[O-TK-01-2] 地域在住後期高齢者における筋肉量の低下に対するself-efficacyおよび活動能力の影響について
Keywords:筋肉量, Self-Efficacy, 活動能力
【はじめに,目的】
筋肉量の低下は筋力低下を引き起こし,結果として日常生活動作や生活の質に影響を与えることは広く知られている。近年では高齢者における「活動」や「社会参加」が身体機能の維持にも重要であり,self-efficacyも関連することが明らかとされている。しかしながら高齢者における筋肉量低下と活動や社会参加,self-efficacyとの関連については詳細に明らかにされていない。そこで本研究は高齢者におけるself-efficacy,運動習慣や外出頻度などの活動能力に注目し,筋肉量の縦断的変化に対する影響を明らかにすることを目的とする。
【方法】
後期高齢者女性36名(平均年齢82.1±4.1歳)を対象とし,平成25年2月と平成27年9月の計二回の調査を実施した。筋肉量は生体インピーダンス法にて,50kMzの抵抗値を測定し,吉田らの方法に準拠し性別,身長,体重で補正した骨格筋量指表(Skeletal-Muscle-Mass-Index:以下SMI)を算出した。SMIは二回の調査間の変化量を算出し,低下群と維持・向上群の二群に分類した。self-efficacyは運動および活動のself-efficacy scale(以下,運動SEF,活動SEF)について質問紙留め置き法を用いて聴取し,活動能力については1週間の平均的な外出頻度と運動行動変容ステージを聴取した。なお調査期間中の運動習慣の変化を検討するため,運動行動変容ステージについては二回の調査期間内を比較し変化量を求めた。
統計解析についてはSMIの低下群と維持・向上群の二群を従属変数,一回目調査時の運動SEF,活動SEFのそれぞれの合計点,外出頻度,および運動行動変容ステージの変化量を独立変数としたロジスティック回帰をステップワイズ法を用いた実施した。なお有意水準は5%とした。
【結果】
SMI変化量の平均値は-.035±1.64kgであった。またSMIの群分けについては低下群に分類された者が10名,維持・向上群に分類された者が26名であった。ステップワイズ法を用いたロジスティック回帰分析の結果,運動行動変容ステージの変化量(オッズ比=0.367,95%信頼区間;0.148-0.914,p<0.031),外出頻度(オッズ比0.398=95%信頼区間;0.171-.0927,p=0.033)および活動SEF(オッズ比=2.430,95%信頼区間;1.141-5.176,p=0.033)が有意な項目として抽出された。
【結論】
本研究の結果より,外出頻度と活動を行う自信については,縦断的な筋肉量の低下との関係性が明らかとなり,外出頻度が多いことや自己効力感が高いこと筋肉量の維持に繋がる可能性が示唆された。また運動行動変容ステージについては,調査期間内に運動習慣に関する行動変容ステージが低下した者ほど期間内に筋肉量が低下した結果となり,筋肉量は習慣が変わることにより変化することが明らかとなり,高齢者における筋のトレーナビリティーの特徴の一部が示された。本研究で得られた知見は,高齢期の理学療法における在宅および地域での運動習慣や活動を促す上での一助となり得る。
筋肉量の低下は筋力低下を引き起こし,結果として日常生活動作や生活の質に影響を与えることは広く知られている。近年では高齢者における「活動」や「社会参加」が身体機能の維持にも重要であり,self-efficacyも関連することが明らかとされている。しかしながら高齢者における筋肉量低下と活動や社会参加,self-efficacyとの関連については詳細に明らかにされていない。そこで本研究は高齢者におけるself-efficacy,運動習慣や外出頻度などの活動能力に注目し,筋肉量の縦断的変化に対する影響を明らかにすることを目的とする。
【方法】
後期高齢者女性36名(平均年齢82.1±4.1歳)を対象とし,平成25年2月と平成27年9月の計二回の調査を実施した。筋肉量は生体インピーダンス法にて,50kMzの抵抗値を測定し,吉田らの方法に準拠し性別,身長,体重で補正した骨格筋量指表(Skeletal-Muscle-Mass-Index:以下SMI)を算出した。SMIは二回の調査間の変化量を算出し,低下群と維持・向上群の二群に分類した。self-efficacyは運動および活動のself-efficacy scale(以下,運動SEF,活動SEF)について質問紙留め置き法を用いて聴取し,活動能力については1週間の平均的な外出頻度と運動行動変容ステージを聴取した。なお調査期間中の運動習慣の変化を検討するため,運動行動変容ステージについては二回の調査期間内を比較し変化量を求めた。
統計解析についてはSMIの低下群と維持・向上群の二群を従属変数,一回目調査時の運動SEF,活動SEFのそれぞれの合計点,外出頻度,および運動行動変容ステージの変化量を独立変数としたロジスティック回帰をステップワイズ法を用いた実施した。なお有意水準は5%とした。
【結果】
SMI変化量の平均値は-.035±1.64kgであった。またSMIの群分けについては低下群に分類された者が10名,維持・向上群に分類された者が26名であった。ステップワイズ法を用いたロジスティック回帰分析の結果,運動行動変容ステージの変化量(オッズ比=0.367,95%信頼区間;0.148-0.914,p<0.031),外出頻度(オッズ比0.398=95%信頼区間;0.171-.0927,p=0.033)および活動SEF(オッズ比=2.430,95%信頼区間;1.141-5.176,p=0.033)が有意な項目として抽出された。
【結論】
本研究の結果より,外出頻度と活動を行う自信については,縦断的な筋肉量の低下との関係性が明らかとなり,外出頻度が多いことや自己効力感が高いこと筋肉量の維持に繋がる可能性が示唆された。また運動行動変容ステージについては,調査期間内に運動習慣に関する行動変容ステージが低下した者ほど期間内に筋肉量が低下した結果となり,筋肉量は習慣が変わることにより変化することが明らかとなり,高齢者における筋のトレーナビリティーの特徴の一部が示された。本研究で得られた知見は,高齢期の理学療法における在宅および地域での運動習慣や活動を促す上での一助となり得る。