[O-SP-02-4] 高校ラグビー初心者の身体特性に関して
ポジション間の比較
キーワード:高校生, ラグビー, 障害予防
【はじめに,目的】
ラグビーフットボールはコンタクトを伴う激しいスポーツであり,高い身体能力を有することが求められる。我が国のラグビー選手の身体特性に関して,大学生やラグビー経験者に関する報告が散見される。しかし,高校からラグビーをはじめる選手も多くみられるなか,特にポジションごとのラグビー初心者の身体特性は報告されておらず,障害予防のために強化すべき点が明らかでない。そこで,障害予防の一助とするため,高校ラグビー初心者の身体特性について検証した。
【方法】
対象は健康な高校ラグビー部初心者(4月に入部した高校1年生22名)とし,ポジション別にフォワード群(FW:フォワード10名)とバックス群(BK:バックス12名)の2群に分けた。測定項目は身体計測,筋力測定,柔軟性,瞬発力,敏捷性,バランス能力,スピード,持久力を測定した。統計学的検討として対象の2群の各測定項目に対して対応のないt検定を行ない,有意水準はp<0.05とした。
【結果】
平均値として身体計測では体重(FW:76.1kg,BK:60.9kg),BMI値(FW:25.5,BK:20.7),体脂肪率(FW:19.3%,BK:11.6%),除脂肪体重(FW:60.6kg,BK:53.6kg),筋力測定ではベンチプレス1RM(FW:59.0kg,BK:49.3kg),スクワット1RM(FW:107.5kg,BK:93.3kg)においてFW群がBK群に対して有意に大きい値を示した(p<0.01,スクワット1RMのみp<0.05)。敏捷性では反復横跳び(FW:55.4回,BK:59.2回)においてBK群がFW群に対して有意に大きい値を示し(p<0.05),スピードでは300m走(FW:63.2秒,BK:56.8秒),持久力では1000m走(FW:4分00秒,BK:3分36秒)においてBK群がFW群に対して有意に小さい値を示した(p<0.01)。
【結論】
FW群はBK群に比べてBMI値が大きく肥満体形であるが,除脂肪体重も大きいため筋量が多く,ベンチプレス1RM・スクワット1RMの値も大きいため,上下肢筋力の絶対値が大きいことが示唆された。一方,頚部伸展・屈曲等尺性筋力,全身のパワー指標であるパワークリーン,各項目の筋力-体重比に差はみられなかった。BK群はFW群に比べて反復横跳びの値が大きく,300m走,1000m走の値が小さいため,敏捷性,スピード,持久力に優れていることが示唆された。
高校ラグビー経験者の特徴としてフォワードは下肢・全身パワーの筋力の絶対値が大きく,バックスは下肢・全身パワーの筋力-体重比が大きいと報告されており(光武ら,2002),理由としてフォワードはコンタクト局面に多く関わるため絶対的筋力が求められ,バックスは競走局面に多く関わるため移動能力として筋力-体重比が求められると考えられる。
今回の結果と比較するとフォワードは全身パワー,バックスは下肢筋力・全身パワーを強化することでより経験者に近い身体能力を得られることが示唆された。また,フォワードは密集の中で組み合う局面が多いことから障害予防のために頚部の筋力は重点的に強化すべきである。
ラグビーフットボールはコンタクトを伴う激しいスポーツであり,高い身体能力を有することが求められる。我が国のラグビー選手の身体特性に関して,大学生やラグビー経験者に関する報告が散見される。しかし,高校からラグビーをはじめる選手も多くみられるなか,特にポジションごとのラグビー初心者の身体特性は報告されておらず,障害予防のために強化すべき点が明らかでない。そこで,障害予防の一助とするため,高校ラグビー初心者の身体特性について検証した。
【方法】
対象は健康な高校ラグビー部初心者(4月に入部した高校1年生22名)とし,ポジション別にフォワード群(FW:フォワード10名)とバックス群(BK:バックス12名)の2群に分けた。測定項目は身体計測,筋力測定,柔軟性,瞬発力,敏捷性,バランス能力,スピード,持久力を測定した。統計学的検討として対象の2群の各測定項目に対して対応のないt検定を行ない,有意水準はp<0.05とした。
【結果】
平均値として身体計測では体重(FW:76.1kg,BK:60.9kg),BMI値(FW:25.5,BK:20.7),体脂肪率(FW:19.3%,BK:11.6%),除脂肪体重(FW:60.6kg,BK:53.6kg),筋力測定ではベンチプレス1RM(FW:59.0kg,BK:49.3kg),スクワット1RM(FW:107.5kg,BK:93.3kg)においてFW群がBK群に対して有意に大きい値を示した(p<0.01,スクワット1RMのみp<0.05)。敏捷性では反復横跳び(FW:55.4回,BK:59.2回)においてBK群がFW群に対して有意に大きい値を示し(p<0.05),スピードでは300m走(FW:63.2秒,BK:56.8秒),持久力では1000m走(FW:4分00秒,BK:3分36秒)においてBK群がFW群に対して有意に小さい値を示した(p<0.01)。
【結論】
FW群はBK群に比べてBMI値が大きく肥満体形であるが,除脂肪体重も大きいため筋量が多く,ベンチプレス1RM・スクワット1RMの値も大きいため,上下肢筋力の絶対値が大きいことが示唆された。一方,頚部伸展・屈曲等尺性筋力,全身のパワー指標であるパワークリーン,各項目の筋力-体重比に差はみられなかった。BK群はFW群に比べて反復横跳びの値が大きく,300m走,1000m走の値が小さいため,敏捷性,スピード,持久力に優れていることが示唆された。
高校ラグビー経験者の特徴としてフォワードは下肢・全身パワーの筋力の絶対値が大きく,バックスは下肢・全身パワーの筋力-体重比が大きいと報告されており(光武ら,2002),理由としてフォワードはコンタクト局面に多く関わるため絶対的筋力が求められ,バックスは競走局面に多く関わるため移動能力として筋力-体重比が求められると考えられる。
今回の結果と比較するとフォワードは全身パワー,バックスは下肢筋力・全身パワーを強化することでより経験者に近い身体能力を得られることが示唆された。また,フォワードは密集の中で組み合う局面が多いことから障害予防のために頚部の筋力は重点的に強化すべきである。