[O-SP-02-2] 外国人留学生へスポーツ外傷予防を目的としたメディカルサポートを提供する試みに関する報告
キーワード:外国人留学生, メディカルサポート, 外傷予防
【はじめに,目的】
文部科学省によると,2014年度は約18万4千人を超える外国人留学生が日本の教育機関に在籍しており,短期教育数を合わせると約20万人で,増加傾向にある。日本政府が提言する「留学生30万人計画」を目前に,医療サービスを含めた日本で学びやすい環境作りを進めていく必要がある。今回,留学生へスポーツ外傷予防理学療法を提供することで,日本の理学療法についての情報発信と相互理解を図ると共に,留学生を対象としたサポートの需要について検討した。
【方法】
対象は,日本の教育機関に在籍している既往歴のない外国人留学生30名である。学内で行われるスポーツ大会に備え,日本の理学療法士の職域について事前説明した後,メディカルサポートとして①運動前後に行うストレッチ,②競技種目の専門動作における外傷を起こし易い肢位と回避方法の説明,③応急処置方法の説明と実技を実施した。
【結果】
理学療法士介入後に行われたスポーツ大会中に,身体の不調を訴えたものは1名であり,原因は転倒による擦過傷であった。理学療法士介入前の前年度は,捻挫1名,打撲3名,腰痛発生1名であり,介入することで外傷予防に対し一定の効果を得られた。また全ての留学生が紙面アンケートにて,日本の理学療法について「外傷予防の効果を実感した」と回答した。同時に「日本の医療サービスを身近に感じ,安心して学べる留学先として日本を選んで良かった」という感想が挙がった。
【結論】
近年,理学療法士の職域拡大を図る新たな活躍場所として地域や教育機関が挙げられているが,留学生数が増加傾向にある今日,留学生への理学療法提供に積極的姿勢を打ち出す事に重要性を感じた。今回,留学生へのメディカルサポートを行う上で障害となったものは,①言語の相互理解困難,②留学生の理学療法に対する誤認識,③文化や宗教的観念から実施可能なサポートが限定されることがある点であった。①に対し,ある程度の語学力が求められるが,近代製品の翻訳機能等を利用する事で解決できると考える。②に対し,各国で異なる理学療法領域について理解し,日本の理学療法について説明する事で解決可能であり,今後留学期間中に理学療法を受ける際の安心感にも繋がると考える。③に対し,留学生に様々な背景がある事を理解した上で,無理強いせず,場合によっては触診や視診も困難である為,一つの手法に囚われる事なく,あらゆる角度から評価,分析し,プログラムを掲げる事が望ましいと考える。留学生の多くは,母国で理学療法を受けた経験がなく,日本でも受診歴がない。金銭的余裕がない者が多く,医療費負担を減らす目的でも予防への意識変化は重要である。メディカルサポートを通じて,留学生が日本の理学療法に関心を示し,必要時には安心して理学療法を受けられるよう取り組む事は国際社会貢献意義があり,職域拡大にも繋がると考える。
文部科学省によると,2014年度は約18万4千人を超える外国人留学生が日本の教育機関に在籍しており,短期教育数を合わせると約20万人で,増加傾向にある。日本政府が提言する「留学生30万人計画」を目前に,医療サービスを含めた日本で学びやすい環境作りを進めていく必要がある。今回,留学生へスポーツ外傷予防理学療法を提供することで,日本の理学療法についての情報発信と相互理解を図ると共に,留学生を対象としたサポートの需要について検討した。
【方法】
対象は,日本の教育機関に在籍している既往歴のない外国人留学生30名である。学内で行われるスポーツ大会に備え,日本の理学療法士の職域について事前説明した後,メディカルサポートとして①運動前後に行うストレッチ,②競技種目の専門動作における外傷を起こし易い肢位と回避方法の説明,③応急処置方法の説明と実技を実施した。
【結果】
理学療法士介入後に行われたスポーツ大会中に,身体の不調を訴えたものは1名であり,原因は転倒による擦過傷であった。理学療法士介入前の前年度は,捻挫1名,打撲3名,腰痛発生1名であり,介入することで外傷予防に対し一定の効果を得られた。また全ての留学生が紙面アンケートにて,日本の理学療法について「外傷予防の効果を実感した」と回答した。同時に「日本の医療サービスを身近に感じ,安心して学べる留学先として日本を選んで良かった」という感想が挙がった。
【結論】
近年,理学療法士の職域拡大を図る新たな活躍場所として地域や教育機関が挙げられているが,留学生数が増加傾向にある今日,留学生への理学療法提供に積極的姿勢を打ち出す事に重要性を感じた。今回,留学生へのメディカルサポートを行う上で障害となったものは,①言語の相互理解困難,②留学生の理学療法に対する誤認識,③文化や宗教的観念から実施可能なサポートが限定されることがある点であった。①に対し,ある程度の語学力が求められるが,近代製品の翻訳機能等を利用する事で解決できると考える。②に対し,各国で異なる理学療法領域について理解し,日本の理学療法について説明する事で解決可能であり,今後留学期間中に理学療法を受ける際の安心感にも繋がると考える。③に対し,留学生に様々な背景がある事を理解した上で,無理強いせず,場合によっては触診や視診も困難である為,一つの手法に囚われる事なく,あらゆる角度から評価,分析し,プログラムを掲げる事が望ましいと考える。留学生の多くは,母国で理学療法を受けた経験がなく,日本でも受診歴がない。金銭的余裕がない者が多く,医療費負担を減らす目的でも予防への意識変化は重要である。メディカルサポートを通じて,留学生が日本の理学療法に関心を示し,必要時には安心して理学療法を受けられるよう取り組む事は国際社会貢献意義があり,職域拡大にも繋がると考える。