[O-TK-02-4] 当院回復期リハビリテーション病棟患者の栄養状態がADLや在院日数,転帰先に及ぼす影響
キーワード:回復期, ADL, 栄養状態
【はじめに,目的】
回復期病棟の患者は一般病棟に比べ,低栄養の割合が高い反面リハビリ強度は増す時期であるため,栄養状態を考慮したリハビリの重要性が指摘されている。本研究では,当院回復期病棟患者の入院時における栄養状態を把握し,日常生活活動(以下ADL)との関連を調査し,栄養状態と在院日数,転帰先との関連性を検討することを目的とした。
【方法】
当院回復期病棟において2013年10月から2014年9月に入院し,データ欠損患者を除く199名(整形疾患139名,中枢疾患45名,廃用症候群15名)の種々のデータを,診療記録を基に後方視的に収集し解析した。ADL評価指標は機能的自立度評価表(以下FIM)を用い,栄養関連指標はGNRI『Geriatric Nutritional Risk Index=14.89×血清アルブミン値+41.7×(体重/理想体重)』を用いた。低栄養の定義は,先行研究において死亡率が高くなるとされるGNRI<92とした。転帰先として,自宅退院率,急性増悪率を検討し,急性増悪とは回復期病棟入院中に加療目的にて転棟・転院した患者とした。解析内容は①回復期病棟入院時のADLと栄養状態との関連を調べ,さらに②通常栄養群(GNRI≧92)と低栄養群(GNRI<92)との在院日数と転帰先の比較を行った。なお,統計にはPearsonのの相関係数,対応のないT検定,x2検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
平均年齢は80.5±10.0歳で,通常栄養群は79名(39.7%),低栄養群は120名(60.3%)であった。低栄養群の疾患別では,整形疾患82名(59%),中枢疾患26名(58%),廃用症候群12名(80%)であった。血清アルブミン値<3.5g/dlは118名(59.3%),BMI<18.5kg/m2は40名(20.1%)に該当した。①入院時FIMとGNRIは相関を示した(r=0.522,p<0.01)。②平均在院日数は通常栄養群61.9日,低栄養群71.9日であり有意差を認めた(P<0.05)。自宅退院率は通常栄養群55名(69.6%),低栄養群68名(56.7%)であり有意差を認めなかった。急性増悪率は通常栄養群5名(6.3%),低栄養群23名(19.2%)であり有意差を認めた(P<0.05)。
【結語】
回復期病棟では約6割に低栄養を認めた。ADLに関連する因子として,発症前身体機能,年齢,認知症などが報告されているが,今回の結果より栄養状態もADLに影響を与える因子として考えられる。入院時の低栄養群では在院日数が長く,急性増悪率が高かったことから,栄養状態が日常生活自立度や予後の予測因子の1つとして用いることができる可能性が示唆された。更なる低栄養患者に対して理学療法士は栄養サポートチーム(NST)に参画して,適切な運動療法を提供することでADLの改善や,急性増悪を防ぐことで予後を改善し,自宅復帰率の向上につながる可能性があると考えられる。
回復期病棟の患者は一般病棟に比べ,低栄養の割合が高い反面リハビリ強度は増す時期であるため,栄養状態を考慮したリハビリの重要性が指摘されている。本研究では,当院回復期病棟患者の入院時における栄養状態を把握し,日常生活活動(以下ADL)との関連を調査し,栄養状態と在院日数,転帰先との関連性を検討することを目的とした。
【方法】
当院回復期病棟において2013年10月から2014年9月に入院し,データ欠損患者を除く199名(整形疾患139名,中枢疾患45名,廃用症候群15名)の種々のデータを,診療記録を基に後方視的に収集し解析した。ADL評価指標は機能的自立度評価表(以下FIM)を用い,栄養関連指標はGNRI『Geriatric Nutritional Risk Index=14.89×血清アルブミン値+41.7×(体重/理想体重)』を用いた。低栄養の定義は,先行研究において死亡率が高くなるとされるGNRI<92とした。転帰先として,自宅退院率,急性増悪率を検討し,急性増悪とは回復期病棟入院中に加療目的にて転棟・転院した患者とした。解析内容は①回復期病棟入院時のADLと栄養状態との関連を調べ,さらに②通常栄養群(GNRI≧92)と低栄養群(GNRI<92)との在院日数と転帰先の比較を行った。なお,統計にはPearsonのの相関係数,対応のないT検定,x2検定を用いた。有意水準は5%未満とした。
【結果】
平均年齢は80.5±10.0歳で,通常栄養群は79名(39.7%),低栄養群は120名(60.3%)であった。低栄養群の疾患別では,整形疾患82名(59%),中枢疾患26名(58%),廃用症候群12名(80%)であった。血清アルブミン値<3.5g/dlは118名(59.3%),BMI<18.5kg/m2は40名(20.1%)に該当した。①入院時FIMとGNRIは相関を示した(r=0.522,p<0.01)。②平均在院日数は通常栄養群61.9日,低栄養群71.9日であり有意差を認めた(P<0.05)。自宅退院率は通常栄養群55名(69.6%),低栄養群68名(56.7%)であり有意差を認めなかった。急性増悪率は通常栄養群5名(6.3%),低栄養群23名(19.2%)であり有意差を認めた(P<0.05)。
【結語】
回復期病棟では約6割に低栄養を認めた。ADLに関連する因子として,発症前身体機能,年齢,認知症などが報告されているが,今回の結果より栄養状態もADLに影響を与える因子として考えられる。入院時の低栄養群では在院日数が長く,急性増悪率が高かったことから,栄養状態が日常生活自立度や予後の予測因子の1つとして用いることができる可能性が示唆された。更なる低栄養患者に対して理学療法士は栄養サポートチーム(NST)に参画して,適切な運動療法を提供することでADLの改善や,急性増悪を防ぐことで予後を改善し,自宅復帰率の向上につながる可能性があると考えられる。