[O-SN-02-4] 重症心身障がい児の座位保持装置使用に関する保護者への調査研究
使用状況の調査と使用満足感について
Keywords:重症心身障がい児, 座位保持装置, 調査
【はじめに,目的】
重症心身障がい児(以下,重症児)において,座位保持装置を使用することは変形の予防,生活空間・コミュニケーション能力の拡大などといった面に好影響を与えるため,日常生活活動や社会参加を支援するための姿勢保持具として極めて重要な役割を担っている。そして,座位保持装置を継続的に使用していくためには,理学療法士が子どもの使用状況を把握することはもとより,保護者の座位保持装置使用に対する満足感を把握する必要がある。そこで本研究では,在宅で生活されている重症児を中心に保護者が座位保持装置を使用する時の満足感と使用状況などを調査し,継続的に重症児が座位保持装置を使用していくための要因を明らかにしていくことを目的とした。
【方法】
対象は,当センターに通院しており,本人用に作製された座位保持装置を使用している15名(男児9名,女児6名,平均年齢7.53歳±2.85,Gross Motor Functional Classification Systemレベル5)の保護者を対象とした。調査内容は,座位保持装置使用に関しての頻度・時間・主な用途などの使用状況を調査し,次いで使用満足感について不満から満足の5件法にて座面のクッション形状,座位姿勢の安定性,乗り降りの介助,移動のしやすさ,フレーム構造の5項目から回答を求めた。
【結果】
座位保持装置の使用頻度は,「毎日使用」と「週4~5日」が多く,全体の85.7%を占めていた。1日の使用時間については,「5時間以上」が42.9%,次いで「1~2時間未満」が35.7%という回答が多かった。主な用途は,「病院や施設への通院」57.1%,「学校への通学」28.6%であった。
座位保持装置の使用満足感についてみると,「座面のクッション形状」に対して満足していると回答した保護者は92.8%(満足57.1%,やや満足35.7%)と高値であったが,「座位の安定性」については78.6%(満足35.7%,やや満足42.9%)とクッション形状の満足感と比べて座位の安定性に対する満足感の割合がやや低い傾向を示した。また,介助面についての使用満足感は,「乗り降りの介助」は92.8%(満足57.1%,やや満足35.7%),「移動のしやすさ」は85.7%(満足64.3%,やや満足21.4%)と満足であると回答している割合は高い傾向を示した。
【結論】
今回の質問紙を用いた調査結果より,座位保持装置について保護者は,日常的に関わりの強い部分である移動や介助面において満足感の割合は高いという傾向であったが,座位の安定性については保護者の立場から安定性の評価を行うことは難しいという側面をもっているにも関わらず,他の項目と比較して満足感はやや低い傾向を示した。よって,今後重症児や保護者が継続的に座位保持装置を使用していくためには,移動や介助面のみに焦点をあてるのではなく,安定した姿勢保持のためのシーティングシステム(アダプティブデバイス)を考慮していく必要があると示唆される。
重症心身障がい児(以下,重症児)において,座位保持装置を使用することは変形の予防,生活空間・コミュニケーション能力の拡大などといった面に好影響を与えるため,日常生活活動や社会参加を支援するための姿勢保持具として極めて重要な役割を担っている。そして,座位保持装置を継続的に使用していくためには,理学療法士が子どもの使用状況を把握することはもとより,保護者の座位保持装置使用に対する満足感を把握する必要がある。そこで本研究では,在宅で生活されている重症児を中心に保護者が座位保持装置を使用する時の満足感と使用状況などを調査し,継続的に重症児が座位保持装置を使用していくための要因を明らかにしていくことを目的とした。
【方法】
対象は,当センターに通院しており,本人用に作製された座位保持装置を使用している15名(男児9名,女児6名,平均年齢7.53歳±2.85,Gross Motor Functional Classification Systemレベル5)の保護者を対象とした。調査内容は,座位保持装置使用に関しての頻度・時間・主な用途などの使用状況を調査し,次いで使用満足感について不満から満足の5件法にて座面のクッション形状,座位姿勢の安定性,乗り降りの介助,移動のしやすさ,フレーム構造の5項目から回答を求めた。
【結果】
座位保持装置の使用頻度は,「毎日使用」と「週4~5日」が多く,全体の85.7%を占めていた。1日の使用時間については,「5時間以上」が42.9%,次いで「1~2時間未満」が35.7%という回答が多かった。主な用途は,「病院や施設への通院」57.1%,「学校への通学」28.6%であった。
座位保持装置の使用満足感についてみると,「座面のクッション形状」に対して満足していると回答した保護者は92.8%(満足57.1%,やや満足35.7%)と高値であったが,「座位の安定性」については78.6%(満足35.7%,やや満足42.9%)とクッション形状の満足感と比べて座位の安定性に対する満足感の割合がやや低い傾向を示した。また,介助面についての使用満足感は,「乗り降りの介助」は92.8%(満足57.1%,やや満足35.7%),「移動のしやすさ」は85.7%(満足64.3%,やや満足21.4%)と満足であると回答している割合は高い傾向を示した。
【結論】
今回の質問紙を用いた調査結果より,座位保持装置について保護者は,日常的に関わりの強い部分である移動や介助面において満足感の割合は高いという傾向であったが,座位の安定性については保護者の立場から安定性の評価を行うことは難しいという側面をもっているにも関わらず,他の項目と比較して満足感はやや低い傾向を示した。よって,今後重症児や保護者が継続的に座位保持装置を使用していくためには,移動や介助面のみに焦点をあてるのではなく,安定した姿勢保持のためのシーティングシステム(アダプティブデバイス)を考慮していく必要があると示唆される。