[O-NV-11-1] 脳卒中患者の歩行重症度別におけるペダリング運動と電気刺激の併用介入の有効性
多施設共同ランダム化比較対照試験からの事後解析
キーワード:脳卒中, 電気刺激, ペダリング運動
【はじめに,目的】
脳卒中後の歩行能力の再獲得は,リハビリテーションの重要な目標の一つである。我々は,臨床実用性のある歩行能力向上の介入として,ペダリング運動に感覚強度の電気刺激を付加する方法を考案し,回復期脳卒中患者を対象としたランダム化比較対照試験にてその効果を検証した。その結果,ペダリング運動と電気刺激の併用はペダリング運動と偽刺激の併用よりも有意に歩行速度を改善させることを報告した。本研究は,本介入の適応症例を明確にするため,歩行速度の重症度別で治療効果の比較を実施した。
【方法】
対象は発症後6か月以内である初回脳卒中患者,人的介助なしで10m以上の歩行が可能なものとした。対象者をペダリング運動と電気刺激併用(P-ES)群,偽刺激併用(P-Sham)群,電気刺激単独群の3群に無作為に割り付けた先行試験の結果から,P-ES群とP-Sham群の事後解析を実施した。各群は標準的リハビリテーションに加えて1日1回15分の介入を週5回3週間実施した。ペダリング運動には,リカンベントエルゴメーターを用い,負荷25Wで快適な回転速度にて15分間実施した。電気刺激は,周波数100Hz,パルス時間250μsの対称性二相性パルス波を麻痺側大腿四頭筋および前脛骨筋に感覚閾値の1.2倍の強度で実施し,ペダリング運動と同時に15分実施した。P-Sham群は同方法で刺激強度のみ0mAとした。主要評価項目は10m歩行速度,6分間歩行テストとし,介入前,介入後,介入3週後に測定した。各群で介入前の歩行速度からPerryら(1995)の基準に準じて0.4m/s未満(重度群),0.4m/s以上(中等度群)の2群に分類し,重症度別での治療効果を比較した。統計解析は介入前の群間比較にt検定またはカイ二乗検定を行った。重症度別の介入後および3週後の群間比較には線形混合モデルを用い,交互作用が認められた場合にBonferroni法による多重比較を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
事後解析において,P-ES群から重度群10名,中等度群13名,P-Sham群から重度群13名,中度群10名が抽出された。介入前評価において,基礎情報および身体機能評価項目で2群間に有意差はなかった。10m歩行速度において,重度群で交互作用を認め(P<.05),P-ES群はP-Sham群と比較して介入後(P-ES群:0.45±0.18m/s,P-Sham群:0.28±0.12m/s,P=.006)および3週後(P-ES群:0.55±0.26m/s,P-Sham群:0.30±0.12m/s,P=.002)に有意な改善を示し,中等度群では有意差を認めなかった。6分間歩行において,重度群で交互作用を認め(P<.05),P-ES群はP-Sham群と比較して介入後(P-ES群:149.8±53.8m,P-Sham群:86.5±39.6m,P=.018)および3週後(P-ES群:176.7±74.5m,P-Sham群:99.6±47.1m,P=.013)に有意な改善を示し,中等度群では有意差を認めなかった。
【結論】
本事後解析により,P-ESは特に歩行速度が遅い症例(0.4m/s以下)の歩行速度と歩行耐容能を改善させることが示唆された。
脳卒中後の歩行能力の再獲得は,リハビリテーションの重要な目標の一つである。我々は,臨床実用性のある歩行能力向上の介入として,ペダリング運動に感覚強度の電気刺激を付加する方法を考案し,回復期脳卒中患者を対象としたランダム化比較対照試験にてその効果を検証した。その結果,ペダリング運動と電気刺激の併用はペダリング運動と偽刺激の併用よりも有意に歩行速度を改善させることを報告した。本研究は,本介入の適応症例を明確にするため,歩行速度の重症度別で治療効果の比較を実施した。
【方法】
対象は発症後6か月以内である初回脳卒中患者,人的介助なしで10m以上の歩行が可能なものとした。対象者をペダリング運動と電気刺激併用(P-ES)群,偽刺激併用(P-Sham)群,電気刺激単独群の3群に無作為に割り付けた先行試験の結果から,P-ES群とP-Sham群の事後解析を実施した。各群は標準的リハビリテーションに加えて1日1回15分の介入を週5回3週間実施した。ペダリング運動には,リカンベントエルゴメーターを用い,負荷25Wで快適な回転速度にて15分間実施した。電気刺激は,周波数100Hz,パルス時間250μsの対称性二相性パルス波を麻痺側大腿四頭筋および前脛骨筋に感覚閾値の1.2倍の強度で実施し,ペダリング運動と同時に15分実施した。P-Sham群は同方法で刺激強度のみ0mAとした。主要評価項目は10m歩行速度,6分間歩行テストとし,介入前,介入後,介入3週後に測定した。各群で介入前の歩行速度からPerryら(1995)の基準に準じて0.4m/s未満(重度群),0.4m/s以上(中等度群)の2群に分類し,重症度別での治療効果を比較した。統計解析は介入前の群間比較にt検定またはカイ二乗検定を行った。重症度別の介入後および3週後の群間比較には線形混合モデルを用い,交互作用が認められた場合にBonferroni法による多重比較を実施した。有意水準は5%とした。
【結果】
事後解析において,P-ES群から重度群10名,中等度群13名,P-Sham群から重度群13名,中度群10名が抽出された。介入前評価において,基礎情報および身体機能評価項目で2群間に有意差はなかった。10m歩行速度において,重度群で交互作用を認め(P<.05),P-ES群はP-Sham群と比較して介入後(P-ES群:0.45±0.18m/s,P-Sham群:0.28±0.12m/s,P=.006)および3週後(P-ES群:0.55±0.26m/s,P-Sham群:0.30±0.12m/s,P=.002)に有意な改善を示し,中等度群では有意差を認めなかった。6分間歩行において,重度群で交互作用を認め(P<.05),P-ES群はP-Sham群と比較して介入後(P-ES群:149.8±53.8m,P-Sham群:86.5±39.6m,P=.018)および3週後(P-ES群:176.7±74.5m,P-Sham群:99.6±47.1m,P=.013)に有意な改善を示し,中等度群では有意差を認めなかった。
【結論】
本事後解析により,P-ESは特に歩行速度が遅い症例(0.4m/s以下)の歩行速度と歩行耐容能を改善させることが示唆された。