[P-DM-03-3] 糖尿病患者に対する運動指導の現状と課題について
~当院看護師における調査~
Keywords:糖尿病, 運動指導, アンケート
【はじめに,目的】
糖尿病患者への運動指導は,運動種目の選択や運動強度・回数等を個別に設定するのが望ましく,理学療法士が専門性を発揮できる分野である。しかし,リハビリテーション料を算定できない患者への理学療法士の関わりは糖尿病教室等に限られ,看護師が運動指導を行うことが多い。
そこで,糖尿病患者への運動指導の現状と課題を把握するため,当院内科病棟および内科外来勤務の看護師に対しアンケート調査を行った。
【方法】
看護師31名を対象に,自記式無記名アンケートを実施。調査項目は看護師経験年数,運動指導に関する資格(以下,資格)の有無,運動指導の年間回数,運動療法に関する用語の理解(以下,理解度),運動指導の自信(以下,自信度),自由記載(意見・要望等)である。理解度と自信度における設問の用語は「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」と「糖尿病療養指導ガイドブック」から各10項目を選出した。
分析方法は,理解度は「内容を知っている」3点,「内容は知らないが言葉は知っている」2点,「言葉も知らない」1点として合計。自信度は「できる」4点,「ややできる」3点,「ややできない」2点,「できない」1点として合計。その後,理解度,自信度と経験年数や資格の有無との関連性をt-testで検討した。統計処理はJSTAT for Windowsを使用し危険率5%未満とした。
【結果】
回収率は96.8%(31名中30名)。経験年数は12.9±7.5年。有資格者は糖尿病看護認定看護師など7名。運動指導は年間0回が60%,1~9回は16.7%,10回以上は23.3%で10回以上はすべて有資格者だった。
理解度で「内容を知っている」は「有酸素運動」が,自信度で「できる」は「ウォーキング」が1番多かった。経験年数による比較では理解度,自信度ともに有意差は認められなかった。資格の有無による比較では有資格者は理解度が有意に高かった(P<0.01)。しかし,自信度には有意差は認められなかった。自由記載は指導に自信が無い,難渋することがあるとの記載が多かった。
【結論】
糖尿病ネットワークの調査では,運動指導の実施は看護師,医師,糖尿病療養指導士,理学療法士,栄養士の順に多い。つまり,リハ算定できない患者への看護師の指導力は重要である。今回,運動指導において看護師経験年数は影響しないこと,有資格の看護師が運動指導を行っている実態が分かった。しかし,有資格者は運動指導に関する知識はあるが指導に自信が無いことが判明した。自由記載は「一般的な指導はできるが患者に適した運動か自信が無い」「看護師に対する理学療法士による研修を希望」等があった。
今後の課題として,一般的な指導が困難で看護師が対応に困っている患者(中途失明や高度肥満者等)に対しても個別的に対応できる運動指導マニュアルの作成,看護師が自信を持って指導できるようになるための理学療法士による研修等の取り組みが必要である。
糖尿病患者への運動指導は,運動種目の選択や運動強度・回数等を個別に設定するのが望ましく,理学療法士が専門性を発揮できる分野である。しかし,リハビリテーション料を算定できない患者への理学療法士の関わりは糖尿病教室等に限られ,看護師が運動指導を行うことが多い。
そこで,糖尿病患者への運動指導の現状と課題を把握するため,当院内科病棟および内科外来勤務の看護師に対しアンケート調査を行った。
【方法】
看護師31名を対象に,自記式無記名アンケートを実施。調査項目は看護師経験年数,運動指導に関する資格(以下,資格)の有無,運動指導の年間回数,運動療法に関する用語の理解(以下,理解度),運動指導の自信(以下,自信度),自由記載(意見・要望等)である。理解度と自信度における設問の用語は「科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン」と「糖尿病療養指導ガイドブック」から各10項目を選出した。
分析方法は,理解度は「内容を知っている」3点,「内容は知らないが言葉は知っている」2点,「言葉も知らない」1点として合計。自信度は「できる」4点,「ややできる」3点,「ややできない」2点,「できない」1点として合計。その後,理解度,自信度と経験年数や資格の有無との関連性をt-testで検討した。統計処理はJSTAT for Windowsを使用し危険率5%未満とした。
【結果】
回収率は96.8%(31名中30名)。経験年数は12.9±7.5年。有資格者は糖尿病看護認定看護師など7名。運動指導は年間0回が60%,1~9回は16.7%,10回以上は23.3%で10回以上はすべて有資格者だった。
理解度で「内容を知っている」は「有酸素運動」が,自信度で「できる」は「ウォーキング」が1番多かった。経験年数による比較では理解度,自信度ともに有意差は認められなかった。資格の有無による比較では有資格者は理解度が有意に高かった(P<0.01)。しかし,自信度には有意差は認められなかった。自由記載は指導に自信が無い,難渋することがあるとの記載が多かった。
【結論】
糖尿病ネットワークの調査では,運動指導の実施は看護師,医師,糖尿病療養指導士,理学療法士,栄養士の順に多い。つまり,リハ算定できない患者への看護師の指導力は重要である。今回,運動指導において看護師経験年数は影響しないこと,有資格の看護師が運動指導を行っている実態が分かった。しかし,有資格者は運動指導に関する知識はあるが指導に自信が無いことが判明した。自由記載は「一般的な指導はできるが患者に適した運動か自信が無い」「看護師に対する理学療法士による研修を希望」等があった。
今後の課題として,一般的な指導が困難で看護師が対応に困っている患者(中途失明や高度肥満者等)に対しても個別的に対応できる運動指導マニュアルの作成,看護師が自信を持って指導できるようになるための理学療法士による研修等の取り組みが必要である。