[O-SN-01-6] 福山型先天性筋ジストロフィー患者におけるGMFMによる運動能力とROMの関係
Keywords:福山型先天性筋ジストロフィー, GMFM, ROM
【はじめに】福山型先天性筋ジストロフィー(FCMD)は,大脳形成異常を伴う先天性筋ジストロフィーである。FKTN遺伝子の3kb挿入変異のホモまたは複合へテロ接合型により生じる。我々は,FCMDの運動能力においてGMFM(粗大運動能力尺度)を用いた評価に妥当性があることを昨年報告した。FCMDの運動能力の特徴として6歳前後から低下傾向,遺伝型ではホモ接合型に比べヘテロ接合型は低値,GMFMの臥位・寝返り領域では腹臥位項目が背臥位項目に比べ低値,運動退行は四肢の運動の変化から始まることを示した。FCMDでは歩行獲得は稀で最高運動到達能は多くは座位またはいざりである。歩行未獲得患者は早期より関節拘縮が生じるといわれているが,運動能力に関節可動域(ROM)が関与しているかは未だ明らかではない。今回,FCMDの運動能力をGMFMで評価し,同時期の四肢のROMとの関係を検討した。
【方法】対象は,2013年10月から2015年9月までに当院通院したFCMD患者41名(0~24歳)。運動能力をGMFMで評価し,同時に股関節伸展,膝関節伸展,足関節背屈(膝伸展位),肘関節伸展のROMを測定した。24名は6~12か月毎に評価した。ROMと年齢との関係,ROMの経過の傾向,GMFMの点数とROMの関係を前方視的に検討した。検定はSpearmanの順位相関係数を用いた。
【結果】ROMと年齢との関係は,測定した全ての関節で負の相関を認めた(股右r=-0.62,股左r=-0.69,膝右r=-0.71,膝左r=-0.75,足右r=-0.59,足左r=-0.60,肘右r=-0.66,肘左r=-0.58,いずれもp<0.001)。股・膝関節伸展のROMは,歩行未獲得症例では3歳以前からROM制限(正常可動域より低値)が生じ,4~5歳以降,年齢と共に制限が増す傾向だった。足関節背屈では3歳以前は0°以上は保たれやすく,以降0°以上維持されている症例と制限がみられる症例に分かれた。肘関節伸展は8歳頃まで正常または過度のROMを示し,10歳以降制限が増す傾向だった。GMFMの点数とROMの関係では股・膝・肘関節で相関を認めた(股右r=0.53,股左r=0.43,膝右r=0.54,膝左r=0.56,足右r=0.36,足左r=0.35,肘右r=0.68,肘左r=0.56,いずれもp<0.001)。
【結論】今回の結果からFCMDの股・膝・足・肘関節のROMは加齢と共に制限が増し,特に股・膝関節では3歳以降著明となっていくこと,GMFMの点数と股・膝・肘関節のROMには相関があることが判明した。FCMDの筋線維は細く結合組織の増生が強く関節拘縮が生じやすい。更に,筋力の低下や不均衡により十分な可動域を伴う運動が減り,同一肢位の保持,不動などの要因もROM制限に大きく寄与する。FCMDでは股・膝関節伸展制限が寝返りや腹臥位での運動の阻害因子となり,GMFMの腹臥位項目が低値であった可能性も考えられる。FCMDにおける理学療法ではROMへの対応は重要な課題である。
【方法】対象は,2013年10月から2015年9月までに当院通院したFCMD患者41名(0~24歳)。運動能力をGMFMで評価し,同時に股関節伸展,膝関節伸展,足関節背屈(膝伸展位),肘関節伸展のROMを測定した。24名は6~12か月毎に評価した。ROMと年齢との関係,ROMの経過の傾向,GMFMの点数とROMの関係を前方視的に検討した。検定はSpearmanの順位相関係数を用いた。
【結果】ROMと年齢との関係は,測定した全ての関節で負の相関を認めた(股右r=-0.62,股左r=-0.69,膝右r=-0.71,膝左r=-0.75,足右r=-0.59,足左r=-0.60,肘右r=-0.66,肘左r=-0.58,いずれもp<0.001)。股・膝関節伸展のROMは,歩行未獲得症例では3歳以前からROM制限(正常可動域より低値)が生じ,4~5歳以降,年齢と共に制限が増す傾向だった。足関節背屈では3歳以前は0°以上は保たれやすく,以降0°以上維持されている症例と制限がみられる症例に分かれた。肘関節伸展は8歳頃まで正常または過度のROMを示し,10歳以降制限が増す傾向だった。GMFMの点数とROMの関係では股・膝・肘関節で相関を認めた(股右r=0.53,股左r=0.43,膝右r=0.54,膝左r=0.56,足右r=0.36,足左r=0.35,肘右r=0.68,肘左r=0.56,いずれもp<0.001)。
【結論】今回の結果からFCMDの股・膝・足・肘関節のROMは加齢と共に制限が増し,特に股・膝関節では3歳以降著明となっていくこと,GMFMの点数と股・膝・肘関節のROMには相関があることが判明した。FCMDの筋線維は細く結合組織の増生が強く関節拘縮が生じやすい。更に,筋力の低下や不均衡により十分な可動域を伴う運動が減り,同一肢位の保持,不動などの要因もROM制限に大きく寄与する。FCMDでは股・膝関節伸展制限が寝返りや腹臥位での運動の阻害因子となり,GMFMの腹臥位項目が低値であった可能性も考えられる。FCMDにおける理学療法ではROMへの対応は重要な課題である。