[P-ED-01-3] 理学療法士養成校の各年次に対する多視点3D解剖教育システム導入の検証
Keywords:多視点3D解剖教育システム, 解剖学, アンケート調査
【はじめに,目的】
解剖学は医学の根幹を成す学問であり,その習熟のためには解剖学実習が有用であることは言うまでもない。近年,コメディカル養成校の急増等を背景として,解剖学実習の実習時間は減少傾向にある。多視点3D解剖教育システムは,ディスプレイ上で実際の解剖映像の閲覧ができる新しい学習システムである。また,同システムは解剖学実習の代替策としてだけではなく,理学療法士養成校の各年次の教育に有用ではないかと推測した。本研究の目的は,理学療法士養成校における多視点3D解剖教育システム導入の有用性を検証することである。
【方法】
対象は当校理学療法学科の昼間部1・2年生68名(以下,他学年群)と昼間部3年生・夜間部4年生14名(以下,最終学年群)である。平成27年9月に両群に対して,希望参加性の多視点3D解剖教育システムを用いた約30分の講義をそれぞれ行い,終了時にアンケート調査を実施した。講義にはパナソニック株式会社のMeAV Anatomieを使用した。講義内容は,両群とも運動器の解剖学の講義を行った。アンケートは「理解度」,「満足度」,「解剖学への興味・関心の変化」,「今後の講義への導入」に対して5段階のリッカート尺度(全くそう思わない=1,そう思わない=2,どちらともいえない=3,そう思う=4,強くそう思う=5)を行い,「同システムを用いて講義をして欲しい解剖の部位」を12種の選択肢による無制限式複数回答形式にて実施した。また,学生からのニーズを具体的に把握するために自由回答欄を設けた。統計解析には対応のないt検定を行い,有意水準は5%とした。
【結果】
アンケートを実施した結果,「理解度」と「満足度」,「解剖学への興味・関心の変化」については両群ともに4.6以上であった。「今後の講義への導入」については,他学年群では4.9であったが,最終学年群では4.1であった(p<0.05)。また,「多視点3D解剖教育システムを用いて学習したい部位」については他学年群では下肢の運動器が62(91.2%),上肢の運動器が45(66.2%),末梢神経系が42(61.8%)と多回答を得ていたのに対し,最終学年群では循環器が14(100.0%),呼吸器が14(100.0%),消化器が11(78.6%)と上位を占めた。また自由回答欄では,他学年群は解剖学や運動学での活用を期待していたのに対し,最終学年群では解剖学実習の事前学習や国家試験対策での使用を希望する意見が多かった。
【結論】
今回,他学年群と最終学年群に対して多視点3D解剖教育システムを用いた講義の実施ならびにアンケート調査を行った。その結果,両群とも満足度や理解度等については有用性を示す事ができた反面,具体的な導入については両者で見解が分かれる結果となった。この理由として,各群によって解剖学に対して求めるニーズに差異があることが関与していると推測する。今後は本研究の結果を基とし,各年次に対する多視点3D解剖教育システムの導入方法を検討する。
解剖学は医学の根幹を成す学問であり,その習熟のためには解剖学実習が有用であることは言うまでもない。近年,コメディカル養成校の急増等を背景として,解剖学実習の実習時間は減少傾向にある。多視点3D解剖教育システムは,ディスプレイ上で実際の解剖映像の閲覧ができる新しい学習システムである。また,同システムは解剖学実習の代替策としてだけではなく,理学療法士養成校の各年次の教育に有用ではないかと推測した。本研究の目的は,理学療法士養成校における多視点3D解剖教育システム導入の有用性を検証することである。
【方法】
対象は当校理学療法学科の昼間部1・2年生68名(以下,他学年群)と昼間部3年生・夜間部4年生14名(以下,最終学年群)である。平成27年9月に両群に対して,希望参加性の多視点3D解剖教育システムを用いた約30分の講義をそれぞれ行い,終了時にアンケート調査を実施した。講義にはパナソニック株式会社のMeAV Anatomieを使用した。講義内容は,両群とも運動器の解剖学の講義を行った。アンケートは「理解度」,「満足度」,「解剖学への興味・関心の変化」,「今後の講義への導入」に対して5段階のリッカート尺度(全くそう思わない=1,そう思わない=2,どちらともいえない=3,そう思う=4,強くそう思う=5)を行い,「同システムを用いて講義をして欲しい解剖の部位」を12種の選択肢による無制限式複数回答形式にて実施した。また,学生からのニーズを具体的に把握するために自由回答欄を設けた。統計解析には対応のないt検定を行い,有意水準は5%とした。
【結果】
アンケートを実施した結果,「理解度」と「満足度」,「解剖学への興味・関心の変化」については両群ともに4.6以上であった。「今後の講義への導入」については,他学年群では4.9であったが,最終学年群では4.1であった(p<0.05)。また,「多視点3D解剖教育システムを用いて学習したい部位」については他学年群では下肢の運動器が62(91.2%),上肢の運動器が45(66.2%),末梢神経系が42(61.8%)と多回答を得ていたのに対し,最終学年群では循環器が14(100.0%),呼吸器が14(100.0%),消化器が11(78.6%)と上位を占めた。また自由回答欄では,他学年群は解剖学や運動学での活用を期待していたのに対し,最終学年群では解剖学実習の事前学習や国家試験対策での使用を希望する意見が多かった。
【結論】
今回,他学年群と最終学年群に対して多視点3D解剖教育システムを用いた講義の実施ならびにアンケート調査を行った。その結果,両群とも満足度や理解度等については有用性を示す事ができた反面,具体的な導入については両者で見解が分かれる結果となった。この理由として,各群によって解剖学に対して求めるニーズに差異があることが関与していると推測する。今後は本研究の結果を基とし,各年次に対する多視点3D解剖教育システムの導入方法を検討する。