[O-NV-11-6] 3次元動作解析装置,表面筋電図を用いてウォークエイドⓇが即時的に慢性期脳卒中患者へ及ぼした効果を検証した一症例
Keywords:機能的電気刺激, 脳梗塞, 歩行
【はじめに,目的】機能的電気刺激は,脳卒中治療ガイドライン2015においてグレードBとして推奨されている。また,先行研究では歩行神経筋電気刺激装置ウォークエイドⓇ(帝人ファーマ社,以下WA)を実施することで,歩行速度や歩容が改善したと報告されている。今回,慢性期脳卒中患者に対し3次元動作解析装置,表面筋電図を用いてWAが即時的に歩行動作へ及ぼした効果を検証したため,以下に報告する。
【方法】対象は60歳代,女性,右利きである。2年前に心原性脳梗塞を発症し右片麻痺を呈している。SIAS運動機能は上肢2-1A・下肢2-1-2・体幹3-0。SIAS筋緊張は上肢1A-1・下肢2-1A。SIAS感覚は上肢2-2・下肢1-2。FIM 112点。歩行は尖足位にて内反を呈しており3動作揃え型となっている。今回,WAを用いた歩行を20分間実施した。傾斜センサーを使用し,前遊脚期から初期接地にかけて電気刺激を加えた。効果検証としてはポータブル3次元動作解析装置(NORAXON社製,MYOMOTION)にて足関節角度を算出した。無線式筋電図計測装置(NORAXON社製,TELEMYO DTS)を用い,麻痺側の前脛骨筋(以下,TA),腓腹筋内側(以下,MGA)・外側(以下,LGA)を%MVCで算出した。実施前後で10m歩行テストにて比較した。
【結果】10m歩行はWA前45.2秒・39歩,WA後で44.2秒・37歩。背屈角度は遊脚相においてWA前後で-4°から0°となった。筋活動量は,歩行周期を通してMGA・LGAの減少を認めた。麻痺側立脚中期から立脚終期で歩行周期の割合がWA前17~41%,WA後19~54%と増加を認めた。WAを使用したことで片脚支持期の延長と,下腿三頭筋の筋活動量低下を認めた。WA使用後では背屈角度において変化が認められたことから,WA前での前足部からの接地に比べ,全足底を接地させた歩行に改善された。そのため,麻痺側への荷重を促進させることができ,前方への重心移動が可能となり,片脚支持期の延長を認めたと考える。歩行周期を通して下腿三頭筋の筋活動量低下を認めたことについては,WA使用時に踵接地を促しながら初期接地を反復できたことで,下腿三頭筋の異常筋緊張抑制につながったと考える。今回,TAの筋活動量に変化はなく,下腿三頭筋の筋活動量が低下し片脚支持期の延長を認めているが,3次元動作解析装置から歩容には大きな変化は認められなかった。
【結論】WAを使用することは足関節背屈への随意性に変化を与えるものではないが,過剰な筋活動量を軽減させた効率的な歩行に近づけることが可能と考える。従って,目的とする具体的アプローチに加えWAを使用した歩行を反復させていくことで,効率的な歩行獲得に期待が持て,治療に有効な手段となり得るのではないかと考える。
【方法】対象は60歳代,女性,右利きである。2年前に心原性脳梗塞を発症し右片麻痺を呈している。SIAS運動機能は上肢2-1A・下肢2-1-2・体幹3-0。SIAS筋緊張は上肢1A-1・下肢2-1A。SIAS感覚は上肢2-2・下肢1-2。FIM 112点。歩行は尖足位にて内反を呈しており3動作揃え型となっている。今回,WAを用いた歩行を20分間実施した。傾斜センサーを使用し,前遊脚期から初期接地にかけて電気刺激を加えた。効果検証としてはポータブル3次元動作解析装置(NORAXON社製,MYOMOTION)にて足関節角度を算出した。無線式筋電図計測装置(NORAXON社製,TELEMYO DTS)を用い,麻痺側の前脛骨筋(以下,TA),腓腹筋内側(以下,MGA)・外側(以下,LGA)を%MVCで算出した。実施前後で10m歩行テストにて比較した。
【結果】10m歩行はWA前45.2秒・39歩,WA後で44.2秒・37歩。背屈角度は遊脚相においてWA前後で-4°から0°となった。筋活動量は,歩行周期を通してMGA・LGAの減少を認めた。麻痺側立脚中期から立脚終期で歩行周期の割合がWA前17~41%,WA後19~54%と増加を認めた。WAを使用したことで片脚支持期の延長と,下腿三頭筋の筋活動量低下を認めた。WA使用後では背屈角度において変化が認められたことから,WA前での前足部からの接地に比べ,全足底を接地させた歩行に改善された。そのため,麻痺側への荷重を促進させることができ,前方への重心移動が可能となり,片脚支持期の延長を認めたと考える。歩行周期を通して下腿三頭筋の筋活動量低下を認めたことについては,WA使用時に踵接地を促しながら初期接地を反復できたことで,下腿三頭筋の異常筋緊張抑制につながったと考える。今回,TAの筋活動量に変化はなく,下腿三頭筋の筋活動量が低下し片脚支持期の延長を認めているが,3次元動作解析装置から歩容には大きな変化は認められなかった。
【結論】WAを使用することは足関節背屈への随意性に変化を与えるものではないが,過剰な筋活動量を軽減させた効率的な歩行に近づけることが可能と考える。従って,目的とする具体的アプローチに加えWAを使用した歩行を反復させていくことで,効率的な歩行獲得に期待が持て,治療に有効な手段となり得るのではないかと考える。