[O-SP-05-3] サッカーのキック動作時に軸足側第5中足骨頭へかかる荷重負荷
キックの種類による足底圧の比較
Keywords:サッカー, キック動作, 足底圧
【はじめに,目的】
サッカー選手に多いスポーツ障害の一つに第5中足骨疲労骨折がある。キック動作はサッカー競技で最も使用頻度が高い技術の一つであるため,キック動作時に第5中足骨へかかる荷重負荷を明らかにすることは,第5中足骨疲労骨折後の理学療法の一助となる。本研究では,キック動作時の軸足側第5中足骨頭へかかる荷重負荷として足底圧を測定し,キックの種類で比較した。
【方法】
対象は,健常男子アマチュアサッカー選手13名(年齢18.9±1.2歳,競技歴10.3±2.8年,身長171.8±6.0cm,体重60.5±6.2kg)とした。対象には軸足側を裸足,蹴り足側は室内用シューズを着用させ,課題動作を行った。課題動作は,床に静止させた5号球のサッカーボールを4m先の的へ向け全力でキックする動作とした。その際,助走は任意の距離・角度から一歩助走とし,軸足は足尖を的の方向へ向け,圧力分布測定装置(プレダスMD-1000,アニマ株式会社製)のセンサーマット上に踏み込むこととした。キック動作は,インサイド・インステップ・インフロントの3種類を利き足(キック動作に関し対象が主観的に得意とする側の下肢)で各5試行ずつ行った。3種類のキックの順番は無作為に決定した。
足底圧はサンプリング周波数100Hzで測定し,軸足の踵接地から軸足の足尖離地までの最大値足底圧を用いて足底圧分布図を得た。Scottらの方法を参考に,足底圧分布図の内外側縁のなす角度を外側19%に分割する直線と足幅の交点を含む四角形領域を第5中足骨頭の位置とし,画像処理ソフト(ImageJ Ver.1.0,NIH製)を用いて決定した。四角形の面積は足底圧分布図の面積の1%とし,この四角形領域の圧力を第5中足骨頭へかかった足底圧として解析した。なお足底圧は,対象の体重で除して正規化し,5試行のうち動作時間が最大・最小であった2試行を除いた3試行の平均値を算出した。
統計学的解析には反復測定の一元配置分散分析およびBonferroni法による多重比較検定を用い,足底圧をキックの種類で比較した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
第5中足骨頭へかかった足底圧(平均値±標準偏差)は,インサイド4.6±1.3kPa/kg,インステップ6.6±1.5kPa/kg,インフロント6.3±1.9kPa/kgであり,3種類のキック動作間で有意差が認められた(p<0.001)。そのうち,インサイドとインステップ間(p<0.01),インサイドとインフロント間(p<0.01)で有意差が認められ,インステップとインフロントがインサイドと比較して第5中足骨頭へかかる足底圧が大きかった。
【結論】
インステップとインフロントでは,軸足側の第5中足骨頭へかかる荷重負荷が大きいと考えられた。第5中足骨頭へ垂直方向にかかる力は第5中足骨を底側凸へ歪ませると考えられることから,第5中足骨疲労骨折後の理学療法でキックの練習を行う際は,患部への荷重管理・疼痛や再骨折等のリスク管理としてキックの種類を考慮する必要があると言える。
サッカー選手に多いスポーツ障害の一つに第5中足骨疲労骨折がある。キック動作はサッカー競技で最も使用頻度が高い技術の一つであるため,キック動作時に第5中足骨へかかる荷重負荷を明らかにすることは,第5中足骨疲労骨折後の理学療法の一助となる。本研究では,キック動作時の軸足側第5中足骨頭へかかる荷重負荷として足底圧を測定し,キックの種類で比較した。
【方法】
対象は,健常男子アマチュアサッカー選手13名(年齢18.9±1.2歳,競技歴10.3±2.8年,身長171.8±6.0cm,体重60.5±6.2kg)とした。対象には軸足側を裸足,蹴り足側は室内用シューズを着用させ,課題動作を行った。課題動作は,床に静止させた5号球のサッカーボールを4m先の的へ向け全力でキックする動作とした。その際,助走は任意の距離・角度から一歩助走とし,軸足は足尖を的の方向へ向け,圧力分布測定装置(プレダスMD-1000,アニマ株式会社製)のセンサーマット上に踏み込むこととした。キック動作は,インサイド・インステップ・インフロントの3種類を利き足(キック動作に関し対象が主観的に得意とする側の下肢)で各5試行ずつ行った。3種類のキックの順番は無作為に決定した。
足底圧はサンプリング周波数100Hzで測定し,軸足の踵接地から軸足の足尖離地までの最大値足底圧を用いて足底圧分布図を得た。Scottらの方法を参考に,足底圧分布図の内外側縁のなす角度を外側19%に分割する直線と足幅の交点を含む四角形領域を第5中足骨頭の位置とし,画像処理ソフト(ImageJ Ver.1.0,NIH製)を用いて決定した。四角形の面積は足底圧分布図の面積の1%とし,この四角形領域の圧力を第5中足骨頭へかかった足底圧として解析した。なお足底圧は,対象の体重で除して正規化し,5試行のうち動作時間が最大・最小であった2試行を除いた3試行の平均値を算出した。
統計学的解析には反復測定の一元配置分散分析およびBonferroni法による多重比較検定を用い,足底圧をキックの種類で比較した。有意水準は5%未満とした。
【結果】
第5中足骨頭へかかった足底圧(平均値±標準偏差)は,インサイド4.6±1.3kPa/kg,インステップ6.6±1.5kPa/kg,インフロント6.3±1.9kPa/kgであり,3種類のキック動作間で有意差が認められた(p<0.001)。そのうち,インサイドとインステップ間(p<0.01),インサイドとインフロント間(p<0.01)で有意差が認められ,インステップとインフロントがインサイドと比較して第5中足骨頭へかかる足底圧が大きかった。
【結論】
インステップとインフロントでは,軸足側の第5中足骨頭へかかる荷重負荷が大きいと考えられた。第5中足骨頭へ垂直方向にかかる力は第5中足骨を底側凸へ歪ませると考えられることから,第5中足骨疲労骨折後の理学療法でキックの練習を行う際は,患部への荷重管理・疼痛や再骨折等のリスク管理としてキックの種類を考慮する必要があると言える。