[O-TK-04-3] 介護老人保健施設におけるリハビリテーション専門職の個別介入が日常生活活動に与える影響
Keywords:PADL, 個別リハビリ, FIM
【はじめに,目的】
介護老人保健施設(以下,老健)のリハビリテーション(以下,リハ)は,生活機能の改善等を目的とした生活期リハである。そのためには,日常生活動作(以下,ADL)の改善があり,それは「できるADL」の改善ではなく,「しているADL:Performance ADL(以下,PADL)」の改善につなげていくことが課題として挙げられる。生活期リハを行う老健のリハサービスにおいての個別リハ介入頻度の差によるADL項目の改善維持の変化について述べられている報告は少ない。老健はPT等の個別リハ介入を実施する生活期リハを行う施設として,PADLに関連の強い項目を明らかにし,その項目に着目する必要がある。そこで,本研究は老健の新規入所者に対するPT等の個別リハ介入が,3ヶ月後のPADLに与える影響を検証し,PADLの変化(改善)に関与する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
平成20年4月から24年9月までに新規に老健へ2ヶ月以上入所し,2回以上ADL評価された利用者148名のうち,3ヶ月後にADL評価した88名を研究対象とした。除外基準は,入所期間中の急変体調不良者,重複した再入所者,認知短期集中リハ加算の算定を受けている者とした。
PADLの変化として入所時と入所後3ヶ月時の機能的自立度評価表(FIM)の運動項目(以下,m-FIM)の合計点と各13項目の得点及び3ヶ月間の得点差(以下,m-FIM-gain)を計算し,これらを個別リハ高頻度介入群と低頻度介入群に分けて比較した。また,個別リハ介入がPADLに及ぼす影響を検証するために,PADLの変化に関連する要因(独立変数)を介入頻度,性別,年齢,要介護度,認知度,診断名,プログラムとし,従属変数をm-FIM gainとした重回帰分析を行った。
【結果】
1.m-FIM gainの変化に与える要因
「介入頻度」がm-FIMに有効な説明変数であった(R2=0.203,P<0.001)。
2.m-FIM得点とm-FIM gainの比較
m-FIM合計点の平均は,高頻度介入群,低頻度介入群ともに入所時と3ヶ月後で有意な改善を認めた(p<0.001)。また,両群のm-FIM gainの比較では,高頻度群の方が有意に高値を示した。
3.高頻度群と低頻度群のm-FIM項目別の比較
m-FIM項目別の高頻度介入群の初回時と3ヶ月後時の比較では,13の全項目に有意差がみられ,低頻度群の初回時と3ヶ月後時の比較では,階段項目のみに有意差を認めた。高頻度の介入で改善しやすい項目は,移乗,歩行/車椅子移動,階段,下更衣,清拭,トイレ動作,排尿・排便管理であり,特に立位や移動の向上と結びつきやすい項目であった。
【結論】
PADLに影響を及ぼす要因は介入頻度であり,高頻度のPT等の個別リハ介入は,PADL改善に有効と考えられた。改善されやすいPADLは,m-FIM gainから立位,移動の向上と結びつく項目であった。移動の改善はトイレ排泄につながり,また他のADL項目の改善に波及しやすい。今回の結果からADLの改善予測や有効性ある項目の介入により個別サービスの充実に活かせる。
介護老人保健施設(以下,老健)のリハビリテーション(以下,リハ)は,生活機能の改善等を目的とした生活期リハである。そのためには,日常生活動作(以下,ADL)の改善があり,それは「できるADL」の改善ではなく,「しているADL:Performance ADL(以下,PADL)」の改善につなげていくことが課題として挙げられる。生活期リハを行う老健のリハサービスにおいての個別リハ介入頻度の差によるADL項目の改善維持の変化について述べられている報告は少ない。老健はPT等の個別リハ介入を実施する生活期リハを行う施設として,PADLに関連の強い項目を明らかにし,その項目に着目する必要がある。そこで,本研究は老健の新規入所者に対するPT等の個別リハ介入が,3ヶ月後のPADLに与える影響を検証し,PADLの変化(改善)に関与する要因を明らかにすることを目的とした。
【方法】
平成20年4月から24年9月までに新規に老健へ2ヶ月以上入所し,2回以上ADL評価された利用者148名のうち,3ヶ月後にADL評価した88名を研究対象とした。除外基準は,入所期間中の急変体調不良者,重複した再入所者,認知短期集中リハ加算の算定を受けている者とした。
PADLの変化として入所時と入所後3ヶ月時の機能的自立度評価表(FIM)の運動項目(以下,m-FIM)の合計点と各13項目の得点及び3ヶ月間の得点差(以下,m-FIM-gain)を計算し,これらを個別リハ高頻度介入群と低頻度介入群に分けて比較した。また,個別リハ介入がPADLに及ぼす影響を検証するために,PADLの変化に関連する要因(独立変数)を介入頻度,性別,年齢,要介護度,認知度,診断名,プログラムとし,従属変数をm-FIM gainとした重回帰分析を行った。
【結果】
1.m-FIM gainの変化に与える要因
「介入頻度」がm-FIMに有効な説明変数であった(R2=0.203,P<0.001)。
2.m-FIM得点とm-FIM gainの比較
m-FIM合計点の平均は,高頻度介入群,低頻度介入群ともに入所時と3ヶ月後で有意な改善を認めた(p<0.001)。また,両群のm-FIM gainの比較では,高頻度群の方が有意に高値を示した。
3.高頻度群と低頻度群のm-FIM項目別の比較
m-FIM項目別の高頻度介入群の初回時と3ヶ月後時の比較では,13の全項目に有意差がみられ,低頻度群の初回時と3ヶ月後時の比較では,階段項目のみに有意差を認めた。高頻度の介入で改善しやすい項目は,移乗,歩行/車椅子移動,階段,下更衣,清拭,トイレ動作,排尿・排便管理であり,特に立位や移動の向上と結びつきやすい項目であった。
【結論】
PADLに影響を及ぼす要因は介入頻度であり,高頻度のPT等の個別リハ介入は,PADL改善に有効と考えられた。改善されやすいPADLは,m-FIM gainから立位,移動の向上と結びつく項目であった。移動の改善はトイレ排泄につながり,また他のADL項目の改善に波及しやすい。今回の結果からADLの改善予測や有効性ある項目の介入により個別サービスの充実に活かせる。