[O-RS-02-1] COPD患者における筋力と6分間歩行距離および身体活動量との関係
Keywords:COPD, 筋力, 身体活動量
【目的】
COPD患者における呼吸リハビリテーションが身体活動量の向上に寄与することは明らかだが,何が影響を及ぼしているかは未だ不明確である。そこで,本研究の目的はCOPD患者の筋力と6分間歩行距離(6MWD)および身体活動量との関係を明らかにすることである。
【対象および方法】
対象は当院に外来通院中のCOPD患者で,65歳以上かつ呼吸リハ介入前の45名。平均年齢:72.2±6.1歳,男性:42名,女性:3名,BMI:22.4±2.7kg/m2,GOLDI/II/III/IV:20/12/10/3(名),mMRC1/2/3:33/11/1(名),%FVC:90.5±24.4%,%FEV1.0:66.4±25.1%。測定項目は1:握力,2:膝伸展筋力,3:6MWD,4:身体活動量とした。膝伸展筋力の測定にはハンドヘルドダイナモメーター(μTas F-1(アニマ))を用いて加藤らの方法に準じて測定し,測定値は体重比百分率(%kgf))に換算し用いた。身体活動量は歩数計(ライフコーダー(スズケン))を用いて測定し,1日あたりの平均歩数を身体活動量と定義した。さらに,歩数計にて測定される活動強度のうち4Mets以上の中等度以上の割合も算出した。検討内容はスピアマンの順位相関係数分析を用いて各項目間の関係性を検討した。
【結果】
対象者45名の平均膝伸展筋力:58.1±16.9%kgf,平均6MWD:482.2±69.3m,平均歩数:5909±3074歩,身体活動における活動強度割合は低強度:77.7%,中等度以上:22.3%であった。
膝伸展筋力と6MWD(r=0.39,p<0.01),握力と6MWD(r=0.39,p<0.01),6MWDと身体活動量(r=0.35,p<0.05),6MWDと身体活動における中等度以上の活動割合(r=0.48,p<0.01)との間にのみ有意な正の相関を認めた。身体活動量と膝伸展筋力および握力(r=0.29,p=0.07)(r=-0.04,p=0.77),身体活動における中等度以上の活動割合と膝伸展筋力および握力(r=0.18,p=0.22)(r=-0.08,p=0.58)は関係性を認めなかった。
【考察】
6MWDと身体活動量および中等度強度以上の活動強度に関係性を認めたことから,COPD患者の身体活動には活動目的が重要とされているが,それを可能とするだけの運動能力が必須であることが示唆された。さらに,中等度強度以上の身体活動になると運動能力への依存がより大きくなることが明らかになった。
筋力の指標である握力や膝伸展筋力と身体活動量は関係性を認めなかったことから,単純に筋力が強くても身体活動には反映されにくく,筋力が運動耐容能の向上に結びついてこそ身体活動量の向上に繋がると考えられた。ただし,筋力と運動耐容能は関係性を認めたため,筋力の向上なしには運動耐容能の向上は望めず,筋力の身体活動への影響は避けられないことが考えられた。
したがって,身体活動量の向上には患者自身の活動目的づくりや心理的側面を含む患者教育が重要ではあるが,運動療法による筋力や運動耐容能といった身体機能の向上なしには身体活動量の向上は得られないことが示唆された。今後は,COPD患者の身体活動量の向上を目標としてどのように多面的に呼吸リハ介入するかが課題である。
COPD患者における呼吸リハビリテーションが身体活動量の向上に寄与することは明らかだが,何が影響を及ぼしているかは未だ不明確である。そこで,本研究の目的はCOPD患者の筋力と6分間歩行距離(6MWD)および身体活動量との関係を明らかにすることである。
【対象および方法】
対象は当院に外来通院中のCOPD患者で,65歳以上かつ呼吸リハ介入前の45名。平均年齢:72.2±6.1歳,男性:42名,女性:3名,BMI:22.4±2.7kg/m2,GOLDI/II/III/IV:20/12/10/3(名),mMRC1/2/3:33/11/1(名),%FVC:90.5±24.4%,%FEV1.0:66.4±25.1%。測定項目は1:握力,2:膝伸展筋力,3:6MWD,4:身体活動量とした。膝伸展筋力の測定にはハンドヘルドダイナモメーター(μTas F-1(アニマ))を用いて加藤らの方法に準じて測定し,測定値は体重比百分率(%kgf))に換算し用いた。身体活動量は歩数計(ライフコーダー(スズケン))を用いて測定し,1日あたりの平均歩数を身体活動量と定義した。さらに,歩数計にて測定される活動強度のうち4Mets以上の中等度以上の割合も算出した。検討内容はスピアマンの順位相関係数分析を用いて各項目間の関係性を検討した。
【結果】
対象者45名の平均膝伸展筋力:58.1±16.9%kgf,平均6MWD:482.2±69.3m,平均歩数:5909±3074歩,身体活動における活動強度割合は低強度:77.7%,中等度以上:22.3%であった。
膝伸展筋力と6MWD(r=0.39,p<0.01),握力と6MWD(r=0.39,p<0.01),6MWDと身体活動量(r=0.35,p<0.05),6MWDと身体活動における中等度以上の活動割合(r=0.48,p<0.01)との間にのみ有意な正の相関を認めた。身体活動量と膝伸展筋力および握力(r=0.29,p=0.07)(r=-0.04,p=0.77),身体活動における中等度以上の活動割合と膝伸展筋力および握力(r=0.18,p=0.22)(r=-0.08,p=0.58)は関係性を認めなかった。
【考察】
6MWDと身体活動量および中等度強度以上の活動強度に関係性を認めたことから,COPD患者の身体活動には活動目的が重要とされているが,それを可能とするだけの運動能力が必須であることが示唆された。さらに,中等度強度以上の身体活動になると運動能力への依存がより大きくなることが明らかになった。
筋力の指標である握力や膝伸展筋力と身体活動量は関係性を認めなかったことから,単純に筋力が強くても身体活動には反映されにくく,筋力が運動耐容能の向上に結びついてこそ身体活動量の向上に繋がると考えられた。ただし,筋力と運動耐容能は関係性を認めたため,筋力の向上なしには運動耐容能の向上は望めず,筋力の身体活動への影響は避けられないことが考えられた。
したがって,身体活動量の向上には患者自身の活動目的づくりや心理的側面を含む患者教育が重要ではあるが,運動療法による筋力や運動耐容能といった身体機能の向上なしには身体活動量の向上は得られないことが示唆された。今後は,COPD患者の身体活動量の向上を目標としてどのように多面的に呼吸リハ介入するかが課題である。