[O-YB-04-3] 床反復動揺外乱刺激を用いたトレーニングが健常者のバランス能力に与える影響の検討
キーワード:床反復動揺外乱刺激, 姿勢制御, 加速度計
【はじめに,目的】床反復動揺外乱刺激を用いたトレーニングは,前庭障害患者の重心動揺を減少させると報告されている。健常者においても加齢により前庭機能の低下が起きることから,高齢者に対する転倒予防トレーニンングとしても有効であると考える。しかし,健常者に対する床反復動揺外乱刺激がバランス能力に与える影響は明らかではない。そこで,本研究では健常若年者に対して床反復動揺外乱刺激トレーニングを行い,介入前後の立位時の重心動揺および外乱刺激に対する頭部の固定性と身体動揺の変化を検討した。
【方法】対象は健常若年者36名で,無作為に介入群(n=18),対照群(n=18)に分けた。介入は週5回2週間行い,平衡機能評価,姿勢制御能評価を介入前後に行った。平衡機能評価ではBalancemaster(Neurocom社製)を用いて,視覚条件は開眼,閉眼,床面の条件は固い床,柔らかい床の合計4条件で立位重心動揺を評価した。解析は足圧中心の角速度から総軌跡長を算出した。姿勢制御能評価では床反復動揺装置(オージー技研社製)上にて立位をとり,外乱刺激を与えた時の頭部,腰部,膝部の動揺を加速度計(ATR-Promotions社製)にて測定した。評価の刺激条件は,動揺頻度が0.3,0.6,1.2Hz,刺激方向が前後,視覚条件が開眼,閉眼の合計6条件を各1分間行った。解析は頭部の前後・左右・上下の加速度の平均値を算出した。介入条件は,動揺頻度が0.3,0.6,1.2Hz,刺激方向が前後左右,視覚条件が閉眼の合計6条件を各3分間合計18分間与えた。対照群(n=18)では,床反復動揺装置上で18分間,静止立位をとった。評価やトレーニングの際には連続的に姿勢の保持を行うため,身体に疲労が起こる可能性があるため,トレーニング間に休憩を取ることにより疲労を最小限にとどめるように努めた。また転倒防止のために対象者にハーネスを取り付けた。
【結果】平衡機能評価において,介入群では閉眼・柔らかい床条件で重心動揺が介入前後で比較して有意に減少した(p<0.05)。姿勢制御能評価では,介入群,対照群の両群で,各周波数の閉眼条件において頭部の平均加速度が有意に減少した(p<0.05)。開眼条件では介入群の0.3,1.2Hz条件において有意な減少がみられた(p<0.05)。
【結論】すべての感覚は高位中枢によって統合されており,環境の変化などによって感覚入力が再調節され姿勢制御が行われている。今回の介入により高位中枢において感覚の再調節がなされ前庭優位の姿勢制御が可能となり,介入後では閉眼・柔らかい床条件(視覚・体性感覚抑制条件)で重心動揺が減少したと考えられる。また,藤原らは床反復動揺外乱刺激において,前頭葉の活動が高まったことを確認しており,予測的姿勢制御との関連性を報告している。今回,介入により外乱刺激に対する予測が学習され,姿勢制御の改善が起こったことから介入後の姿勢制御能評価で頭部の加速度が減少したものと考える。
【方法】対象は健常若年者36名で,無作為に介入群(n=18),対照群(n=18)に分けた。介入は週5回2週間行い,平衡機能評価,姿勢制御能評価を介入前後に行った。平衡機能評価ではBalancemaster(Neurocom社製)を用いて,視覚条件は開眼,閉眼,床面の条件は固い床,柔らかい床の合計4条件で立位重心動揺を評価した。解析は足圧中心の角速度から総軌跡長を算出した。姿勢制御能評価では床反復動揺装置(オージー技研社製)上にて立位をとり,外乱刺激を与えた時の頭部,腰部,膝部の動揺を加速度計(ATR-Promotions社製)にて測定した。評価の刺激条件は,動揺頻度が0.3,0.6,1.2Hz,刺激方向が前後,視覚条件が開眼,閉眼の合計6条件を各1分間行った。解析は頭部の前後・左右・上下の加速度の平均値を算出した。介入条件は,動揺頻度が0.3,0.6,1.2Hz,刺激方向が前後左右,視覚条件が閉眼の合計6条件を各3分間合計18分間与えた。対照群(n=18)では,床反復動揺装置上で18分間,静止立位をとった。評価やトレーニングの際には連続的に姿勢の保持を行うため,身体に疲労が起こる可能性があるため,トレーニング間に休憩を取ることにより疲労を最小限にとどめるように努めた。また転倒防止のために対象者にハーネスを取り付けた。
【結果】平衡機能評価において,介入群では閉眼・柔らかい床条件で重心動揺が介入前後で比較して有意に減少した(p<0.05)。姿勢制御能評価では,介入群,対照群の両群で,各周波数の閉眼条件において頭部の平均加速度が有意に減少した(p<0.05)。開眼条件では介入群の0.3,1.2Hz条件において有意な減少がみられた(p<0.05)。
【結論】すべての感覚は高位中枢によって統合されており,環境の変化などによって感覚入力が再調節され姿勢制御が行われている。今回の介入により高位中枢において感覚の再調節がなされ前庭優位の姿勢制御が可能となり,介入後では閉眼・柔らかい床条件(視覚・体性感覚抑制条件)で重心動揺が減少したと考えられる。また,藤原らは床反復動揺外乱刺激において,前頭葉の活動が高まったことを確認しており,予測的姿勢制御との関連性を報告している。今回,介入により外乱刺激に対する予測が学習され,姿勢制御の改善が起こったことから介入後の姿勢制御能評価で頭部の加速度が減少したものと考える。