[O-NV-02-1] Gait Solution付長下肢装具装着歩行の適切な歩行介入方法に関する検討
前遊脚期から遊脚初期までの矢状面に着目して
キーワード:油圧制動式足継手付長下肢装具, 前遊脚期, 歩行
【はじめに,目的】
我々は健常者での油圧制動式足継手付長下肢装具(以下GS付KAFO)を装着した歩行の特性を検討した。その結果,膝継手をロックした場合に前遊脚期(以下PSw)から遊脚初期にかけて股関節が屈曲せずに伸展へ増大していくことが分かり,PSwから股関節屈曲を誘導するような補助を行う歩行介入方法が振り出しの効率性を高めることに繋がる可能性を知見として得た。そこで今回はPSwからの補助の有無を比較し,振り出しの効率性を高めることが可能か矢状面から検討することを目的とした。
【方法】
健常成人(男性17名,平均年齢25.9±4.4歳,身長172.8±3.6cm)を対象とした。測定項目はGS付KAFOを右下肢に装着してのPSwの底屈モーメント(以下2ndピーク)と足関節最大底屈角度(以下PSw底屈),踵離地後MP関節最大伸展時の股関節伸展角度(以下PSw初期股伸展),足尖離地直前の股関節伸展角度(以下PSw終期股伸展),足尖離地直後の股関節伸展角度(以下ISw股伸展),10m快適歩行速度とした。計測は10mの平坦路にて,油圧1.0のGS付KAFO装着歩行を矢状面から三脚にて固定したiPadにて撮影した。iPadは歩行の進行方向と垂直になるよう,歩行路から4m離れた位置に設置した。歩行中はGait Judge Systemを用いて足関節角度と底屈モーメントの計測を,また画像処理ソフトImageJを用いて股関節角度を計測した。股関節角度は肩峰と大転子・大転子と外側膝関節裂隙を結ぶ線のなす角度とした。計測はPSwからの補助有無の2条件の方法で各々5回練習した後に2回実施し,3歩行周期目から7歩行周期目までの合計10歩行周期について足関節角度と底屈モーメントの平均値を算出した。股関節角度に関しては,カメラ正面に映った右立脚期の角度を計測2回分の平均値で算出した。また,その他測定項目は最大値を解析に用いた。股関節屈曲の誘導は全て同一者が後方からKAFO上位外側の支柱を指で持ち操作した。2条件の介入方法の順序はランダムに決定し,2条件間の比較には対応のあるt検定を用いた。統計解析にはR2.8.1を使用し,有意水準は1%及び5%未満とした。
【結果】
股伸展においては,補助なし・あり共にPSw終期(補助なし:24.3±3.3°,補助あり:21.8±4.8°)・ISw(補助なし25.9±3.3°,補助あり:23.6±5.0°)共に屈曲へと移行せず,徐々に伸展へと増大していたが,PSw補助ありの方が伸展角度は有意に減少した(p<0.01)。また,PSw底屈においては,補助ありの方が底屈角度は有意に減少し(補助なし:3.3±5.0°,補助あり1.1±4.9°;p<0.01),2ndピークにおいても補助ありの方が有意に減少した(補助なし:3.9±0.6N/m,補助あり:3.6±0.6 N/m;p<0.05)。その他項目は有意差を認めなかった。
【結論】
PSwから股関節屈曲を誘導するような補助を行った方が,振り出しの効率性が良いことが一部示された。今後は前額面や反対側からの計測も追加し,より詳細な検証を行っていく。
我々は健常者での油圧制動式足継手付長下肢装具(以下GS付KAFO)を装着した歩行の特性を検討した。その結果,膝継手をロックした場合に前遊脚期(以下PSw)から遊脚初期にかけて股関節が屈曲せずに伸展へ増大していくことが分かり,PSwから股関節屈曲を誘導するような補助を行う歩行介入方法が振り出しの効率性を高めることに繋がる可能性を知見として得た。そこで今回はPSwからの補助の有無を比較し,振り出しの効率性を高めることが可能か矢状面から検討することを目的とした。
【方法】
健常成人(男性17名,平均年齢25.9±4.4歳,身長172.8±3.6cm)を対象とした。測定項目はGS付KAFOを右下肢に装着してのPSwの底屈モーメント(以下2ndピーク)と足関節最大底屈角度(以下PSw底屈),踵離地後MP関節最大伸展時の股関節伸展角度(以下PSw初期股伸展),足尖離地直前の股関節伸展角度(以下PSw終期股伸展),足尖離地直後の股関節伸展角度(以下ISw股伸展),10m快適歩行速度とした。計測は10mの平坦路にて,油圧1.0のGS付KAFO装着歩行を矢状面から三脚にて固定したiPadにて撮影した。iPadは歩行の進行方向と垂直になるよう,歩行路から4m離れた位置に設置した。歩行中はGait Judge Systemを用いて足関節角度と底屈モーメントの計測を,また画像処理ソフトImageJを用いて股関節角度を計測した。股関節角度は肩峰と大転子・大転子と外側膝関節裂隙を結ぶ線のなす角度とした。計測はPSwからの補助有無の2条件の方法で各々5回練習した後に2回実施し,3歩行周期目から7歩行周期目までの合計10歩行周期について足関節角度と底屈モーメントの平均値を算出した。股関節角度に関しては,カメラ正面に映った右立脚期の角度を計測2回分の平均値で算出した。また,その他測定項目は最大値を解析に用いた。股関節屈曲の誘導は全て同一者が後方からKAFO上位外側の支柱を指で持ち操作した。2条件の介入方法の順序はランダムに決定し,2条件間の比較には対応のあるt検定を用いた。統計解析にはR2.8.1を使用し,有意水準は1%及び5%未満とした。
【結果】
股伸展においては,補助なし・あり共にPSw終期(補助なし:24.3±3.3°,補助あり:21.8±4.8°)・ISw(補助なし25.9±3.3°,補助あり:23.6±5.0°)共に屈曲へと移行せず,徐々に伸展へと増大していたが,PSw補助ありの方が伸展角度は有意に減少した(p<0.01)。また,PSw底屈においては,補助ありの方が底屈角度は有意に減少し(補助なし:3.3±5.0°,補助あり1.1±4.9°;p<0.01),2ndピークにおいても補助ありの方が有意に減少した(補助なし:3.9±0.6N/m,補助あり:3.6±0.6 N/m;p<0.05)。その他項目は有意差を認めなかった。
【結論】
PSwから股関節屈曲を誘導するような補助を行った方が,振り出しの効率性が良いことが一部示された。今後は前額面や反対側からの計測も追加し,より詳細な検証を行っていく。