[O-MT-22-6] 腰痛治療法判別に用いる腿挙げテスト(Knee-lifting test)の妥当性の検討
Keywords:腿挙げテスト(Knee-Lifting test), 腰椎アライメント, 大腰筋
【はじめに】腰椎椎間板ヘルニアと腰椎椎間関節症(LFS)は臨床症状が酷似し,運動療法の選択に苦慮する。我々は,両疾患の治療法判別に用いる腿挙げテスト(KL-t)を考案し,臨床で用いている。KL-tは立位で壁を背にもたれた肢位で両足を交互に股関節90°まで30回挙げるテストであり,先行研究よりKL-tはLFSで陽性となりやすく,KL-t陽性者は腰椎前弯が減少することがわかっている(上原ら,2009)。この腰椎アライメントの変化は,股関節屈筋群であり腰椎を起始とする大腰筋が影響しているのではないかと考えた。今回の目的は,KL-tを実施することにより実際に腰椎アライメントおよび股関節伸展角(股伸展角)が変化するかを測定し,また腿挙げ回数の適切な試行回数を検討することである。
【対象】過去1カ月間のうち腰痛の自覚がない健常成人31名(男性24名,女性7名,平均年齢22.1歳)を対象とした。
【方法】対象を,腿挙げを10回行う10回群,30回行う30回群,50回行う50回群の3群に分けた。腰椎アライメントはSpinal Mouseを用い,胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角,体幹傾斜角を測定した。測定はKL-t実施前後に2回ずつ測定し平均値を各測定項目の測定値として採用した。股伸展角の測定肢位は,測定肢を非利き足,測定肢位は背臥位で対側股関節を最大屈曲し測定肢をベッド上より下垂した位置とした。これはあらかじめ被験者の大転子と膝関節中心にマーカーを貼付し,検者がASISおよびPSISを触知した状態で行った。股伸展角は,矢状面よりデジタルカメラを用いて撮影した画像を対象として画像処理ソフトImage Jを用いて計測した。統計解析には,KL-t前後の腰椎アライメントおよび股伸展角の変化について対応のあるt検定,KL-t前後の腰椎アライメントと股伸展角の変化の関係性にはPearsonの相関係数,各検査項目の群間比較には一元配置分散分析を用いた。解析ソフトはR.2.8.1を用い,有意水準を5%とした。
【結果】腰椎アライメントの変化をみると,KL-t前後でそれぞれの項目に有意な変化は認められなかった。股伸展角は,平均-0.7°から3.2°と有意に増加していた(P<0.01)。KL-t前後の腰椎アライメントの各測定項目の変化量と股伸展角の変化量には,明らかな相関は認められなかった。腿挙げ回数による各測定項目の変化量をみると,KL-t前後で各群間において有意差は認められなかった。
【結論】先行研究においてはKL-tの実施により,KL-t陽性となるものは,腰椎前弯が減少していたが,本研究では腰椎が前弯化したもの,後弯化したものの両者が存在し,腰椎前弯角の変化に有意差は認められなかった。股伸展角はKL-t前後で有意に増加しており,これは腿挙げにより股関節屈筋群の収縮後弛緩作用がみられた結果であり,KL-t後の腰椎アライメント変化には股関節屈筋群(大腰筋)が関与していると考えた。最適な腿挙げ回数も含め,LFS患者を対象とするなど再検討の必要がある。
【対象】過去1カ月間のうち腰痛の自覚がない健常成人31名(男性24名,女性7名,平均年齢22.1歳)を対象とした。
【方法】対象を,腿挙げを10回行う10回群,30回行う30回群,50回行う50回群の3群に分けた。腰椎アライメントはSpinal Mouseを用い,胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角,体幹傾斜角を測定した。測定はKL-t実施前後に2回ずつ測定し平均値を各測定項目の測定値として採用した。股伸展角の測定肢位は,測定肢を非利き足,測定肢位は背臥位で対側股関節を最大屈曲し測定肢をベッド上より下垂した位置とした。これはあらかじめ被験者の大転子と膝関節中心にマーカーを貼付し,検者がASISおよびPSISを触知した状態で行った。股伸展角は,矢状面よりデジタルカメラを用いて撮影した画像を対象として画像処理ソフトImage Jを用いて計測した。統計解析には,KL-t前後の腰椎アライメントおよび股伸展角の変化について対応のあるt検定,KL-t前後の腰椎アライメントと股伸展角の変化の関係性にはPearsonの相関係数,各検査項目の群間比較には一元配置分散分析を用いた。解析ソフトはR.2.8.1を用い,有意水準を5%とした。
【結果】腰椎アライメントの変化をみると,KL-t前後でそれぞれの項目に有意な変化は認められなかった。股伸展角は,平均-0.7°から3.2°と有意に増加していた(P<0.01)。KL-t前後の腰椎アライメントの各測定項目の変化量と股伸展角の変化量には,明らかな相関は認められなかった。腿挙げ回数による各測定項目の変化量をみると,KL-t前後で各群間において有意差は認められなかった。
【結論】先行研究においてはKL-tの実施により,KL-t陽性となるものは,腰椎前弯が減少していたが,本研究では腰椎が前弯化したもの,後弯化したものの両者が存在し,腰椎前弯角の変化に有意差は認められなかった。股伸展角はKL-t前後で有意に増加しており,これは腿挙げにより股関節屈筋群の収縮後弛緩作用がみられた結果であり,KL-t後の腰椎アライメント変化には股関節屈筋群(大腰筋)が関与していると考えた。最適な腿挙げ回数も含め,LFS患者を対象とするなど再検討の必要がある。