側縦アーチ高率
【はじめに,目的】
人は歩行動作を行う際に,床から衝撃を受けている。その衝撃を吸収する機構を体は有している。歩行時の二重膝作用(double knee action)膝関節が1歩行周期に2回屈伸して,衝撃を軽減し,重心の上下移動も減らす。また,足部の内側縦アーチには,トラス機構が存在する。これは,荷重時にアーチが崩れ,衝撃吸収に働く機能である。荷重時に距骨が下方に押し下げられ,その際に足底筋膜が伸ばされることで,バネの様に働き衝撃吸収を行うシステムである(Neumann DA 2005)。臨床経験上,膝関節手術後の患者は,健側に比べ患側の衝撃吸収の能力が低下し,足部のアーチが低下してくることを経験する。そこで本研究の目的は,歩行時の立脚相膝関節屈曲角度と足部アーチ高率の関係を明らかにすることである。
【方法】
対象は下肢に既往のない健常若年者10名(20肢)とした。対象者の内訳は男性10名,年齢24.1±2.4歳,身長170.79±3.9cm,体重65±9.9kgであった。下肢に三点のマーカーを貼付して,デジタルカメラ使用し静止立位時の静止画像を撮影しフリーソフトimage-Jを用いて膝関節の屈曲角度を測定した。歩行をデジタルカメラにて動画を撮影し,立脚相最大膝屈曲位を静止画に編集し,立位同様に膝関節の屈曲角度を測定した。立脚相膝屈曲角度「立脚相最大膝関節屈曲角度-静止立位膝関節屈曲角度」を算出した。足部アーチの計測は自然立位で舟状骨高を計測し,大久保が提唱している足アーチ高率(舟状骨高/足長×100)を算出した。データの正規性はShapiro-Wilk検定で確認した。立脚相膝屈曲角度と内側縦アーチ高率の関係はPearsonの積率相関係数を用いて検討した。尚,全ての検定は危険率5%未満をもって有意とした。
【結果】
立脚相膝関節角度は平均16.2±5.1度,アーチ高率は平均17.88±1.86であった。立脚相膝関節角度と内側縦アーチ高率に,有意な正の相関を認めた。(r=0.31)。
【結論】
本研究の結果より,立脚相膝関節屈曲角度が大きいと足部アーチ高率が高いことが分かった。歩行時の膝関節屈曲は衝撃吸収に作用する(Neumann DA 2005),立脚相での膝関節屈曲角度が小さい場合は衝撃吸収が上手く行えていない可能性がある。その代償として足部アーチのトラス機構を多く使うことになる。その為,屈曲角度の小さい者は内側縦アーチに対する負荷が高く,内側縦アーチ高率の低下を招いているのではないかと考える。歩行時の膝関節屈曲角度の減少は,足部アーチを低下させる可能性がある。膝関節術後の患者は,膝関節の衝撃吸収機能が低下し,アーチ低下することで二次的な障害につながらない様に介入していく必要があると考える。
人は歩行動作を行う際に,床から衝撃を受けている。その衝撃を吸収する機構を体は有している。歩行時の二重膝作用(double knee action)膝関節が1歩行周期に2回屈伸して,衝撃を軽減し,重心の上下移動も減らす。また,足部の内側縦アーチには,トラス機構が存在する。これは,荷重時にアーチが崩れ,衝撃吸収に働く機能である。荷重時に距骨が下方に押し下げられ,その際に足底筋膜が伸ばされることで,バネの様に働き衝撃吸収を行うシステムである(Neumann DA 2005)。臨床経験上,膝関節手術後の患者は,健側に比べ患側の衝撃吸収の能力が低下し,足部のアーチが低下してくることを経験する。そこで本研究の目的は,歩行時の立脚相膝関節屈曲角度と足部アーチ高率の関係を明らかにすることである。
【方法】
対象は下肢に既往のない健常若年者10名(20肢)とした。対象者の内訳は男性10名,年齢24.1±2.4歳,身長170.79±3.9cm,体重65±9.9kgであった。下肢に三点のマーカーを貼付して,デジタルカメラ使用し静止立位時の静止画像を撮影しフリーソフトimage-Jを用いて膝関節の屈曲角度を測定した。歩行をデジタルカメラにて動画を撮影し,立脚相最大膝屈曲位を静止画に編集し,立位同様に膝関節の屈曲角度を測定した。立脚相膝屈曲角度「立脚相最大膝関節屈曲角度-静止立位膝関節屈曲角度」を算出した。足部アーチの計測は自然立位で舟状骨高を計測し,大久保が提唱している足アーチ高率(舟状骨高/足長×100)を算出した。データの正規性はShapiro-Wilk検定で確認した。立脚相膝屈曲角度と内側縦アーチ高率の関係はPearsonの積率相関係数を用いて検討した。尚,全ての検定は危険率5%未満をもって有意とした。
【結果】
立脚相膝関節角度は平均16.2±5.1度,アーチ高率は平均17.88±1.86であった。立脚相膝関節角度と内側縦アーチ高率に,有意な正の相関を認めた。(r=0.31)。
【結論】
本研究の結果より,立脚相膝関節屈曲角度が大きいと足部アーチ高率が高いことが分かった。歩行時の膝関節屈曲は衝撃吸収に作用する(Neumann DA 2005),立脚相での膝関節屈曲角度が小さい場合は衝撃吸収が上手く行えていない可能性がある。その代償として足部アーチのトラス機構を多く使うことになる。その為,屈曲角度の小さい者は内側縦アーチに対する負荷が高く,内側縦アーチ高率の低下を招いているのではないかと考える。歩行時の膝関節屈曲角度の減少は,足部アーチを低下させる可能性がある。膝関節術後の患者は,膝関節の衝撃吸収機能が低下し,アーチ低下することで二次的な障害につながらない様に介入していく必要があると考える。