第51回日本理学療法学術大会

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一般演題口述

日本地域理学療法学会 一般演題口述
(地域)04

Sat. May 28, 2016 11:10 AM - 12:10 PM 第5会場 (札幌コンベンションセンター 2階 201+202)

座長:長野雅江(帝塚山リハビリテーション病院 リハビリテーション部)

[O-TK-04-4] デイケア利用者の幸福度・健康度の現状とその関連因子

幸福度・健康度と身体機能との関連

荒尾雅文, 渡邉要一 (永生会法人本部リハビリ統括管理部)

Keywords:幸福度, 通所リハビリテーション, LSA

【はじめに,目的】我々は平成26年PT学会で国民健康調査結果からハンディのある方の幸福度が,その他の方に比較し幸福度,健康度,さらに5年後の幸福度が低下していることを明らかにした。本研究ではより現場に即した現状を明らかにするためデイケアを利用している要介護者の幸福度の現状,幸福度の関連因子について明らかにすることを目的とした。


【方法】対象はデイケアを利用している要介護者48名(平均介護度2,年齢78,5±8,1歳,利用期間2.4±2.9)とした。従属変数は対象者の主観的幸福度(0とても不幸~10とても幸せ)5年後の幸福度(-5今より不幸せ~~5今より幸せ)健康度(1健康である~5健康ではない)を,説明変数は利用者の属性(性別,年齢,介護度),身体機能(BI,MMSE,VI,LSA)を評価した。分析は従属変数と説明変数の関係性をSpearmanの順位相関係数,Man-Whitneyのu検定にて検定した。


【結果】対象者の幸福度は平均6.9±2.1,5年後幸福感は0.2±2.5,健康度は2.8±1.5であった。また幸福度は健康度(r=-0.55),年齢(r=0.53)と相関があった。また幸福度は男性5.7,女性7.9と女性が有意に高い結果であった。その他項目は従属変数に対し関連は見られなかった。


【結論】前述した国民調査では全国民の幸福度平均は6.6,この調査結果から我々が分析したハンディのある方の幸福度の平均値は5.9であった。今回のデイケア利用者の幸福度は6.9であり,この結果より高かった。また5年度幸福度は全国平均0.4,ハンディのある方の平均は-0.7であるのに対し,本結果は0.2であり全国調査の健常者とハンディのある方の中間であった。また健康度は全国が3.8,ハンディのある方が3.7と,共に健康ではない方に平均が位置しているのに対して,本結果は2.8であり健康な方に平均が位置している結果であった。この結果は,デイケア利用者はハンディがあるにも関わらず,現状を受け入れ幸福感・健康感を感じ生活しており,将来の幸福感への期待も高いことを示している。また幸福度,5年後幸福度,健康感と身体機能(BI,MMSE,VI,LSA)との関連は見られず,属性として性別のみ幸福度と関連がある結果となった。女性の幸福度が高いことは多くの先行研究で報告されており今回も同様の結果となった。この結果は幸福度,5年後幸福度そして健康度には年齢や介護度といった属性や,BI,MMSE,VI,LSAなどの精神・身体機能が影響しないことを示している。この2つの結果は,デイケアご利用の利用者が比較的幸福度・健康度が高く過ごせており,ハンディのある方への様々な形でのアプローチが成功していることを示しているのではないだろうか?今後はこの結果がどのような意味を持つか?またリハはこの効果にどの程度貢献できているのかについて検討していきたいと考える。