[P-DM-05-5] 2型糖尿病患者におけるWBIと歩行速度・歩行時足圧分布の関係
―末梢神経障害の有無が及ぼす影響―
キーワード:末梢神経障害, WBI, 歩行
【はじめに,目的】近年,多くの医療機関で糖尿病教室,または対象者への教育入院・運動指導が行われているにも関わらず,運動を継続して行えている者はごく僅かであり大きな課題である。問題解決方法に関して様々な見解が報告されているが,未だ十分な解決には至っていないのが現状である。この問題に対し当院では,知識の習得,患者教育,個々人にあった運動処方を行う事を重点課題とし,評価内容,プログラム再考に取り組んでいる。その中で,末梢神経障害の有無は運動・生活機能低下,歩容に関わり,更には予後に大きく影響すると言われており,十分な配慮を要する項目となる。そこで今回,末梢神経障害者の身体運動能力,歩行機能を正確に把握する事を目的に,体重支持指数(以下WBI),歩行速度・足圧分布の関係について検証を行った。
【方法】対象は2型糖尿病の診断を受け外来コントロール中の男女29名とした。WBI測定には膝伸展筋力を用いた。測定は下腿下垂した端坐位,体幹垂直位で5秒間の最大等尺性収縮筋力を2回測定し,数値の高い方を採用した。使用機器はハンドヘルドダイナモメーターを用い,最大値を体重比百分率(%)に換算し採用した。歩行中の足圧分布測定には平衡機能計ゲート・ビューを用い測定した。左右一歩ずつとし,3歩目の足圧を測定した。末梢神経障害検査として,アキレス腱反射,振動覚の測定,自覚症状の有無を口頭にて確認した。3項目のうち2項目以上陽性を示したものを陽性群とした。歩行速度は,平坦な床上に10mの間隔をおいてテープを貼り,テープ手前約3m地点からの通常歩行とし,歩数・ステップ長・歩幅を算出し身長で除した値を採用した。統計処理にはSPSSを用い,WBIと足圧分布,歩行機能の関係にはpearsonの相関関係,末梢神経障害陽性,陰性群間の比較には対応のないt検定を用いた。有意水準はいずれも5%未満とした。
【結果】両群間の比較において,HbA1c,罹患期間,BMI,WBI,歩行速度に有意差は認めなかった。陽性群で母趾圧力が有意に低値を示し,第2-5中足骨圧力が有意に高値を示した。陽性群におけるWBIと各部位足圧の関係では,中足骨部においては中等度の正の相関を認め,陰性群では,踵骨内側および外側部圧で中等度の正の相関を認めた。また陽性群のWBIと歩行速度の関係は負の相関を,陰性群では正の相関を認めた。歩幅は陽性群で有意に狭い結果であった。
【結論】末梢神経陽性群の結果より,中足骨部圧が高値を示した一要因として,感覚受容器,メカノレセプター機能による身体重心補正のためと推測される。両群のWBIと歩行速度の関係は相反する結果となり,足趾機能が歩行速度,中でも歩幅に影響を及ぼす事を示唆するものとなった。また,陽性群での歩幅が有意に狭い結果であり,立脚相の短縮など歩行効率の低下を示唆した。足圧分布から他関節へ与える影響についても検討が必要ではあるが,今後の検討課題としたい。
【方法】対象は2型糖尿病の診断を受け外来コントロール中の男女29名とした。WBI測定には膝伸展筋力を用いた。測定は下腿下垂した端坐位,体幹垂直位で5秒間の最大等尺性収縮筋力を2回測定し,数値の高い方を採用した。使用機器はハンドヘルドダイナモメーターを用い,最大値を体重比百分率(%)に換算し採用した。歩行中の足圧分布測定には平衡機能計ゲート・ビューを用い測定した。左右一歩ずつとし,3歩目の足圧を測定した。末梢神経障害検査として,アキレス腱反射,振動覚の測定,自覚症状の有無を口頭にて確認した。3項目のうち2項目以上陽性を示したものを陽性群とした。歩行速度は,平坦な床上に10mの間隔をおいてテープを貼り,テープ手前約3m地点からの通常歩行とし,歩数・ステップ長・歩幅を算出し身長で除した値を採用した。統計処理にはSPSSを用い,WBIと足圧分布,歩行機能の関係にはpearsonの相関関係,末梢神経障害陽性,陰性群間の比較には対応のないt検定を用いた。有意水準はいずれも5%未満とした。
【結果】両群間の比較において,HbA1c,罹患期間,BMI,WBI,歩行速度に有意差は認めなかった。陽性群で母趾圧力が有意に低値を示し,第2-5中足骨圧力が有意に高値を示した。陽性群におけるWBIと各部位足圧の関係では,中足骨部においては中等度の正の相関を認め,陰性群では,踵骨内側および外側部圧で中等度の正の相関を認めた。また陽性群のWBIと歩行速度の関係は負の相関を,陰性群では正の相関を認めた。歩幅は陽性群で有意に狭い結果であった。
【結論】末梢神経陽性群の結果より,中足骨部圧が高値を示した一要因として,感覚受容器,メカノレセプター機能による身体重心補正のためと推測される。両群のWBIと歩行速度の関係は相反する結果となり,足趾機能が歩行速度,中でも歩幅に影響を及ぼす事を示唆するものとなった。また,陽性群での歩幅が有意に狭い結果であり,立脚相の短縮など歩行効率の低下を示唆した。足圧分布から他関節へ与える影響についても検討が必要ではあるが,今後の検討課題としたい。