[O-SK-01-4] Honda製リズム歩行アシスト装置の適応患者の検討
Keywords:ロボット, 歩行, 即時効果
【はじめに,目的】
近年,ロボットスーツHALⓇ等のリハビリテーションロボットの開発が進んでおり,臨床現場で大きな手助けになることが期待されている。その中でもHonda製リズム歩行アシスト装置(以下,歩行アシスト)は歩行時の股関節の屈伸運動を補助し,歩行の改善を目指すものである。しかし当院では,歩行アシストの装着により,歩行速度が向上する例と低下してしまう例がみられ,その適応が未だ明確に検証されていない。そこで,本研究では歩行アシストの装着により,即時的に歩行速度が向上した患者群と低下した患者群の特性を比較し,歩行アシストの適応患者を検討した。
【方法】
2013年9月から2014年8月までの間に当院に入院し,見守りでの歩行が可能であり,歩行アシストを使用した脳血管障害患者23名を対象とした。除外基準は重度の認知機能の低下を有する者,歩行速度が1m/sec以上の者とした。対象者には,歩行アシストを非装着下で10m歩行テストを行った後,歩行アシスト装着下で再度10m歩行テストを行った。非装着下に比べて,装着した際に歩行速度が向上した群を向上群(13名),低下した群を低下群(10名)とし,二群間比較を行った。比較項目は,年齢,身長,体重,性別,麻痺側,発症から測定までの期間,Brunnstrom Stage(以下BRS),MAS,TUG,FIM,装具の有無,歩行形態,非装着下での歩行速度及び歩幅とし,統計解析にはMann-WhitneyのU検定とx2検定を使用し,有意水準を5%未満とした。
【結果】
向上群は低下群に対し,麻痺が軽度であり,装具の使用率が低く,歩行速度が遅い傾向がみられた。特に,BRSがV以上である割合と装具の使用率が向上群ではそれぞれ62%と31%,低下群では30%と60%であり,大きな違いが見受けられた。しかし,今回比較したいずれの項目においても統計学的有意差は認められなかった。
【結論】
有意差は認められなかったが,今回の結果は,歩行アシストの適応を検討する上で十分参考に成り得るものであったと考える。歩行アシストは股関節の屈伸を補助することで,ロッカーファンクションを改善することを目的としている。しかし,BRSがIV以下の者や,装具を使用している者は足関節や中足指節間関節が機能しにくいため,フォアフットロッカーの形成が困難であることが予想される。そのため,歩行アシストにより歩行速度が向上しなかったと考える。また,向上群では麻痺が軽度な者が多いにも関わらず,歩行速度が遅い傾向があった。このことは足関節制御よりも股関節制御の問題により,歩行速度が低下している例が,より歩行アシストの効果を得られたことによるものだと考える。リハビリテーションロボットは重度の麻痺を対象としている物が多いが,今回の結果は,歩行アシストが他のロボットと異なり,軽度の麻痺を対象とし得ることを示す結果となった。
近年,ロボットスーツHALⓇ等のリハビリテーションロボットの開発が進んでおり,臨床現場で大きな手助けになることが期待されている。その中でもHonda製リズム歩行アシスト装置(以下,歩行アシスト)は歩行時の股関節の屈伸運動を補助し,歩行の改善を目指すものである。しかし当院では,歩行アシストの装着により,歩行速度が向上する例と低下してしまう例がみられ,その適応が未だ明確に検証されていない。そこで,本研究では歩行アシストの装着により,即時的に歩行速度が向上した患者群と低下した患者群の特性を比較し,歩行アシストの適応患者を検討した。
【方法】
2013年9月から2014年8月までの間に当院に入院し,見守りでの歩行が可能であり,歩行アシストを使用した脳血管障害患者23名を対象とした。除外基準は重度の認知機能の低下を有する者,歩行速度が1m/sec以上の者とした。対象者には,歩行アシストを非装着下で10m歩行テストを行った後,歩行アシスト装着下で再度10m歩行テストを行った。非装着下に比べて,装着した際に歩行速度が向上した群を向上群(13名),低下した群を低下群(10名)とし,二群間比較を行った。比較項目は,年齢,身長,体重,性別,麻痺側,発症から測定までの期間,Brunnstrom Stage(以下BRS),MAS,TUG,FIM,装具の有無,歩行形態,非装着下での歩行速度及び歩幅とし,統計解析にはMann-WhitneyのU検定とx2検定を使用し,有意水準を5%未満とした。
【結果】
向上群は低下群に対し,麻痺が軽度であり,装具の使用率が低く,歩行速度が遅い傾向がみられた。特に,BRSがV以上である割合と装具の使用率が向上群ではそれぞれ62%と31%,低下群では30%と60%であり,大きな違いが見受けられた。しかし,今回比較したいずれの項目においても統計学的有意差は認められなかった。
【結論】
有意差は認められなかったが,今回の結果は,歩行アシストの適応を検討する上で十分参考に成り得るものであったと考える。歩行アシストは股関節の屈伸を補助することで,ロッカーファンクションを改善することを目的としている。しかし,BRSがIV以下の者や,装具を使用している者は足関節や中足指節間関節が機能しにくいため,フォアフットロッカーの形成が困難であることが予想される。そのため,歩行アシストにより歩行速度が向上しなかったと考える。また,向上群では麻痺が軽度な者が多いにも関わらず,歩行速度が遅い傾向があった。このことは足関節制御よりも股関節制御の問題により,歩行速度が低下している例が,より歩行アシストの効果を得られたことによるものだと考える。リハビリテーションロボットは重度の麻痺を対象としている物が多いが,今回の結果は,歩行アシストが他のロボットと異なり,軽度の麻痺を対象とし得ることを示す結果となった。