[O-NV-10-1] 急性期脳卒中患者に対する神経筋電気刺激が大腿四頭筋筋厚に与える影響
予備的・探索的研究
Keywords:急性期脳卒中, 神経筋電気刺激, 大腿四頭筋筋厚
【はじめに,目的】急性期脳卒中患者は,例え早期離床を実践していても麻痺側・非麻痺側ともに下肢筋萎縮は進行する(Nozoe, et al.,;2015)。ICU入室患者を中心とした重症患者における下肢筋萎縮に対して,神経筋電気刺激(neuromuscular electrical stimulation;NMES)が有効であることが報告されているが(Maffiuletti, et al.,;2013),脳卒中患者に対して急性期から行った報告はほとんどなく,その有効性については明らかにされていない。本研究の目的は,急性期脳卒中患者に対するNMESが大腿四頭筋筋厚に与える影響について検討することである。
【方法】対象は発症後48時間以内へ入院となり,病前modified Rankin Scaleは2以下であったが,発症後mRSが4もしくは5となった脳梗塞及び脳内出血患11例(年齢71±11歳,男性7例,脳梗塞7例,介入群)。全例,通常の早期離床を中心としたリハビリテーションに加え,大腿四頭筋に対するNMESを行った。NMESは大腿四頭筋に対して低周波治療機器(エスパージ,伊藤超短波株式会社製)と自着性電極(PALS,Platinum,5×9cm,AXELGAARD社製)を用いて行った。パラメーターは周波数50Hz,パルス持続時間300μsec,on/off time=12sec/6secとし,連続で50~60分間,週5日以上の頻度で2週間実施することとし,NMES実施前後で超音波診断装置(LOGIQ P5,GEヘルスケアジャパン株式会社製),及び周波数8MHzのリニアプローブ(GEヘルスケアジャパン株式会社製)を用いて大腿四頭筋の筋厚を測定した。メインアウトカムは大腿四頭筋筋厚の変化率とし,同様の測定プロトコルで検討された非NMES実施例における結果(Nozoe, et al.,;2015)の中から年齢,重症度(NIHSS),性別をマッチさせた11例(年齢67±13歳,男性7例,脳梗塞6例,対照群)の大腿四頭筋筋厚の変化率と比較した。統計学的検定として,対応のないt検定を用いて両群の大腿四頭筋変化率,患者属性を比較し,危険率は5%未満で棄却することとした。
【結果】発症から離床(立位)開始までの日数(2.8±2.1日:2.5±1.8日=介入群:対照群,p=0.67),測定開始までの日数(1.2±1.0日:1.9±0.9日,p=0.09)に関して,両群間で有意な差は認められなかった。大腿四頭筋筋厚変化率について,麻痺側(-13.4±12.5%:-28.6±11.6%,p=0.008),非麻痺側(-5.6±14.5%:-20.6±16.3%,p=0.034)ともに介入群と対照群で有意な差が認められた。
【結論】急性期脳卒中患者の大腿四頭筋に対するNMESは,麻痺側,非麻痺側ともに筋萎縮予防に効果が認められた。今後は,NMESの実施が急性期脳卒中患者の骨格筋に与える生理学的影響を検証し,同時にNMESの実施が長期的な機能予後にどのような影響を与えるのかについても検討する必要があると考えられた。
【方法】対象は発症後48時間以内へ入院となり,病前modified Rankin Scaleは2以下であったが,発症後mRSが4もしくは5となった脳梗塞及び脳内出血患11例(年齢71±11歳,男性7例,脳梗塞7例,介入群)。全例,通常の早期離床を中心としたリハビリテーションに加え,大腿四頭筋に対するNMESを行った。NMESは大腿四頭筋に対して低周波治療機器(エスパージ,伊藤超短波株式会社製)と自着性電極(PALS,Platinum,5×9cm,AXELGAARD社製)を用いて行った。パラメーターは周波数50Hz,パルス持続時間300μsec,on/off time=12sec/6secとし,連続で50~60分間,週5日以上の頻度で2週間実施することとし,NMES実施前後で超音波診断装置(LOGIQ P5,GEヘルスケアジャパン株式会社製),及び周波数8MHzのリニアプローブ(GEヘルスケアジャパン株式会社製)を用いて大腿四頭筋の筋厚を測定した。メインアウトカムは大腿四頭筋筋厚の変化率とし,同様の測定プロトコルで検討された非NMES実施例における結果(Nozoe, et al.,;2015)の中から年齢,重症度(NIHSS),性別をマッチさせた11例(年齢67±13歳,男性7例,脳梗塞6例,対照群)の大腿四頭筋筋厚の変化率と比較した。統計学的検定として,対応のないt検定を用いて両群の大腿四頭筋変化率,患者属性を比較し,危険率は5%未満で棄却することとした。
【結果】発症から離床(立位)開始までの日数(2.8±2.1日:2.5±1.8日=介入群:対照群,p=0.67),測定開始までの日数(1.2±1.0日:1.9±0.9日,p=0.09)に関して,両群間で有意な差は認められなかった。大腿四頭筋筋厚変化率について,麻痺側(-13.4±12.5%:-28.6±11.6%,p=0.008),非麻痺側(-5.6±14.5%:-20.6±16.3%,p=0.034)ともに介入群と対照群で有意な差が認められた。
【結論】急性期脳卒中患者の大腿四頭筋に対するNMESは,麻痺側,非麻痺側ともに筋萎縮予防に効果が認められた。今後は,NMESの実施が急性期脳卒中患者の骨格筋に与える生理学的影響を検証し,同時にNMESの実施が長期的な機能予後にどのような影響を与えるのかについても検討する必要があると考えられた。