[O-SK-01-1] 装具作製患者における期間・年代別のメンテナンス状況と対策の立案
Keywords:装具, 修理, フォローアップ
【はじめに,目的】
我々は,第50回本学会において装具外来での取り組みにおける課題やフォローアップの必要性を報告した。今回,入院中に装具を作製した患者を対象に入院中から退院後での装具のメンテナンス状況を調査し,継続的なフォローアップが実施できているのか,また年代別ではフォローアップに差が生じているかを調査し,課題に対しての対策を検討した。
【方法】
対象は平成24年4月~平成26年3月の期間に当院入院中に装具を作製された67名(男性49名,女性18名,平均年齢64.8±13.8歳)を対象に後方視的調査にて行った。診療記録と装具予約表より,年齢,退院日,装具作製種類,装具作製日,修理履歴(平成24年4月~平成27年8月)の情報を収集し,作製後から修理・調整を行った時期の件数,年齢別の修理の割合をまとめ,現状の傾向を調査し対策を立案した。なお,下肢装具の種類は,日本義肢装具学会階層別用語集を参考にし,プラスチック短下肢装具(P-AFO),継手付きプラスチック装具(JP-AFO),オルトップ(O-AFO),両側支柱付長下肢装具(KAFO),両側支柱付短下肢装具は靴型(U-AFO靴型)と足板型(U-AFO足板型)と分けて分類した。
【結果】
作製装具の状況は,P-AFO35名,JP-AFO16名,U-AFO足板型8名,U-AFO靴型2名,KAFO2名,O-AFO1名であった。作製から修理・調整を行った時期では,作製から0か月が14件,1か月が7件となり,全て入院中の対応であった。退院後の対応は,作製から2か月後から生じた。2か月では,6件となり,2か月~7か月期間では,徐々に減少を辿った。しかし,8か月で修理件数が増加し始め,8ヶ月から12ヶ月以上の期間では24件であった。年齢別の修理の割合では,30歳代で100%,40歳代で75%,50歳代で67%,60歳代で47%,70歳代で44%,80歳代以上で33%となり,年齢の増加とともに修理の割合が徐々に低下していた。
【結論】
装具完成後2か月間の調整では,完成時に気付くことがなかった動作時における諸問題の調整が要因と考える。修理では,退院後約6か月にて不適合が生じ始める可能性がある。年齢別では若い患者は,継続したフォローアップが行えている傾向があるが,高齢患者では,退院後にフローアップが途切れてしまいやすいことが示唆された。そのため,完成後に本人・家族と生活期スタッフに向けて,装具情報(作製日,作製制度,装具種類,処方設定,身体機能など)や修理例や再作製についての情報を記載したメンテナンスシートを作成し退院時に配布する事,また退院後6か月後に装具不具合の有無などの状況を調査し,能動的にフォローアップを働きかける取り組みを行う事とした。本研究は,地域包括ケアシステムの導入により医療・介護の連携の構築が求められる中,装具作製後のフォローアップの現状を把握し,回復期から生活期における装具のフォローアップの意義・必要性の再考の糸口となると考える。
我々は,第50回本学会において装具外来での取り組みにおける課題やフォローアップの必要性を報告した。今回,入院中に装具を作製した患者を対象に入院中から退院後での装具のメンテナンス状況を調査し,継続的なフォローアップが実施できているのか,また年代別ではフォローアップに差が生じているかを調査し,課題に対しての対策を検討した。
【方法】
対象は平成24年4月~平成26年3月の期間に当院入院中に装具を作製された67名(男性49名,女性18名,平均年齢64.8±13.8歳)を対象に後方視的調査にて行った。診療記録と装具予約表より,年齢,退院日,装具作製種類,装具作製日,修理履歴(平成24年4月~平成27年8月)の情報を収集し,作製後から修理・調整を行った時期の件数,年齢別の修理の割合をまとめ,現状の傾向を調査し対策を立案した。なお,下肢装具の種類は,日本義肢装具学会階層別用語集を参考にし,プラスチック短下肢装具(P-AFO),継手付きプラスチック装具(JP-AFO),オルトップ(O-AFO),両側支柱付長下肢装具(KAFO),両側支柱付短下肢装具は靴型(U-AFO靴型)と足板型(U-AFO足板型)と分けて分類した。
【結果】
作製装具の状況は,P-AFO35名,JP-AFO16名,U-AFO足板型8名,U-AFO靴型2名,KAFO2名,O-AFO1名であった。作製から修理・調整を行った時期では,作製から0か月が14件,1か月が7件となり,全て入院中の対応であった。退院後の対応は,作製から2か月後から生じた。2か月では,6件となり,2か月~7か月期間では,徐々に減少を辿った。しかし,8か月で修理件数が増加し始め,8ヶ月から12ヶ月以上の期間では24件であった。年齢別の修理の割合では,30歳代で100%,40歳代で75%,50歳代で67%,60歳代で47%,70歳代で44%,80歳代以上で33%となり,年齢の増加とともに修理の割合が徐々に低下していた。
【結論】
装具完成後2か月間の調整では,完成時に気付くことがなかった動作時における諸問題の調整が要因と考える。修理では,退院後約6か月にて不適合が生じ始める可能性がある。年齢別では若い患者は,継続したフォローアップが行えている傾向があるが,高齢患者では,退院後にフローアップが途切れてしまいやすいことが示唆された。そのため,完成後に本人・家族と生活期スタッフに向けて,装具情報(作製日,作製制度,装具種類,処方設定,身体機能など)や修理例や再作製についての情報を記載したメンテナンスシートを作成し退院時に配布する事,また退院後6か月後に装具不具合の有無などの状況を調査し,能動的にフォローアップを働きかける取り組みを行う事とした。本研究は,地域包括ケアシステムの導入により医療・介護の連携の構築が求められる中,装具作製後のフォローアップの現状を把握し,回復期から生活期における装具のフォローアップの意義・必要性の再考の糸口となると考える。