[O-NV-04-1] 回復期脳卒中片麻痺患者の起居動作と体幹機能および麻痺側上下肢機能との関係について
キーワード:脳卒中片麻痺, 起居動作, 身体機能
【はじめに,目的】
脳卒中片麻痺患者は起居動作に困難を伴うことが多い。起居動作には体幹機能や上下肢機能が重要とされているが,脳卒中片麻痺患者においてはどの機能が重要であるかは明らかでない。そこで,その点を明らかにするための検討を行った。
【方法】
対象は当院回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者で,上肢支持なしで端座位保持が可能な37名とした。
測定項目は起居動作評価としてのTrunk Control Test(以下,TCT),体幹回旋および側屈筋力,Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の上肢運動機能合計,下肢運動機能合計(以下,下肢運動),上肢感覚機能合計,下肢感覚機能合計(以下,下肢感覚),視空間認知,体幹機能とした。補助項目として体重,年齢,発症からの経過を調査した。
TCTは端座位保持の項目は除外し,75点満点とした。起き上がり項目は要介助0点,上肢でベッド面を押す,ベッド柵を引っ張るなど上肢を使用した場合は12点とし,上肢を使用しない場合は25点とした。更に起き上がりを要介助0点,ベッド柵やベッド端を引っ張る1点,上肢でベッド面を押す2点,上肢使用なし3点の4段階に分けて評価した。
体幹筋力の測定肢位は足底非接地の端座位で,下腿後面と座面前縁は2横指離し,両上肢は胸部の前で組んだ。回旋筋力は測定方向に15度体幹回旋した肢位とした。下肢運動麻痺の影響を除くために大腿近位と遠位をベルトで固定し,骨盤は徒手で固定した。徒手筋力計はμ-Tas F-1(アニマ社製)を用い,回旋筋力は検者が徒手にてセンサーを測定方向に30度回旋した方向から上腕近位前面に当て,側屈筋力はセンサーを上腕近位外側と側方の壁の間に設置した。最大等尺性運動を5秒間行い,片側3回-反対側3回の順で測定し,最大値を採用した。測定順序は無作為とし,測定間隔は30秒以上空けた。
統計学的分析はTCT(起き上がり4段階評価含む)と体幹筋力体重比,SIAS各項目および補助項目との関係をステップワイズ重回帰分析にて検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
結果(括弧内は標準化偏回帰係数)は,TCT総得点は下肢運動(0.405),年齢(-0.367),下肢感覚(0.321)が採択された。自由度調整済み決定係数(以下,決定係数)は0.474であった。非麻痺側への寝返りは下肢運動(0.461)が採択された(決定係数0.190)。麻痺側への寝返りは下肢感覚(0.439)と下肢運動(0.384)が採択された(決定係数0.450)。起き上がり4段階評価は体幹麻痺側回旋筋力(0.511)と下肢運動(0.346)が採択された(決定係数0.413)。
【結論】
脳卒中片麻痺患者の起居動作における麻痺側下肢の運動と感覚機能の重要性が示唆された。麻痺側への寝返りでは側臥位の支持基底面の一部となる麻痺側下肢の感覚機能が関与すると考えられる。上肢を使用しない起き上がりでは,多くは長座位経由で行うため,体幹を起こす力源の体幹麻痺側回旋筋力と錘としての機能を果たす麻痺側下肢運動機能の両方が必要と推察される。
脳卒中片麻痺患者は起居動作に困難を伴うことが多い。起居動作には体幹機能や上下肢機能が重要とされているが,脳卒中片麻痺患者においてはどの機能が重要であるかは明らかでない。そこで,その点を明らかにするための検討を行った。
【方法】
対象は当院回復期病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者で,上肢支持なしで端座位保持が可能な37名とした。
測定項目は起居動作評価としてのTrunk Control Test(以下,TCT),体幹回旋および側屈筋力,Stroke Impairment Assessment Set(以下,SIAS)の上肢運動機能合計,下肢運動機能合計(以下,下肢運動),上肢感覚機能合計,下肢感覚機能合計(以下,下肢感覚),視空間認知,体幹機能とした。補助項目として体重,年齢,発症からの経過を調査した。
TCTは端座位保持の項目は除外し,75点満点とした。起き上がり項目は要介助0点,上肢でベッド面を押す,ベッド柵を引っ張るなど上肢を使用した場合は12点とし,上肢を使用しない場合は25点とした。更に起き上がりを要介助0点,ベッド柵やベッド端を引っ張る1点,上肢でベッド面を押す2点,上肢使用なし3点の4段階に分けて評価した。
体幹筋力の測定肢位は足底非接地の端座位で,下腿後面と座面前縁は2横指離し,両上肢は胸部の前で組んだ。回旋筋力は測定方向に15度体幹回旋した肢位とした。下肢運動麻痺の影響を除くために大腿近位と遠位をベルトで固定し,骨盤は徒手で固定した。徒手筋力計はμ-Tas F-1(アニマ社製)を用い,回旋筋力は検者が徒手にてセンサーを測定方向に30度回旋した方向から上腕近位前面に当て,側屈筋力はセンサーを上腕近位外側と側方の壁の間に設置した。最大等尺性運動を5秒間行い,片側3回-反対側3回の順で測定し,最大値を採用した。測定順序は無作為とし,測定間隔は30秒以上空けた。
統計学的分析はTCT(起き上がり4段階評価含む)と体幹筋力体重比,SIAS各項目および補助項目との関係をステップワイズ重回帰分析にて検討した。有意水準は5%とした。
【結果】
結果(括弧内は標準化偏回帰係数)は,TCT総得点は下肢運動(0.405),年齢(-0.367),下肢感覚(0.321)が採択された。自由度調整済み決定係数(以下,決定係数)は0.474であった。非麻痺側への寝返りは下肢運動(0.461)が採択された(決定係数0.190)。麻痺側への寝返りは下肢感覚(0.439)と下肢運動(0.384)が採択された(決定係数0.450)。起き上がり4段階評価は体幹麻痺側回旋筋力(0.511)と下肢運動(0.346)が採択された(決定係数0.413)。
【結論】
脳卒中片麻痺患者の起居動作における麻痺側下肢の運動と感覚機能の重要性が示唆された。麻痺側への寝返りでは側臥位の支持基底面の一部となる麻痺側下肢の感覚機能が関与すると考えられる。上肢を使用しない起き上がりでは,多くは長座位経由で行うため,体幹を起こす力源の体幹麻痺側回旋筋力と錘としての機能を果たす麻痺側下肢運動機能の両方が必要と推察される。