[O-SP-07-2] 小学生軟式野球選手におけるSide Bridge testと投球障害肘との関係
Keywords:体幹機能, 投球障害肘, メディカルチェック
【はじめに,目的】
我々は,K軟式野球連盟に加入している小学生に対して2011年度より野球検診を実施している。本検診は2015年度より連盟に加入している選手に対して義務化された。検診の主たる目的は投球障害を早期発見することである。投球障害の原因は,野球の競技歴,投球数,年齢,投球動作など様々な報告があり,投球動作においては,上肢機能だけでなく下肢,体幹機能の重要性が報告されている。上下肢機能の検査方法として数多くの報告がみられるが,体幹筋機能の検査方法はまだ確立されていない。スポーツ選手を対象とした体幹筋機能の検査方法として,我々はSide Bridge testを用いており,高校生スポーツ選手においてSide Bridge testと傷害やパフォーマンスとの関連を調査し,その有用性を報告してきた。今回,小学生軟式野球選手にSide Bridge testを実施し投球障害との関連を調査した。
【方法】
K軟式野球連盟に加入し,野球検診に参加した小学生軟式野球選手894人のうち,全ての検診項目を実施した10歳から12歳の586人を対象とした。野球検診において,医師により超音波検査と触診,問診を実施し,理学療法士にてSide Bridge testを実施した。Side Bridge testは高校生スポーツ選手に対して実施するときは,骨盤上に体重の10%の重錘を負荷し,上側の下肢は外転位にて行っていたが,今回は小学生を対象としているため,重錘負荷は行わず,上側下肢も外転せずに実施した。片側60秒保持とし両側で満点120秒とした。医師の検査により上腕骨小頭の離断生骨軟骨炎が疑われた選手と内側型野球肘が疑われた選手を肘障害群(91人:10歳42人,11歳41人,12歳8人),肘に障害のない群を障害なし群(465人:10歳245人,11歳179人,12歳41人)とし,野球検診において肘以外の原因で精査が必要となった選手は除外した。両群間の,身長,体重,年齢,競技歴に有意な差は認めなかった。両群において,Side Bridge testの保持時間を投球側,非投球側,両側の合計,さらに投球側から非投球側の差をもとめて比較した。統計処理には対応のないt検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
Side Bridge testの保持時間は投球側の肘障害群が38.1±21.1秒,障害なし群が42.5±20.1秒(n.s.)であった。非投球側の肘障害群が41.4±21.4秒,障害なし群が41.0±20.7秒(n.s.)。合計の肘障害群が79.6±36.5秒,障害なし群が83.5±36.0秒(n.s.)。点数の差は肘障害群が-3.3±21.9秒,障害なし群が1.6±19.0秒で肘障害群の差が有意に大きい結果であった(p<0.05)。
【結論】
今回の結果から,肘に障害をもつ小学生軟式野球選手はSide Bridge testの左右差が認められた。その中でも,非投球側に比べて投球側の体幹筋機能が低下していることが関係していると示唆された。
我々は,K軟式野球連盟に加入している小学生に対して2011年度より野球検診を実施している。本検診は2015年度より連盟に加入している選手に対して義務化された。検診の主たる目的は投球障害を早期発見することである。投球障害の原因は,野球の競技歴,投球数,年齢,投球動作など様々な報告があり,投球動作においては,上肢機能だけでなく下肢,体幹機能の重要性が報告されている。上下肢機能の検査方法として数多くの報告がみられるが,体幹筋機能の検査方法はまだ確立されていない。スポーツ選手を対象とした体幹筋機能の検査方法として,我々はSide Bridge testを用いており,高校生スポーツ選手においてSide Bridge testと傷害やパフォーマンスとの関連を調査し,その有用性を報告してきた。今回,小学生軟式野球選手にSide Bridge testを実施し投球障害との関連を調査した。
【方法】
K軟式野球連盟に加入し,野球検診に参加した小学生軟式野球選手894人のうち,全ての検診項目を実施した10歳から12歳の586人を対象とした。野球検診において,医師により超音波検査と触診,問診を実施し,理学療法士にてSide Bridge testを実施した。Side Bridge testは高校生スポーツ選手に対して実施するときは,骨盤上に体重の10%の重錘を負荷し,上側の下肢は外転位にて行っていたが,今回は小学生を対象としているため,重錘負荷は行わず,上側下肢も外転せずに実施した。片側60秒保持とし両側で満点120秒とした。医師の検査により上腕骨小頭の離断生骨軟骨炎が疑われた選手と内側型野球肘が疑われた選手を肘障害群(91人:10歳42人,11歳41人,12歳8人),肘に障害のない群を障害なし群(465人:10歳245人,11歳179人,12歳41人)とし,野球検診において肘以外の原因で精査が必要となった選手は除外した。両群間の,身長,体重,年齢,競技歴に有意な差は認めなかった。両群において,Side Bridge testの保持時間を投球側,非投球側,両側の合計,さらに投球側から非投球側の差をもとめて比較した。統計処理には対応のないt検定を用い,有意水準は5%とした。
【結果】
Side Bridge testの保持時間は投球側の肘障害群が38.1±21.1秒,障害なし群が42.5±20.1秒(n.s.)であった。非投球側の肘障害群が41.4±21.4秒,障害なし群が41.0±20.7秒(n.s.)。合計の肘障害群が79.6±36.5秒,障害なし群が83.5±36.0秒(n.s.)。点数の差は肘障害群が-3.3±21.9秒,障害なし群が1.6±19.0秒で肘障害群の差が有意に大きい結果であった(p<0.05)。
【結論】
今回の結果から,肘に障害をもつ小学生軟式野球選手はSide Bridge testの左右差が認められた。その中でも,非投球側に比べて投球側の体幹筋機能が低下していることが関係していると示唆された。