第51回日本理学療法学術大会

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一般演題ポスター

日本理学療法教育学会 一般演題ポスター
教育P01

Fri. May 27, 2016 3:20 PM - 4:20 PM 第11会場 (産業振興センター 2階 セミナールームA)

[P-ED-01-1] 国家試験形式eラーニングの取り組みとその学習効果について

―web視聴時間とインターネットリテラシーとの関連から―

小貫睦巳 (常葉大学保健医療学部理学療法学科)

Keywords:eラーニング, web視聴時間, インターネットリテラシー

【はじめに,目的】少子化による2018年問題は理学療法教育に影響を及ぼすと考えられ,今後さらに入学後早期からの実践的な教育として国家試験対策が重要になってくると考えられる。第2回理学療法教育学会で報告したように国家試験形式のeラーニングに一定の効果が見られたが,今回はさらに学生のweb視聴時間やインターネットリテラシーの程度がeラーニングの成績とどのように関連するのかを調査し検討することを目的とした。

【方法】2015年度前期の2年生の筆者の担当授業において2ヶ月間eラーニングを行った。eラーニング教材は過去15年間の国家試験問題の中から担当授業に該当する科目のものを50問選び専用のソフトを使って作成した。この教材を専用のサーバーに置き,決められた期間内に学生にアクセスし学習させた。そしてeラーニングの前後に実際に国試形式のテストを行った。また事前に安心協ILASテスト(インターネットリテラシー尺度)を行い,さらに普段のweb視聴時間等をアンケート調査した。そしてeラーニングに積極的だった群と積極的でなかった群に分け,これを基準変数とし,国試形式テストの成績,ILASテストの結果,web視聴時間の3つを説明変数として判別分析を行った。

【結果】eラーニングを行った2年生は50名(男38女12)であった。eラーニング実施前後の国試形式のテストの平均値は100点満点で43.5(±11.7)が87.2(±9.3)に変化した。このうちeラーニングを積極的に行った17名と積極的に行わなかった12名について判別分析を行った。その結果,標準化された正準判別関数係数は国試形式テスト成績が0.964,ILASテスト結果が-0.78,web視聴時間が0.827と貢献度が高い値だった。また予測式としてz=0.105x1-0.33x2+1.621x3-5.305(x1:国試形式テスト成績,x2:ILASテスト結果,x3:web視聴時間)の判別関数が得られ判別確率は82.8%であった。

【結論】今回,判別確率が良好な結果となったが,これは標準化された正準判別関数係数がいずれも判別の貢献度が高い結果となったためであり,eラーニングを積極的に行った群と行わなかった群の群分けが適切であったと言える。またこのことにより国試形式テスト成績,ILASテスト結果,web視聴時間の3つの変数はいずれもeラーニングの判別に重要な変数であると考えられる。