第51回日本理学療法学術大会

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一般演題口述

日本呼吸理学療法学会 一般演題口述
(呼吸)01

Sat. May 28, 2016 4:00 PM - 5:00 PM 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

座長:高橋仁美(市立秋田総合病院 リハビリテーション科)

[O-RS-01-5] 地域住民における大規模COPD実態調査(第2報)

―非喫煙者における身体的特性の検討―

都留貴志, 中嶋仁 (地方独立行政法人市立吹田市民病院リハビリテーション科)

Keywords:COPD, 非喫煙, 身体的特性

【はじめに,目的】

我々は第50回日本理学療法学術大会において,2014年に行った地域住民における大規模なCOPD実態調査で,非喫煙者COPDの高い存在率について報告した。しかしながら,本邦における非喫煙者COPDの疫学的検討は未だ少なく,その臨床像については不明な点が多い。

そこで,今回の目的は,より対象者を増やした上で,非喫煙者COPDの身体的特性を調査することとした。

【方法】

本研究は,2011~2014年において,我々が開催した世界COPDデーイベントに参加した地域住民のうち,データ不足や記録不備のない1338名を対象とした横断的疫学研究である。なお,取り込み基準は,40歳以上で肺機能測定及びIPAGを実施された1013名とした。

調査項目は,身体因子(年齢・性別・BMI),喫煙歴(喫煙の有無・pack year),肺機能(1秒率・%1秒量),病期分類,IPAGとした。判定基準として,1秒率が70%未満かつIPAGの得点が20点以上のものをCOPD疑いと定義した。IPAGのカットオフ値については,先行研究にて本邦では欧米より高めに設定すべきとする報告があり,今回は原法の17点(感度0.939,特異度0.404)ではなく,より特異度の高い20点(感度0.848,特異度0.647)とした。

なお,COPD疑いの中で,喫煙者と非喫煙者の2群に分け,身体因子と肺機能,IPAGについてMann-WhitneyのU検定及びχ2検定を用いて比較検討した。さらに,2群間において病期分類の比較を先行研究に基づき日常生活に支障を来しやすくなる時期のII期を境にI期とII~IV期に分け,その比率の分布についてχ2検定を用いて検討した。統計学的有意水準は5%とした。

【結果】

COPD疑いは14.3%(n=145)であり,うち非喫煙者は34.5%(n=50)であった。また,2群間における各調査項目を比較した結果,年齢は喫煙者70.0(65.0-74.8)歳,非喫煙者75.0(71.0-77.0)歳と喫煙者に比べて非喫煙者は,やや高齢であった。性別は,女性の比率が喫煙者15.8%,非喫煙者84.0%と非喫煙者で有意に多かった。BMIは喫煙者22.9(20.9-24.2)kg/m2,非喫煙者20.9(19.7-22.3)kg/m2と非喫煙者の方がやや体格指数は低かった。また,肺機能は,1秒率が喫煙者64.4(59.9-66.9)%,非喫煙者66.3(61.1-68.2)%,%1秒量が喫煙者72.8(65.3-84.4)%,非喫煙者85.6(74.3-98.0)%であり,喫煙者でより肺機能の低下を認めた。病期分類でI期とII期以上の比率については,喫煙者でI期33.7%,II期以上66.3%,非喫煙者ではI期68.0%,II期以上32.0%と喫煙者では中等症例が多く,非喫煙者では軽症例が有意に多かった。

【結論】

本調査による非喫煙者COPDの身体的特性は,地域住民を対象とした実態調査から得たものではあるが,国外において報告された非喫煙者COPDの臨床的特徴と同様の結果が得られており,一定のコンセンサスを得られるものであると考える。今後は,更なる問診項目の充実を図り,非喫煙者COPDの環境因子についても検討したい。