[O-SP-01-5] 膝関節のテーピングが片脚着地動作時の膝関節運動に与える影響
キーワード:膝関節テーピング, 膝前十字靭帯損傷予防, 片脚着地動作
【はじめに,目的】
膝前十字靭帯(ACL)損傷者には,再受傷を予防するためにテーピングを実施することがある。筆者らは,これまでに膝関節内側のみのサポートテープを用いて,片脚着地動作での最大膝関節外反角度を2.9°制限することを報告した(2015)。スポーツ現場では,内側と外側(両側)のサポートテープを施行しているが,内側のみの場合と両側の場合を比較した研究はない。本研究では,膝関節内側および両側にサポートテープを施行して,片脚着地動作を行った際の膝関節屈曲,外反角度がどの程度制限されているかを明らかにすることを目的とした。仮説は,両側サポートテープは内側テープおよびテープなしより膝関節外反角度を減少するとした。
【方法】
対象は,膝関節に整形外科的な既往がない女子学生7名とした。課題動作は,30 cm台上に片脚立位をとり,35 cm前方に跳躍して片脚で着地することとした。テーピングは,50 mm伸縮テープ(日東メディカル)を用いて,内側および両側にサポートテープをX字状と縦方向に計3本を施行した。テープの張力を一定にするために,徒手筋力計(酒井医療,μtas-F1)のアタッチメントにテープをかけ,30 Nになった際に貼付した。三次元動作解析装置,床反力計を用いて,テープを施行しない条件(テープなし),膝関節内側にサポートテープを施行した条件(内側テープ),膝関節両側にサポートテープを施行した条件(両側テープ)を無作為に各3回測定した。得られたマーカー座標から動作解析ソフトBody Builderを用いて接地時・最大膝関節屈曲,外反角度を算出した。統計学的分析として,各テープ条件の接地時・最大膝関節屈曲,外反角度の比較に一元配置分散分析を用いた。有意差が認められた場合,多重比較検定としてTukey法を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
接地時膝関節屈曲・最大膝関節屈曲角度には各条件間で有意差が認められなかった。接地時膝関節外反角度は,テープなしで-4.2±2.8°,内側テープで-6.0±1.4°,両側テープで-5.0±2.3°となり,3条件間に有意差は認められなかった。最大膝関節外反角度は,テープなしで5.8±4.0°,内側テープで2.6±3.3°,両側テープで2.7±3.6°となり,テープなしと比較して内側および両側テープでそれぞれ3.2°,3.1°有意に減少した(p<0.05)。接地時から最大膝関節外反角度までの変化量は,テープなしで10.0°,内側テープで8.6°,両側テープで7.7°となった。
【結論】
膝関節内側および両側のサポートテープは,接地時・最大膝関節屈曲角度に影響を及ぼさず,最大膝関節外反角度を制限していた。内側および両側テープではほぼ同等の最大膝関節外反角度となったため,膝関節外反制動は主に内側のサポートテープが担っている可能性が示唆された。また,両側テープは,接地時から最大膝関節外反角度の変化量が最も小さくなったことから,膝関節の前額面上の安定性を高めていると考えた。
膝前十字靭帯(ACL)損傷者には,再受傷を予防するためにテーピングを実施することがある。筆者らは,これまでに膝関節内側のみのサポートテープを用いて,片脚着地動作での最大膝関節外反角度を2.9°制限することを報告した(2015)。スポーツ現場では,内側と外側(両側)のサポートテープを施行しているが,内側のみの場合と両側の場合を比較した研究はない。本研究では,膝関節内側および両側にサポートテープを施行して,片脚着地動作を行った際の膝関節屈曲,外反角度がどの程度制限されているかを明らかにすることを目的とした。仮説は,両側サポートテープは内側テープおよびテープなしより膝関節外反角度を減少するとした。
【方法】
対象は,膝関節に整形外科的な既往がない女子学生7名とした。課題動作は,30 cm台上に片脚立位をとり,35 cm前方に跳躍して片脚で着地することとした。テーピングは,50 mm伸縮テープ(日東メディカル)を用いて,内側および両側にサポートテープをX字状と縦方向に計3本を施行した。テープの張力を一定にするために,徒手筋力計(酒井医療,μtas-F1)のアタッチメントにテープをかけ,30 Nになった際に貼付した。三次元動作解析装置,床反力計を用いて,テープを施行しない条件(テープなし),膝関節内側にサポートテープを施行した条件(内側テープ),膝関節両側にサポートテープを施行した条件(両側テープ)を無作為に各3回測定した。得られたマーカー座標から動作解析ソフトBody Builderを用いて接地時・最大膝関節屈曲,外反角度を算出した。統計学的分析として,各テープ条件の接地時・最大膝関節屈曲,外反角度の比較に一元配置分散分析を用いた。有意差が認められた場合,多重比較検定としてTukey法を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
接地時膝関節屈曲・最大膝関節屈曲角度には各条件間で有意差が認められなかった。接地時膝関節外反角度は,テープなしで-4.2±2.8°,内側テープで-6.0±1.4°,両側テープで-5.0±2.3°となり,3条件間に有意差は認められなかった。最大膝関節外反角度は,テープなしで5.8±4.0°,内側テープで2.6±3.3°,両側テープで2.7±3.6°となり,テープなしと比較して内側および両側テープでそれぞれ3.2°,3.1°有意に減少した(p<0.05)。接地時から最大膝関節外反角度までの変化量は,テープなしで10.0°,内側テープで8.6°,両側テープで7.7°となった。
【結論】
膝関節内側および両側のサポートテープは,接地時・最大膝関節屈曲角度に影響を及ぼさず,最大膝関節外反角度を制限していた。内側および両側テープではほぼ同等の最大膝関節外反角度となったため,膝関節外反制動は主に内側のサポートテープが担っている可能性が示唆された。また,両側テープは,接地時から最大膝関節外反角度の変化量が最も小さくなったことから,膝関節の前額面上の安定性を高めていると考えた。