[O-SP-06-5] 成長期腰椎分離症者におけるスクワット動作について
体幹伸展角度に着目して
キーワード:腰椎分離症, 成長期, 体幹伸展
【はじめに,目的】
腰椎分離症は体幹伸展と回旋の反復動作による疲労骨折とされており,成長期スポーツ障害の代表的疾患である。腰椎分離症に関して筋タイトネスなどの身体的要因の報告はあるが,動作に関する報告は少ない。そこで本研究では,スポーツ中の動作として多く見られるスクワット動作に着目し,成長期腰椎分離症者の特徴について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は腰椎分離症群(以下;分離群)を13-15歳の腰椎分離症を有している男子18名(分離高位は第4腰椎6名,第5腰椎12名,分離側は右側4名,左側9名,両側5名)とした。コントロール群を13-15歳の腰椎分離症を有していない男子15名とした。
対象者に対し,静止立位,スクワット動作を行った。スクワット動作は静止立位の状態から両側膝関節90度屈曲位までしゃがみ,その後静止立位の状態に戻るまでを1回とし,5回試行した。ハイスピードカメラ(120fps)にて静止立位,スクワット動作を撮影し,画像解析ソフトImageJより,体幹伸展角度,股関節屈曲角度,膝関節屈曲角度,足関節背屈角度を測定した。またスクワット動作と静止立位の体幹伸展角度の差を変化量と定義し,算出した。
統計処理にはSPSS ver.21.0を使用し,群間比較にMann-WhitneyのU検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
分離群の静止立位の体幹伸展角度は21.95±7.12度,スクワット動作の体幹伸展角度は5.43±2.03度,スクワット動作と静止立位の体幹伸展角度の変化量は-15.51±4.37度であった。コントロール群の静止立位の体幹伸展角度は25.93±6.15度,スクワット動作の体幹伸展角度は-10.08±4.51度,スクワット動作と静止立位の体幹伸展角度の変化量は-33.62±6.29度であった。群間比較では,スクワット動作の体幹伸展角度と体幹伸展角度の変化量に有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】
分離群とコントロール群の群間比較において,スクワット動作の体幹伸展角度と体幹伸展角度の変化量に有意差を認め,分離群がコントロール群に比べ,スクワット動作において体幹伸展角度が大きい結果となった。これより,腰椎分離症者はスクワット動作の際に体幹伸展位を維持して動作を行う特徴があることが示唆された。また,我々は第49回日本理学療法学術大会において腰椎分離症者はフォワードランジ動作の際に,体幹伸展が増大することを報告した。本研究の結果と我々の報告により,腰椎分離症者は動的姿勢戦略として体幹伸展を用いやすい特徴があることが示唆された。
腰椎分離症に対する理学療法では体幹筋トレーニングや下肢筋へのストレッチングが一般的である。しかし,スクワット動作やフォワードランジ動作がスポーツ中に頻繁に見られる動作である点を考慮すると,腰椎分離症の理学療法において身体機能への介入だけでなく,体幹伸展を用いやすい動的姿勢戦略を修正する介入を行う重要性が考えられた。
腰椎分離症は体幹伸展と回旋の反復動作による疲労骨折とされており,成長期スポーツ障害の代表的疾患である。腰椎分離症に関して筋タイトネスなどの身体的要因の報告はあるが,動作に関する報告は少ない。そこで本研究では,スポーツ中の動作として多く見られるスクワット動作に着目し,成長期腰椎分離症者の特徴について明らかにすることを目的とした。
【方法】
対象は腰椎分離症群(以下;分離群)を13-15歳の腰椎分離症を有している男子18名(分離高位は第4腰椎6名,第5腰椎12名,分離側は右側4名,左側9名,両側5名)とした。コントロール群を13-15歳の腰椎分離症を有していない男子15名とした。
対象者に対し,静止立位,スクワット動作を行った。スクワット動作は静止立位の状態から両側膝関節90度屈曲位までしゃがみ,その後静止立位の状態に戻るまでを1回とし,5回試行した。ハイスピードカメラ(120fps)にて静止立位,スクワット動作を撮影し,画像解析ソフトImageJより,体幹伸展角度,股関節屈曲角度,膝関節屈曲角度,足関節背屈角度を測定した。またスクワット動作と静止立位の体幹伸展角度の差を変化量と定義し,算出した。
統計処理にはSPSS ver.21.0を使用し,群間比較にMann-WhitneyのU検定を用いた。有意水準は5%とした。
【結果】
分離群の静止立位の体幹伸展角度は21.95±7.12度,スクワット動作の体幹伸展角度は5.43±2.03度,スクワット動作と静止立位の体幹伸展角度の変化量は-15.51±4.37度であった。コントロール群の静止立位の体幹伸展角度は25.93±6.15度,スクワット動作の体幹伸展角度は-10.08±4.51度,スクワット動作と静止立位の体幹伸展角度の変化量は-33.62±6.29度であった。群間比較では,スクワット動作の体幹伸展角度と体幹伸展角度の変化量に有意差を認めた(p<0.05)。
【結論】
分離群とコントロール群の群間比較において,スクワット動作の体幹伸展角度と体幹伸展角度の変化量に有意差を認め,分離群がコントロール群に比べ,スクワット動作において体幹伸展角度が大きい結果となった。これより,腰椎分離症者はスクワット動作の際に体幹伸展位を維持して動作を行う特徴があることが示唆された。また,我々は第49回日本理学療法学術大会において腰椎分離症者はフォワードランジ動作の際に,体幹伸展が増大することを報告した。本研究の結果と我々の報告により,腰椎分離症者は動的姿勢戦略として体幹伸展を用いやすい特徴があることが示唆された。
腰椎分離症に対する理学療法では体幹筋トレーニングや下肢筋へのストレッチングが一般的である。しかし,スクワット動作やフォワードランジ動作がスポーツ中に頻繁に見られる動作である点を考慮すると,腰椎分離症の理学療法において身体機能への介入だけでなく,体幹伸展を用いやすい動的姿勢戦略を修正する介入を行う重要性が考えられた。