第51回日本理学療法学術大会

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一般演題口述

日本小児理学療法学会 一般演題口述
(小児)03

Fri. May 27, 2016 12:30 PM - 1:30 PM 第6会場 (札幌コンベンションセンター 2階 小ホール)

座長:横井裕一郎(北海道文教大学 人間科学部 理学療法学科)

[O-SN-03-2] 学童期小児気管支喘息患児の症状コントロールに関する調査

足立絵美1, 藤本由香里2, 沖侑大郎2, 山田莞爾1, 渡邊佑2, 岩田健太郎2, 山田洋二2, 山口卓巳2, 三谷有司2, 道上可奈2, 村上茂史2, 高橋一揮2, 高田哲2, 石川朗2 (1.神戸大学医学部保健学科理学療法学専攻, 2.神戸大学大学院保健学研究科)

Keywords:小児喘息, 症状のコントロール, 運動

【はじめに,目的】小児気管支喘息は発作性に起こる気道狭窄によって喘鳴や咳嗽,呼吸困難を繰り返す疾患であり,学童期での有症率は10%前後と推定されている。学童期の喘息は,症状の出現により学校生活で様々な制約を受け,患児のQOLに大きな影響を及ぼすため,症状のコントロールが重要である。本研究は,喘息患児の症状によって受けるこどもの制約と,症状のコントロールについての保護者の意識を調査することを目的とした。


【方法】小児気管支喘息と診断され定期受診しているこどもとその保護者を対象に,自己記入式アンケート調査を実施した。こどもの対象年齢は学童期の6~15歳とし,保護者は服薬管理を主に行っている者とした。アンケートは,小児喘息の一般的なコントロールテストであるJPAC(Japanese Pediatric Control Program)を参考に,患児用と保護者用の2種類を作成した。患児と保護者が定期受診した際にアンケート調査を依頼し,対象者は無記名でアンケート内容に回答し,自由意思で返信した。アンケートの回答内容から,JPACのスコアを算出し,JPACが15点を完全コントロール群(以下,完全群),12~14点を良好コントロール群(以下,良好群),11点以下を不良コントロール群(以下,不良群)として分類した。統計解析は単純集計およびFisherの正確検定を行い,有意水準は5%未満とした。結果は完全群(%)vs良好群(%)vs不良群(%)で記載した。


【結果】包含基準を満たした対象は24組であった。こどもの平均年齢は9.0±1.7歳(男児17人,女児7人),JPACによる分類は,完全群7人,良好群9人,不良群8人であった。こども用アンケートより,運動の前に喘息がでるかもしれないと思うかについては,「まったく思わない:100% vs 78% vs 38%」,「ほとんど思わない:0% vs 11% vs 25%」,「いつも思う:0% vs 11% vs 0%」,「ときどき思う:0% vs 0% vs 37%」であった(p=0.03)。保護者用アンケートより,この1ヶ月間でこどもの喘息がどの程度コントロールできたかについては,「完全にできた:71% vs 45% vs 0%」,「十分できた:29% vs 33% vs 13%」,「まあまあできた:0% vs 22% vs 75%」,「あまりできなかった:0% vs 0% vs 12%」であった(p<0.01)。こどもの喘息が心配かどうかについては,完全群が「まったく心配ではない:14% vs 11% vs 0%」,「あまり心配していない:57% vs 11% vs 13%」,「少し心配:29% vs 67% vs 75%」,「とても心配:0% vs 11% vs 12%」であった(p=0.25)。

【結論】不良群では,こどもが「運動前に喘息がでるかもしれない」と思う頻度が高い傾向にあり,保護者が「症状をコントロールできなかった」と感じる場合が多かった。統計学的有意差はなかったが,不良群の方がより保護者が喘息を心配している傾向にあった。本研究から,症状のコントロール不良が,こどもの運動制限につながる可能性が示唆された。今後,症状の安定化に関連する服薬アドヒアランスや運動誘発性喘息についても検討が必要である。