[O-NV-11-2] 随意運動介助型電気刺激を用いた足関節背屈の自主トレーニングにより歩行時の筋活動に改善を認めた脳卒中片麻痺の1症例
Keywords:脳卒中, 低周波電気刺激, 筋活動
【はじめに,目的】近年,脳卒中片麻痺患者に対する随意運動の促通を目的としたアプローチとして,随意運動介助型電気刺激(EMG-TES)が行われており,その有効性も報告されている。EMG-TESによる随意運動促通運動は,筋出力が不十分な筋に対して,随意筋電量に比例した電気刺激を与えることで,随意運動を介助するものである。EMG-TESは,その方法が簡易であり使用者一人で実施できるため,リハビリテーション(リハビリ)を受ける患者に対し,リハビリ時間外に自主トレーニングとして取り入れることで,その効果をより増大させることが期待できる。今回,回復期リハビリ病棟に入院中の脳卒中片麻痺患者に対して,EMG-TESを使用した足関節背屈運動を自主トレーニングとして取り入れた。本症例は,歩行時に足部の内反傾向を認めていたため,外返しの主動作筋である長趾伸筋に対しEMG-TESを使用し,背屈運動時の筋活動を促通した。そして,自主トレーニングが背屈運動時,また歩行時の筋活動に及ぼす影響を検討した。
【方法】対象は,発症後2か月半経過した58歳の男性である。障害名は左片麻痺,Br.stageはVであった。自主トレーニングは,EMG-TESを用いた足関節背屈運動を病棟ベッド上端坐位にて実施した。EMG-TESにはIVES(OG技研)を使用した。実施期間は1か月間とし,1日2回,各15分をリハビリ以外の時間に実施した。背屈運動は快適速度かつ一定の速度で繰り返した。電極の貼り方および装置の操作方法は,事前に十分な指導を行った。自主トレーニングによる筋活動促通の効果を検討するため,開始前を含め一週間ごとの5回において,足関節背屈運動時,歩行遊脚期,歩行踵接地時での長趾伸筋の筋活動を表面筋電計(Biometricso社,PS850)を用いて計測した。得られた筋電図信号は,安静立位時における平均筋活動で正規化した後,各項目ごとに筋活動量を算出した。
【結果】背屈運動時の筋活動量(%・s)は,自主トレーニング開始前,開始1週目,2週目,3週目,4週目でそれぞれ0.029,0.028,0.031,0.035,0.050であった。遊脚期においては,0.029,0.028,0.031,0.035,0.050であった。踵接地時においては,0.007,0.011,0.012,0.061,0.045であった。
【結論】今回,脳出血片麻痺の症例に対しEMG-TESを用いた足関節背屈随意運動を自主トレーニングとして実施することで,背屈運動時及び歩行時の筋活動量が増大する傾向を認めた。筋活動量の向上が,背屈運動時のみならず歩行時にもみられたことから,EMG-TESを用いた随意運動促通の自主トレーニングは,歩行時の筋活動量の向上にも有益であることが示唆された。しかし,今回みられた結果が,自主トレーニングによるもののみではなく,リハビリの効果も影響している可能性は否定できない。この点については,今後自主トレーニングを行わない時期を設ける等により,EMG-TESによる自主トレーニングの効果を明らかにしていく必要がある。
【方法】対象は,発症後2か月半経過した58歳の男性である。障害名は左片麻痺,Br.stageはVであった。自主トレーニングは,EMG-TESを用いた足関節背屈運動を病棟ベッド上端坐位にて実施した。EMG-TESにはIVES(OG技研)を使用した。実施期間は1か月間とし,1日2回,各15分をリハビリ以外の時間に実施した。背屈運動は快適速度かつ一定の速度で繰り返した。電極の貼り方および装置の操作方法は,事前に十分な指導を行った。自主トレーニングによる筋活動促通の効果を検討するため,開始前を含め一週間ごとの5回において,足関節背屈運動時,歩行遊脚期,歩行踵接地時での長趾伸筋の筋活動を表面筋電計(Biometricso社,PS850)を用いて計測した。得られた筋電図信号は,安静立位時における平均筋活動で正規化した後,各項目ごとに筋活動量を算出した。
【結果】背屈運動時の筋活動量(%・s)は,自主トレーニング開始前,開始1週目,2週目,3週目,4週目でそれぞれ0.029,0.028,0.031,0.035,0.050であった。遊脚期においては,0.029,0.028,0.031,0.035,0.050であった。踵接地時においては,0.007,0.011,0.012,0.061,0.045であった。
【結論】今回,脳出血片麻痺の症例に対しEMG-TESを用いた足関節背屈随意運動を自主トレーニングとして実施することで,背屈運動時及び歩行時の筋活動量が増大する傾向を認めた。筋活動量の向上が,背屈運動時のみならず歩行時にもみられたことから,EMG-TESを用いた随意運動促通の自主トレーニングは,歩行時の筋活動量の向上にも有益であることが示唆された。しかし,今回みられた結果が,自主トレーニングによるもののみではなく,リハビリの効果も影響している可能性は否定できない。この点については,今後自主トレーニングを行わない時期を設ける等により,EMG-TESによる自主トレーニングの効果を明らかにしていく必要がある。