[O-YB-05-2] 回復期リハビリテーション病棟入棟時における機能的自立度評価を用いた転倒予測について
FIM下位項目の点数に着目したロジスティック回帰分析による検討
Keywords:回復期リハビリテーション病棟, 転倒, 機能的自立度評価
【はじめに,目的】転倒は,骨折や外傷などによる身体的損失,転倒恐怖とそれに続発する不動化等を生じる危険性があり,二次的に廃用症候群などを引き起こす危険性がある。回復期リハビリテーション病棟(以下回復期リハ病棟)では,身体機能の改善のみならず,日常生活活動動作(以下ADL)の改善を目的とすることから,転倒の危険性は高まる。入棟後早期に転倒の危険性を予測するツールとして,機能的自立度評価(以下FIM)やBarthel Indexなどが用いられ,主に総得点を指標にしている場合が多いが,単なる総得点の比較では,患者像の把握には十分といえないとされている。本研究では回復期リハ病棟入棟者に対するFIMを用いた転倒予測に関して,FIM下位項目の点数に着目し検討した。
【方法】対象は,専門リハビリテーション研究会多施設間共同研究グループ内の回復期リハ病棟入棟患者555名であった。基本特性の調査項目は,年齢,性別,診断名,在院日数・診断前の能力(日常生活自立度評価使用)とした。対象に対し,回復期リハ病棟入棟時にFIMを評価した。転倒については,その有無,回復期リハ病棟入棟からから転倒までの期間,発生原因(身体・認知機能低下,人的ミス,機器不具合)を調査した。転倒の有無により群分けを行い,基本特性・回復期リハ病棟入棟時FIM得点(以下初期FIM)について差の検定を実施した。統計手法は,対応のないT検定・χ2検定を用いた。初期FIMの各項目について,有意差が確認された項目について転倒の有無を目的変数とした,多重ロジスティック回帰分析を行い,転倒に関連する初期FIM項目を抽出した。統計的検討は,SPSS for windows 10.0を用い,有意水準5%とし実施した。
【結果】対象のうち転倒を生じた者は88名であった。基本特性の比較では,転倒群で在院日数が有意に長くなっていた。初期FIM得点では,セルフケア・移乗・移動・運動FIM合計・コミュニケーション・FIM総得点において転倒群で有意に得点が低かった。有意差を認めた項目に対する転倒の有無を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析ではコミュニケーションが抽出された(オッズ比0.91(0.85-0.97),p<0.01)。
【結論】転倒群の在院日数は有意に長くなっており,転倒予防の重要性が再確認された。初期FIMの群間比較では,複数の項目において有意差を認め,ADL能力が低い例において転倒の危険性が高まることが考えられ,FIMを用いた転倒予測の可能性が示唆された。多重ロジスティック回帰分析ではコミュニケーションのみが抽出され,単なる総得点の比較では患者像の把握には十分といえないという見解を指示する結果となった。転倒予防策を効果的に機能させるためにも,主訴の表出や指示に対する理解等の重要性は容易に考えられる。回復期リハ病棟入棟時にコミュニケーション能力の低下が確認された症例では,より慎重な転倒予防策を講じていくことが必要と考えられた。
【方法】対象は,専門リハビリテーション研究会多施設間共同研究グループ内の回復期リハ病棟入棟患者555名であった。基本特性の調査項目は,年齢,性別,診断名,在院日数・診断前の能力(日常生活自立度評価使用)とした。対象に対し,回復期リハ病棟入棟時にFIMを評価した。転倒については,その有無,回復期リハ病棟入棟からから転倒までの期間,発生原因(身体・認知機能低下,人的ミス,機器不具合)を調査した。転倒の有無により群分けを行い,基本特性・回復期リハ病棟入棟時FIM得点(以下初期FIM)について差の検定を実施した。統計手法は,対応のないT検定・χ2検定を用いた。初期FIMの各項目について,有意差が確認された項目について転倒の有無を目的変数とした,多重ロジスティック回帰分析を行い,転倒に関連する初期FIM項目を抽出した。統計的検討は,SPSS for windows 10.0を用い,有意水準5%とし実施した。
【結果】対象のうち転倒を生じた者は88名であった。基本特性の比較では,転倒群で在院日数が有意に長くなっていた。初期FIM得点では,セルフケア・移乗・移動・運動FIM合計・コミュニケーション・FIM総得点において転倒群で有意に得点が低かった。有意差を認めた項目に対する転倒の有無を目的変数とした多重ロジスティック回帰分析ではコミュニケーションが抽出された(オッズ比0.91(0.85-0.97),p<0.01)。
【結論】転倒群の在院日数は有意に長くなっており,転倒予防の重要性が再確認された。初期FIMの群間比較では,複数の項目において有意差を認め,ADL能力が低い例において転倒の危険性が高まることが考えられ,FIMを用いた転倒予測の可能性が示唆された。多重ロジスティック回帰分析ではコミュニケーションのみが抽出され,単なる総得点の比較では患者像の把握には十分といえないという見解を指示する結果となった。転倒予防策を効果的に機能させるためにも,主訴の表出や指示に対する理解等の重要性は容易に考えられる。回復期リハ病棟入棟時にコミュニケーション能力の低下が確認された症例では,より慎重な転倒予防策を講じていくことが必要と考えられた。