[O-SP-06-4] 大学バレーボール選手における背筋群の筋厚左右差の検討
Keywords:バレーボール選手, 左右差, 体幹筋
【はじめに,目的】
投げる,打つといった投打動作の研究では,一方向への体幹回旋動作が重要であると報告されている。しかしこの一方向の体幹回旋動作は筋の発達に左右差をもたらすとも報告されている。スポーツ分野において,体幹筋群の左右差はパフォーマンスの低下や腰痛発症に繋がると言われている。左右差が報告されている競技は,テニスや野球,投てき,バレーボールなどの競技である。バレーボールは椎間板変性率が他の競技と比べて高値であり,腰痛発症リスクの高い競技と言われている。しかし,バレーボール選手の体幹筋群の左右差については,多関節筋群に着目した報告が多く,単関節筋群に着目した報告は少ない。そこで本研究の目的は,大学バレーボール選手における背筋群の安静時および動作時の筋厚左右差を検討することとした。
【方法】
対象者は,女子バレーボール選手15名(年齢19.3±1.1歳,BMI22.3±1.2)とし,過去3ヶ月以内の腰痛の有無によって腰痛あり群6名と,腰痛なし群9名に分類した。使用機器は,超音波画像診断装置(ViamoSSA-640A)の7.5MHzリニアプローブを使用した。被験筋は両側の多裂筋と最長筋とした。測定課題は腹臥位での安静と体幹伸展動作とした。各条件で3回ずつ撮像し,平均値を算出した。安静時および動作時の筋厚と筋厚増加率を統計学的に検討した。なお,有意水準は5%とした。
【結果】
腰痛あり群と腰痛なし群において,最長筋の筋厚が非利き手側に比べ利き手側で有意に低値を示した(p<0.05)。また,腰痛あり群において,最長筋の筋厚増加率が非利き手側に比べ利き手側で有意に低値を示した(p<0.05)。しかし多裂筋においては各群の利き手-非利き手側間で筋厚と筋厚増加率に有意な差は認められなかった。
【結論】
本研究の結果より,バレーボール選手の最長筋の利き手側の筋厚が非利き手側と比較して安静時,動作時どちらにおいても有意に減少していた。また,腰痛あり群の最長筋の筋厚増加率においても同様に利き手側が有意に減少していた。この理由として,スパイク動作において,利き手側の最長筋は体幹の伸展や回旋動作に作用するが,動作の繰り返しによって過負荷となり,overuseを呈し筋厚が減少したと考えられる。それに対して,非利き手側の最長筋は体幹の固定として作用するため,利き手側と比較して負荷が少なく,筋厚に変化が認められなかったと考えられる。
多裂筋の筋厚,筋厚増加率に左右差は認められなかった。この理由として,利き手側の多裂筋はスパイク動作における体幹の伸展や回旋動作には作用せず,両側とも体幹の固定として作用したことが筋厚,筋厚増加率に変化が生じなかった要因と考えられる。以上のことから,バレーボール選手の最長筋において左右差が生じることは,腰痛発症の一因となっている可能性が示唆された。
投げる,打つといった投打動作の研究では,一方向への体幹回旋動作が重要であると報告されている。しかしこの一方向の体幹回旋動作は筋の発達に左右差をもたらすとも報告されている。スポーツ分野において,体幹筋群の左右差はパフォーマンスの低下や腰痛発症に繋がると言われている。左右差が報告されている競技は,テニスや野球,投てき,バレーボールなどの競技である。バレーボールは椎間板変性率が他の競技と比べて高値であり,腰痛発症リスクの高い競技と言われている。しかし,バレーボール選手の体幹筋群の左右差については,多関節筋群に着目した報告が多く,単関節筋群に着目した報告は少ない。そこで本研究の目的は,大学バレーボール選手における背筋群の安静時および動作時の筋厚左右差を検討することとした。
【方法】
対象者は,女子バレーボール選手15名(年齢19.3±1.1歳,BMI22.3±1.2)とし,過去3ヶ月以内の腰痛の有無によって腰痛あり群6名と,腰痛なし群9名に分類した。使用機器は,超音波画像診断装置(ViamoSSA-640A)の7.5MHzリニアプローブを使用した。被験筋は両側の多裂筋と最長筋とした。測定課題は腹臥位での安静と体幹伸展動作とした。各条件で3回ずつ撮像し,平均値を算出した。安静時および動作時の筋厚と筋厚増加率を統計学的に検討した。なお,有意水準は5%とした。
【結果】
腰痛あり群と腰痛なし群において,最長筋の筋厚が非利き手側に比べ利き手側で有意に低値を示した(p<0.05)。また,腰痛あり群において,最長筋の筋厚増加率が非利き手側に比べ利き手側で有意に低値を示した(p<0.05)。しかし多裂筋においては各群の利き手-非利き手側間で筋厚と筋厚増加率に有意な差は認められなかった。
【結論】
本研究の結果より,バレーボール選手の最長筋の利き手側の筋厚が非利き手側と比較して安静時,動作時どちらにおいても有意に減少していた。また,腰痛あり群の最長筋の筋厚増加率においても同様に利き手側が有意に減少していた。この理由として,スパイク動作において,利き手側の最長筋は体幹の伸展や回旋動作に作用するが,動作の繰り返しによって過負荷となり,overuseを呈し筋厚が減少したと考えられる。それに対して,非利き手側の最長筋は体幹の固定として作用するため,利き手側と比較して負荷が少なく,筋厚に変化が認められなかったと考えられる。
多裂筋の筋厚,筋厚増加率に左右差は認められなかった。この理由として,利き手側の多裂筋はスパイク動作における体幹の伸展や回旋動作には作用せず,両側とも体幹の固定として作用したことが筋厚,筋厚増加率に変化が生じなかった要因と考えられる。以上のことから,バレーボール選手の最長筋において左右差が生じることは,腰痛発症の一因となっている可能性が示唆された。