[O-NV-12-3] 急性期病院における超高齢脳卒中患者の在宅復帰に影響する因子について
Keywords:超高齢者, 急性期脳卒中患者, 在宅復帰
【はじめに,目的】
厚生労働省は地域包括ケアシステムの実現に向け,在院日数短縮による医療費削減と在宅医療・介護の充実から早期の社会復帰を目指している。急性期リハビリテーション(リハ)では発症早期からリスク管理のもと早期退院に向けた関わりが必要だが,高齢者の特徴として身体,精神,臓器機能等の予備力低下があり,病前の状態まで回復する事は容易ではない。今回,今後人口が増加傾向にある,超高齢者の急性期脳卒中患者における在宅復帰因子を検討し,リハの一助となる事を目的とした。
【方法】
対象は2013年10月~2014年9月までに脳出血,脳梗塞の治療を目的に当院へ入退院した65歳以上の患者(主科が脳外科でない者,他院から転入院した者,施設入所者,死亡退院者を除外)178名(男性110名,平均年齢76(69-82)歳)とした。さらに対象を85歳以上(A)と65歳以上85歳未満(B)に分類した。調査項目は年齢,性別,既往歴,転帰先,退院時介護力,在院日数,入院~リハ開始までの日数,発症前・入院時・退院時modified Rankin Scale(mRS),入院時・退院時modified NIH Stroke Scale(NIHSS),Barthel Index(BI)合計点,下位10項目の各得点とした。これらの項目について以下の方法で後方視的に検討した。1)85歳以上の転帰について予測関連因子を検討する為,Aで自宅群,非自宅群の2群をMann-WhitenyのU検定,Fisherの直接確率法を用いて比較した。また,転帰先を従属変数とし有意差のあった項目を独立変数としたロジスティク回帰分析を行った。2)退院時BI下位10項目で,自立度(自立-非自立)の違いがその後の転帰先(自宅-非自宅)に影響するかを検討する為A,Bの下位項目ごとに群間における自立度の観測度数の偏りをFisherの直接確率法,x2検定を用いて比較した。(有意水準5%未満)
【結果】
Aは30名(男性6名,平均年齢89(86-90)歳)Bは148名(男性104名,平均年齢73(69-78)歳)だった。1)Aは自宅群11名,非自宅群19名で在院日数,入院時・退院時NIHSS,BI合計点,mRSで有意差を認めた。(p>0.01)ロジスティク回帰分析では退院時BI合計点(オッズ比1.055,95%信頼区間28.7-51.9)で有意差を認めた。2)Aは平地歩行,階段,入浴以外の項目,Bは退院時BI下位10項目全てで有意な偏りを認めた。(p>0.01)退院時BI合計点はAで自宅群80(65-85)点,非自宅群15(0-35)点,Bで自宅群90(80-100)点,非自宅群30(10-60)点だった。
【結論】
超高齢脳卒中患者の在宅復帰に関連していたのは退院時BI合計点だった。退院時BI下位10項目を検討すると食事,整容,更衣,排尿排便管理,トイレ動作における自立度が重要とされた。また,急性期病院から在宅復帰した者でもADLが完全自立していた者はおらず,病前より介護保険サービスを利用したり,退院時介護力が高い傾向にあった。その為,超高齢脳卒中患者のリハでは身の回り動作の自立に重きをおき,在宅生活環境の調整を含む関わりが早期から必要と考えられた。
厚生労働省は地域包括ケアシステムの実現に向け,在院日数短縮による医療費削減と在宅医療・介護の充実から早期の社会復帰を目指している。急性期リハビリテーション(リハ)では発症早期からリスク管理のもと早期退院に向けた関わりが必要だが,高齢者の特徴として身体,精神,臓器機能等の予備力低下があり,病前の状態まで回復する事は容易ではない。今回,今後人口が増加傾向にある,超高齢者の急性期脳卒中患者における在宅復帰因子を検討し,リハの一助となる事を目的とした。
【方法】
対象は2013年10月~2014年9月までに脳出血,脳梗塞の治療を目的に当院へ入退院した65歳以上の患者(主科が脳外科でない者,他院から転入院した者,施設入所者,死亡退院者を除外)178名(男性110名,平均年齢76(69-82)歳)とした。さらに対象を85歳以上(A)と65歳以上85歳未満(B)に分類した。調査項目は年齢,性別,既往歴,転帰先,退院時介護力,在院日数,入院~リハ開始までの日数,発症前・入院時・退院時modified Rankin Scale(mRS),入院時・退院時modified NIH Stroke Scale(NIHSS),Barthel Index(BI)合計点,下位10項目の各得点とした。これらの項目について以下の方法で後方視的に検討した。1)85歳以上の転帰について予測関連因子を検討する為,Aで自宅群,非自宅群の2群をMann-WhitenyのU検定,Fisherの直接確率法を用いて比較した。また,転帰先を従属変数とし有意差のあった項目を独立変数としたロジスティク回帰分析を行った。2)退院時BI下位10項目で,自立度(自立-非自立)の違いがその後の転帰先(自宅-非自宅)に影響するかを検討する為A,Bの下位項目ごとに群間における自立度の観測度数の偏りをFisherの直接確率法,x2検定を用いて比較した。(有意水準5%未満)
【結果】
Aは30名(男性6名,平均年齢89(86-90)歳)Bは148名(男性104名,平均年齢73(69-78)歳)だった。1)Aは自宅群11名,非自宅群19名で在院日数,入院時・退院時NIHSS,BI合計点,mRSで有意差を認めた。(p>0.01)ロジスティク回帰分析では退院時BI合計点(オッズ比1.055,95%信頼区間28.7-51.9)で有意差を認めた。2)Aは平地歩行,階段,入浴以外の項目,Bは退院時BI下位10項目全てで有意な偏りを認めた。(p>0.01)退院時BI合計点はAで自宅群80(65-85)点,非自宅群15(0-35)点,Bで自宅群90(80-100)点,非自宅群30(10-60)点だった。
【結論】
超高齢脳卒中患者の在宅復帰に関連していたのは退院時BI合計点だった。退院時BI下位10項目を検討すると食事,整容,更衣,排尿排便管理,トイレ動作における自立度が重要とされた。また,急性期病院から在宅復帰した者でもADLが完全自立していた者はおらず,病前より介護保険サービスを利用したり,退院時介護力が高い傾向にあった。その為,超高齢脳卒中患者のリハでは身の回り動作の自立に重きをおき,在宅生活環境の調整を含む関わりが早期から必要と考えられた。