第51回日本理学療法学術大会

講演情報

一般演題口述

日本呼吸理学療法学会 一般演題口述
(呼吸)04

2016年5月29日(日) 10:00 〜 11:00 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

座長:関川清一(広島大学 大学院医歯薬保健学研究院)

[O-RS-04-6] 理学療法士等による喀痰等の吸引講習会開催とその評価

~初回から5年経過した同一講習会のアンケート調査~

中島活弥1, 熊切寛2 (1.藤沢湘南台病院リハビリテーション科, 2.呼吸器外科)

キーワード:喀痰吸引, 吸引講習会, アンケート調査

【はじめに,目的】

平成22年に理学療法士等による喀痰等の吸引(以下,吸引)の実施に当たって,養成機関や医療機関等において必要な教育・研修等を受けた理学療法士等が実施することと通知された。この実施に至っては,講習会などを講じる旨が記載されている。我々は同年より院内職員への吸引講習会を開催し,その評価を論じた。また,関連学会で東京都理学療法士会会員への講習会の開催を報告した。

今回,初回講習会から5年経過し,同様の講習会で初回と同一のアンケートを行い,若干の知見を得たので報告する。

当地域の院外受講者を募り吸引講習会を実施した。初回講習会後と今回の講習会後に同一のアンケートを実施し,受講者の回答に変化があるかを検証する事を目的にアンケート調査を行った。

【方法】

平成22年に東京都理学療法士会主催の講習会(以下①)を開催。同年に院内職員講習会(以下②)を開催した。平成26年に院外の希望者に対し講習会(以下③)を実施し,全過程修了後,受講者にアンケートを実施した。平成22年に調査したアンケート結果と比較し検討を行った。

【結果】

受講者は①から③の順に69名,19名,11名であった。職種では全期とも理学療法士の受講が最も多かった。アンケート回収率は100%であった。①②と比し,③では「吸引が業務になった事」を全ての受講者が知っていた。受講者の経験年数は①②とも3年未満が半数を占めたが,③では3年以上が70%以上を占めた。吸引業務への関心は①②では「法的に認められたため受講した」との回答が約5割であったが,③では「必然性がある」との回答が約5割であった。同時に「今後に役立ちそう」の回答が増加傾向であった。①②比し③では吸引講習の参加未経験者が多かった。

【結論】

①②では通知当初であり,新卒者の吸引の知識,方法を習得する気運の高まりがあったと考える。また卒前に吸引のカリキュラムが存在しなかったことも要因と考える。初回から5年が経過し,経験3年以上の理学療法士等も呼吸器疾患症例など気道内分泌液の対処をすることが増加し,手技習得の必然性が出たと推される。

しかし吸引講習会の減少,各施設の開催内容のばらつき,また他部署の理解が得られないとの報告も散見される。当院では日本理学療法士協会の吸引プロトコルや日本呼吸療法医学会の気管吸引ガイドラインに則った方法で講習会を開催しているが年々受講者は減少している。理由として長期の受講時間が確保できない。施設独自で短期間の講習会を開催しているなどの自由意見が記された。しかし,吸引は侵襲のある手技のため,系統だった講習会を開催し,各士会や地域内の研修会でも定期的な吸引講習と認定が出来る永続的なシステムを構築できればと考える。

本発表では他の設問と回答も提示する予定である。