第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本糖尿病理学療法学会 一般演題ポスター
糖尿P01

Fri. May 27, 2016 11:50 AM - 12:50 PM 第12会場 (産業振興センター 2階 体育実習室)

[P-DM-01-1] 当院がんリハビリテーションチームによる多職種への啓蒙活動について

筧哲也1, 井上達朗1, 秋武浩太1, 荒井悠子1, 永石真希2, 川畑有希2, 西原賢在3 (1.西神戸医療センターリハビリテーション技術部, 2.西神戸医療センター看護部, 3.西神戸医療センター脳神経外科)

Keywords:がんリハビリテーション, 多職種連携, 啓蒙活動

【はじめに,目的】

当院は2015年4月より国指定のがん拠点病院となった二次救急総合病院である。当院のリハビリテーション技術部では2014年5月よりがんリハビリテーション料が算定可能となり,同時に研修を受けたメンバー(医師,看護師,理学療法士,作業療法士)によりがんリハビリテーション(以下:がんリハ)チームが発足した。がんリハはチームアプローチが重要視されておりそれぞれの職種が情報共有して,様々な病態に対応していく必要がある。しかし当院をはじめとする多くの施設では医療スタッフにおけるがんリハに関する理解が十分ではない。そこでがんリハチームでは,院内の啓蒙活動として,がんリハ患者のパンフレット作成やがんリハスタッフによる勉強会などを実施した。チームが発足して半年となった2015年1月にがんリハチームの啓蒙活動の効果を計り,今後のチーム活動の参考にすることを目的とした医療従事者を対象としたアンケートを実施した。これまでの活動を報告する。



【方法】

院内の医師と産科・小児科病棟と放射線科を除く看護師を対象としてアンケートを実施した。主要な項目として,「問1.がんリハビリテーションの目的を知っているか,聞いたことがあるか」,「問2.がんリハビリテーションを実施しているか」,「問3.がんリハチームに何を望むか」を調査した。啓蒙活動として外部講師を招いて院内と地域に向けた研修会を企画した。

【結果】

医師49名(回答率:34.8%),看護師308名(69.7%)から回答を得た。問1では知っている,だいたい知っているが55.2%であった。問2では,「がんリハビリテーションを実践している」が17%であり,具体的な内容としては「基本動作訓練」「QOL改善のための精神的サポート」「セルフケアの指導」「セラピストの早期介入」など様々な意見が挙がった。がんリハチームに対して望むことは「勉強会開催」「チームカンファレンス」「チーム回診」の意見が多く挙がった。研修会では119名の参加者にがんリハの基本的な考えを知って頂く機会となった。

【結論】

近年がんリハに対する関心は高まっており,がんリハ料を算定している施設も増加している。がんリハはチームアプローチが推奨されておりがんリハ研修もチームでの参加が必要条件となっている。しかし今回のアンケートが示すように,半数近くの現場のスタッフはがんリハの目的を把握できておらず,「がんリハを実施している」と回答したのはわずか17%であった。このため十分ながんリハビリテーションを提供する環境は整っているとはいえず,がんリハチームが現場のスタッフに働きかけて他職種にがんリハの知識を得てもらうことが急務であると考える。当院ではがんリハチームで啓蒙活動の強化とがんリハビリ病棟回診を開始することが決定した。回診は病棟からの要望も多く,体制を整えて8月より開始した。